CubとSRと

ただの日記

「番頭政治」か「乗っ取り」を企んでいるのか。

2020年09月15日 | 心の持ち様
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和2年(2020)9月15日(火曜日)
        通巻第6644号  <前日発行>
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 番頭政治が解散に打って出ようとするが
  永田町の猟官運動、政治の劣化。国の運命を託すわけにはいかない
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 あれほどの大殺戮をやってのけたのに、毛沢東は中国史の英雄である。
 西洋でもアレキサンダー、ネブカドネザル、シーザー、そして近世ではナポレオン。ロシアではピョートル、エカテリーナ女帝。皆、英雄ですね。そしてスターリンも。

 ところが日本での英雄はみな悲劇の主人公になる。
 ヤマトタケル、和気清麻呂、菅原道真、源義経、北畠顕家、楠正成、大塩平八郎、吉田松陰、西?隆盛、特許隊員。。。
 軍人の英雄は乃木、東郷、児玉、廣瀬と神社に祀られているが、山本五十六はない。

 さて本当の改革を断行し、英雄と祭られるべき人々。たとえば源頼朝、足利尊氏、明智光秀、大久保利通らの名が浮かぶが、これらの日本人の評価は悪党に近い。

 リーダーとは国民を統合し、民族的アイデンティティの価値観や伝統を尊びつつ、将来のヴィジョンを指し示し、国民を率いる統率力をもち、カリスマ性がある。信念のために戦う姿勢をみて、皆がついていこうと思う人物である。
 小林秀雄は、石原慎太郎が政治家を目ざすとしたときに、「政治家の価値とは、まわりに何人が、その人のために死ねるか」によって決まるという意味のことを言った。

 明治維新以後、日清・日露戦争を戦い抜いてきたわが国は国民精神とリーダーの目論見とが軌を一にしていた。戦後、岸は政治生命を駆けて不平等条約の改定(安保条約改訂)に持ち込み、これは小村寿太郎の不平等条約撤廃に相当する成果である。
ところが、以後、沖縄返還の佐藤栄作あたりから「自由と民主主義による福祉国家の実現」が国家目標となり、政治は矮小化した。

 中曽根は就任早々に「わたしの政権中は憲法改正はない」と過去の主張をしまい込んだ。爾後、故郷創生とかの大番頭竹下、アンパンマン橋本、宇宙人、スッカラカンと続き、憲法改正を前面に出す安倍晋三をまたねばならなかった。戦後レジームの克服をとなえるや、戦後体制に安住してきた朝日新聞などはフェイクにつぐフェイクをでっち上げ、とうとう安倍を引きずり降ろした。

 世襲議員は国家百年の計に関心がなく、選挙ではもっぱら、「女性の唇と女陰にむかって叫ぶ」(石川達三)。まるで何も決められないでおろおろした徳川幕府末期の幕閣とそっくりである。

 あるじなき商店は、番頭がしばし采配する。
 しばらく日本政治は番頭政治となり、多くは期待できそうにない。ところが、番頭政治が解散に打って出ようというのだから、永田町の猟官運動、政治の劣化。国の運命を託すわけにはいかないのではないか。

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 「総理大臣を目指さない国会議員はいない。またその気概を持たない議員は国会議員である意味がない」みたいな言をテレビで何度か聞きました。
 その都度、何だかおぞましいというか、権力欲に憑りつかれた妖怪の集団が国会を形成しているような気がしていましたが、キャスターや記者の本心は別にして、先の言はそういう意味じゃない、と気が付いたのは本当に最近のことです。還暦過ぎてからの理解だから、恥曝しを承知で書きますけど。

 総理大臣を目指すのは「(総理大臣という)地位や名誉を手に入れる」ためではなく、権力を手に入れたいがためです。
「権力を手に入れる」というのは、目的ではなく「手段」を手に入れるということです。ふるってこそ「権力」です。
 総理大臣を目指すのは、この「(総理大臣という)権力で、自分の思う理想の国政を実現させる」ためです。それこそが目的です。
 「選挙区民の委託を受けて理想を実現させたい。それなら一議員としてよりも役職に就いたほうが良いし、総理大臣なら言うことはない」。
 中には総理大臣の椅子に座ることを目的化してしまって、椅子にしがみつくことだけに全力を注いだ人もいないわけではありませんが。

 官房長官から総理になろうとする今、菅氏は安倍総理の政治理想を継承し、実現させようとしているのか。それとも、これまで発信してこなかった自身の理想実現に邁進しようとしているのか。
 安倍総理の政治理想を継承・実現させるために解散する、今なら大きな一歩を踏み出せるという考え方もわかります。
 しかし、問題は今後、ともに働こう(そのために役職に就こう)と手を挙げる議員・官僚の中に、どれだけ粉骨砕身、「命も要らず、名も要らず~」という者がいるか、です。
コメント
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