8月31日
5時半頃、起きる。念入りにストレッチをする。
昨日と同じく、風はなく、昨日と同じく、気温はグングン上がる。
とにかく、今日はどんなに暑くとも外に出ることにしていた。家に居てもエアコンつけて寝てるだけで、電気代はかさむし、頭はボケる。
だから、そんなことならガソリン代使って、外で汗かきながらウロウロしている方が良い。そう思って10時半頃、カブで片道25キロの買い物に出た。
すぐ、例によって後悔する。
夏用のプルオーバーのジャケットが、袖口を緩く作ってある。二キロ弱のスーパーマーケットに行くくらいなら最適だけど、本来バイク用ではないから風のことなんか考えてないわけで、風ですぐに、ずり上がってしまう。下はTシャツだけだから、グローブと袖口との間に数センチの隙間ができる。迂闊に数十分乗ると、島送りの罪人の入れ墨に似た日焼けの帯ができてしまう。一生消えないわけじゃないけれど、少なくとも数か月は薄汚れたみたいになって、「不潔な奴だ」と思われそうな気がする。
腕を振ったり、袖口を引っ張ったりしながら、目的地に着く。駐輪場でカブを停め、やれやれと思いながらヘルメットを取る。それをワイヤーロックでキャリアに留め、さて店内に、となって初めて異常に気付く。手首の日焼けと前カゴ辺りからの異音が気になって、もっと大事な異状に全く気が付かないでいたらしい。珍しくリュックを背負ってきたためか、いつものショルダーバッグを忘れてきた。
ショルダーバッグには免許証が入っている。つまり「免許証不携帯」。
知らず、走ってきた。どうしよう。
「まあ、しょうがない。気が付かなかったことにして、買い物だけして早々に帰ろう」。
そう思ったところで、またもや気が付いた。出る時、懐が少々心許ない、と一万円札を出したんだけど、ポケットに入れるよりは、とショルダーバッグに入れ直したんだった。三千円ほどの現金と小銭入れは元々そちらに入れている。
ということは現在「無一文」。買い物は当然のこと、寄り道だってできない。だから帰るしかない。いくらカブだって山越えの道を25キロ押して帰るなんてこと、老体には無理。財布を忘れたことは気が付いたけど、免許証を忘れたことは気が付かなかったことにする。
何もできずに気が抜けて、暑さが余計に堪えそうなものだが、そうでもない。反対に「出直すか」、ともう一度往復できることを喜んでいる自分がいる。やっぱりバカだ。
帰る途中から、今日のところは目的地を生協に変更して、当面必要な物だけにするか、と思い始める。
すっかりバカ、というわけではなかったか。
それとも体力が追い付かないのを認めたくない悪知恵からか。
いったん帰って汗染みのできたTシャツを換え、ジャケットも手首を露出しないものにして改めて買い物に行き、買ってきたものを玄関に放り出して、カブの増し締めのために前かごを取り外す。
さて、増し締めの結果はどうなったか。走って点検しなければならないから、明日はまたリベンジを兼ねて同じところを目指そう。
・・・・・やっぱりバカかもしれない。