CubとSRと

ただの日記

考え方を創ろうとする

2022年03月28日 | 心の持ち様
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022) 3月23日(水曜日)
       通巻第7268号 

 
樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2343回】            
 ──習近平少年の読書遍歴・・「あの世代」を育てた書籍(習9)

   (略)
 
 共産党は「共産党にとっての良い子」を創りあげようと目指したと思われる『怎樣學習歴史』では、先ず「だいたい四千年前後」を生きたと自称する「歴史爺さん」が登場し、
「『歴』とは経歴のことで、ワシの気の遠くなるような経歴を指し、『史』とは記載することを意味する。だから『歴史』とは、ワシが経験してきたすべてを記録することなんじゃよ」
と歴史の意味を説いた後、「よい子たち」に向かって「祖国の栄光の歴史」を語りだす。

「昔々のその昔、ワシが生まれて間もない頃で誰もが農業ということを知らない時代じゃったが、いまの河南省の黄河一帯に住んでいたモノたちは魚を獲り、猟をし、牛や羊を飼い苦しい生活を送っていたんじゃ」。
「誰もが労働を重ね日々智慧をつけ、やがて黄河や長江の流域から辺境まで荒地を拓いたんじゃ」。
だから
「中国は広大だが、僅かな広さの土地たりとも祖先の汗が流されていない土地はないんだヨ」
と原始共産社会の姿を説く。

 やがて人々の営々たる努力で生産が消費を上回るようになると
「奴隷主、大地主、大資本家のような労働をしない不埒なヤツラが生まれてな」、「汗を流そうとせずに、頭を使って土地や工場を力で押さえ労働の果実を奪い取ったんじゃ」。
 そこで
「陳渉、張角、王薄、黄巣、李自成などが次々に決起して、人民の血を吸うヤツラに対し必死の覚悟で立ち向かっていったんだ」
と、「人民の血を吸うヤツラ」への憎悪を駆り立てる。

 中国の広大な土地の上には
「どこにだって革命烈士の尊い血が流れている」。
この豊かな祖国に多くの外敵が侵入してきたが、
「我われの祖先は一致団結し命を盾に祖国の独立を護りぬいた」。「現代では八路軍、新四軍、中国人民解放軍、中国人民志願軍などが生まれた。彼らは祖国の優秀な子どもたちなんじゃ。中国の広大な領土は隅から隅まで祖国を護ろうとした英雄の鮮血で染められているということを考えてごらん」
と、語り口はヤケに熱い。

 「歴史爺さん」は、
「将来の人民は共産主義の生活を送る。誰がなんといおうと、これは絶対に間違いない。共産主義社会の生活というのは楽しいもんじゃよ」
と子どもたちを煽った後、共産主義社会実現のための方法を教え込む。
 かくて思想教育が始まる。

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 『怎樣學習歴史』の「怎樣」は「どのようにするか」とか「仕方・方法」くらいの意味だから、『怎樣學習歴史』は『歴史をいかに学ぶか』『歴史の学び方』くらいの意味だろう。と思ってネットで見たら、「どのように~」だと説明されていた。

 ということで、まだ学校としては十分ではない中で、子供向けに「歴史」という名の爺さんが支那四千年の歴史を語って聞かせるという体裁の歴史教科書。
 事実を淡々と書き連ねるのではなく、そこから読み取れる考え方を学ぶのが国語(読本)であり、歴史。
 ということは、「語って聞かせる」という体裁は、考え方を身に付けさせる上では最良の方法と言うことになる。
 ただ、一人の人物が語って聞かせる、という形になると一つの考え方しか身に付けられないわけで。
 勿論、共産党を肯定する立場で書かれているわけだから、共産主義国家としてはその方が都合が良い。

コメント
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