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メルマガ「週刊正論」令和4年3月14日号
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【ドイツは豹変した。日本は眠っている】
月刊「正論」4月号の巻頭論文「国軍がないゆえのビクビク外交」で、「宏池会」が中心となって戦後進めた「軽武装・経済重視」路線を批判した杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏が13日、長州「正論」懇話会で講演しました。
その一部をご紹介します。
◇
「(ウクライナを侵略したロシア大統領)プーチンがあまりにも悪すぎて、欧州が団結しました。その一番良い例がドイツです。
日本と同じように軍事というと嫌だと言っていたのがドイツです。みんなでウクライナに武器を提供しようというと、ドイツだけ防御用ヘルメット5千個送ると。米紙ニューヨーク・タイムズからは『こういう態度こそロシアの同
盟国だと言わざるを得ない』と叩かれた。
ところがロシア軍がウクライナに入ったとたん豹変した。ショルツ首相は連邦議会に行って、軍事費をGDP(国内総生産)比2%以上に引き上げる。エネルギー政策では(ドイツとロシアを結ぶ新しいガスパイプライン計画)『ノルドストリーム2』の承認を停止した。
議場からは嵐のような拍手が起こった。夢じゃないかと。考えられないですよ。こんな戦争嫌いの国が。ヨーロッパの歴史をみると、自分の身に危機が迫ると立ち上がるんです。
戦後弱くなった民族でも立ち上がった。ドイツは180度の転換を成し遂げた。
日本はどうしたか。眠っているんじゃないですか。アメリカを中心に、欧州ではドイツが立ち上がった。
アジアで誰か立ちあがっているか。誰も立ち上がっていない。国会ではだ
らだらだ。先進7か国(G7)をよく見まして、総合的に前向きに検討しますと、何を言ってるんだと。そんな時間はない。
カーター政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたズビグニュー・ブレジンスキーがいました。彼は著書の中で日本はアメリカの事実上の属国だ。『de facto protectorate』と書いた。
私は『ブレジンスキーはとんでもない奴だ』と怒って評論したが、今静かに考えると、この人は冷静客観的に日本を見ていたと思う。
外交防衛政策を自分で決められず、すべてアメリカにお伺いを立てている。これはやはり属国になっちゃう。
属国にならないような努力をしていたかというと、2つの大ポカをやってきた。
1つは軍事を疎かにしてきた。軍備の所で、根本的な努力を怠ってきた。
もう一つは経済で、経済が良ければいいといい気になり過ぎた。
外務省からは『われわれの戦後やったことを見てくださいよ、田久保さん』と言われた。
経済が良いからといって防衛も何も他のことをやらなかった。その経済が今どうなっているのか。それが宏池会の言う『保守本流』なのか。
あまりにも安倍(晋三)さんと今の政権が違いすぎる。もう一回安倍さんやってくれよ。そうでないと、米中の間で日本は生きる道が無くなっちゃったぞということを最後に訴えて、私の今日の講演の終わりとしたいと思います」