そして、土曜日。
買い物に行って、帰ってから、その勢いでやるか。
いや、買い物から帰ったら汗かいてるだろうから一休みするだろう。横になったりして眠ってしまうと日が暮れる。また明日、になってしまう。それだけは避けねば。
いっそのこと買い物に出るのをやめようか。嫌なことは先に済ませておくに限る。
第一、今日、それも今晩、完璧に詰まってしまったらどうするんだ?また五年前の、あの雨の日のように慌てて業者を探して、ということになるぞ?
夜になってから、なんてことになると「最悪だ!」じゃ済まないぞ?
・・・・などと思っているうちに昼になった。
重い腰を上げて、とにかく準備をして、昨晩の鯖カレーを食べてやっと作業に取り掛かった。
「まず周辺から、だ」
下水管の蓋を開けるために通路を確保しなければならない。50センチほどの、剪定ばさみを使って、取り敢えず通路を作る。
排水管の蓋は台所からの管を最上部・起点として、以下トイレ、洗面所、風呂の順に並んで家の横を通り、門柱そばから道路の下水管につながっている。
風呂横の排水管の蓋を取る。汚水が溜まっているが、詰まっている風ではない。
洗面所の前の蓋を開ける。水の流れた形跡はあっても細い木の根や汚泥、ひげ根等が底を埋めている。汚水がまともに流れていないという証拠だ。
取り敢えずここからだ。やはり手でやるしかない。
軍手をして、ポリ袋の中にその手を突っ込む。応急の防水手袋だ。こうすれば汚泥を掴んでもひげ根を掴んで引きちぎっても手は汚れない。我ながら賢い!
が、気が付いた時はポリ袋がずれて、軍手で直接汚泥を掴んでいた。
臭い。自分のだから仕方がないけど、臭いものは臭い。
何とか片が付いたので家に入り、試しにトイレの水を流してみた。急いで出て、掃除をしたところを見た。
・・・・水の流れた形跡はなかった。
最初の悪い予感が的中しているような気がする。
(次で終わり)