CubとSRと

ただの日記

「読書人」と「草民」の国だった。

2020年08月26日 | 重箱の隅
 「避諱(ひき)」について以前に書いた日記を再掲したのですが、今回は「革命の国」の面目躍如、とでも言えそうな話。
 大体が「革命の国」、ではあります。王朝が代わる(易姓)ことで国の「大勢」が一新される。「体制」は基本的には変わらないみたいですが。
 それが社会主義革命をやった。教本通りにやったわけだけれど、そこは現実主義のあの国です、本来なら共産党(指導部)と人民(労働者)で国家を成立させるべきところを、「都市民」と「農村民」という戸籍(区分)を作った。社会主義国家ではありえない階級区分です。
 そしてその
あたらしい「体制」は間違いなく一人の独裁者を生み出しただけだった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 「団結の日本 議論の中国」
 加地伸行 大阪大学名誉教授
 石平  評論家

 石平
 中国社会は「読書人(士大夫のこと)」と「草民(平民)」に分かれます。草民の多くは農民を指す。歴代王朝では草民は常に抑圧される対象ですが、中国共産党政権も例外ではありません。中華人民共和国の建国後、中国政府はそれまでの戸籍制度を改変し、「農村戸籍」と「都市戸籍」の二つに固定化してしまったのです。この制度は中国の歴史上、初めてのことでした。
 加地
 農民が一所懸命勉強して科挙試験に合格したら、官僚になることもかつてはできた。ところが、今はそれができなくなったわけですね。
 石平
 農民の子に生まれたら永遠に農民のまま。制度的差別を堂々と施したのです。

 中国知識人の限界

 加地
 共産主義と矛盾していますよ。しかも、この制度は今でも続いています。中国人は怒りを示していないんですか。
 石平
 毛沢東は地主階級をすべて殺しました。しかも農民を焚き付けてやったのです。これによって農村の中で農民の声を代弁する人々が消えた。もう一つ、都市戸籍の連中は、農村戸籍とは違うということで優越感を覚えるようになった。だから、その制度を率先して変えようとは思わない。逆に続けたほうが、政権にとって都合がいいと判断しています。
 加地
 この戸籍制度を解放しない限り、民主化なんてほど遠い。
 石平
 おっしゃる通りです。中国知識人の限界が露呈していると言えます。結局、農民を小バカにし、民主主義といったところで、農民たちは何も分かっていないと思っている。
 加地
 残念ながら当たっている部分もありますから(苦笑)。
 石平  
 中国国内で真剣に平等を求める声は上がっていません。農民の身分を固定化することで、農村社会を支配するとともに、都市部の人々には満足感を与える。だから、いまだに都市部の人々は農村部への差別が激しい。
 加地
 じゃあ、文革とは何だったんですか。中国共産党政権が誕生した意味は何ですか。身分差別撤廃を目指していたのではないですか。
 石平
 毛沢東は農村社会の弱さと危険性を熟知していたからこそ、政治的に徹底的に管理することにしたのです。中国の歴史を見てください。一度、農民たちが一致団結し、カリスマ的人物に煽動され、暴動が発生すると、大きな変化が起こってきました。
 加地
 黄巾の乱(後漢末の農民反乱)がそうでしょう。
 石平
 そういう意味で、毛沢東は実に巧妙な政策を施したと言えます。
 加地
 大学に進学しても身分は変わりませんか。
 石平
 中国国内で大学が乱立したので、大学の地位が低下しています。そのため大学出身者でも都市部での就職などまともにできません。結局、農村に帰るしかない。しかも、都市部はずるいことに、景気が良く人手不足のときは農村部からどんどん人を流入させ、安い賃金で雇う。ところが、いざ不景気となると、さっさと解雇し、農村部に帰らせる。上海や北京など、大都市の繁栄は農村部の犠牲で成り立っていると言っても過言ではありません。
 加地
 典型的な労働搾取ではありませんか(笑)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「地主は搾取するもの。小作から借地料を取り立てて、自らは土で手を汚すこともせず、豊かに暮らしている」
 ただ、日本の地主なんかは可愛いもので、西欧の地主は借地料を取り立てるのではなく収穫物の一部を報酬として与えていただけだったし、酷いときは農民を奴隷のように扱っていた、と。学校では、そう習いました。
 シナだって魯迅の「故郷」に出てくるように地主の威勢の前では農民は小さくなっているしかなかった。
 それは確かにそうかもしれない。習ったのは誇張が過ぎる、と今では思うけれども。
 けど、その中で習わなかったところ、「農民の声を代弁する」、時には命を懸けて(傘連判状など)、という地主や総代の責任は、洋の東西を問わず為政者に向けられていました。
 これが実は重要な部分で、これから目を逸らすことですべて「搾取する者=悪」とすれば社会主義が正しい、ということになる。指導者層と労働者が同じ方向を向いて国を運営するのだ、と説く。勿論、労働者層から指導者層に移ることも研鑽次第で可能である、という。
 これが社会主義の在り方なんですが、シナはあり得ないことをした。労働者を二種類に分け、出稼ぎは良いけど、戸籍は移すことができないようにした。
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結局のところ

2020年08月25日 | 重箱の隅
 結局、「避諱」というのは、「避け」たり「諱(かく)」したりして、何かをかばうこと、と言ったらいいでしょうか。
 その、隠す(かばう)対象は親だったり上司だったり、で、とにかく自らの命を投げ出しても隠し(或いは守り)通して、守り抜く。それが段々に拡大解釈されて、会社・国家のために、となっていく。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 久し振りに「なるほどねぇ~」

 2014.08/01 (Fri)

 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成26年(2014)7月31日(木曜日)弐
                       通巻第4305号  
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 期限切れ鶏肉をつかってマック、KFCの経営被害は甚大だが
   このキャンペーンは中国の外国企業排斥が基本の動機ではないのか
 *************************

 最初から意図的である。
 期限切れ食肉加工は米国企業が100%出資の現地法人である。中国のテレビが当該工場に潜り込んで、実際にカメラを回し、「期限が切れている? 死にはしないさ」という工員の会話が録音された。

 画像が放映され、中国ばかりか世界に流れたので、日本でもファストフーズなど、甚大な悪影響がでた。

 しかし、この事件はそれほど驚くことだろうか?
 どぶ川の水で食器を洗い、箸をばしゃばしゃと洗い、つぎの客に出すのは常識。いや、それは日常の風景。屋台だけの話ではない、ちゃんとしたレストランで小生がチト呆れたのはどぶ川の水でスープを作っていたこと。すぐにそのスープを飲むのをやめたが、下痢は三日続いた。

北京の一流ホテルの料理場では、コック長が「客が日本人?」と聞くやフライパンに唾を吐いて、それから料理したと、実際に目撃した元駐在員が語った。中国での駐在が長いと原因不明の食あたり、食中毒は常におこる。原因不明で死んだ人も何人かいるが、中国の医院では死因は特定されない。

 過去四年間だけでも、伊勢丹、ヤマダ電機など数十社が撤退したが、日本企業ばかりではなく台湾企業は一万社近くがすでに撤退した。韓国企業は夜逃げを敢行した。米国も、IT関連、通信機器、コンピュータの多くが人員削減に踏み切っている。IBM,HPなどの動向がそれであり、またスタバも近く撤退を開始するとの情報がある。

 IT関連で言えば、華為技術やZTE(中国通訊)など大手がすでに欧米日の技術に迫り、外国企業が邪魔になったため、様々な妨害、入札阻止などをおこなっている。豪企業リオ・テント、英国企業グラクソ・スミス・クラインなどは、なぜか独禁法抵触といわれて社員が逮捕されるなど露骨に中国企業を保護するためだ。


 ▲米中戦略対話の破綻、海洋リグ撤去への報復の可能性

 この流れが食品産業にきた。
米系企業をとっちめるのは、その背後にもっとどろどろした政治的動機がある。つまり、シャングリラ対話、米中戦略対話で、米中はアジアの安全保障をめぐって激論、中国は四面楚歌となり、完全に米中関係が破綻している事実経過となんらかの関係がある。

 ベトナム沖で掘削を続けたCNOOC(中国海洋石油)は、海洋リグを撤去した。これを中国軍は屈辱と感じており、米国への報復をとんでもない方向からやらかした、とみると整合性がでてくるだろう。

 さらに穿った見方は、この米国企業は進出のさいの諸手続きや認可に関して江沢民派の世話になった。江沢民派をコーナーに追い込む習近平政権にとって、これは戦闘開始の信号でもある、という。
しかしまだ勢力を誇示する上、家来を政治局常務委員に四人も送り込んだ江沢民を最後まで追い詰める意図を習近平が抱いているとは到底考えられず、上海派が牛耳る通信利権に習近平が手を出す前に、胡錦涛――温家宝――朱容基らがもつ「金融利権(銀行、保険、証券)に手を付けるか、あるいは守旧派の李鵬一味が持つ「発電利権」に手を出すだろうからだ。

 ともかく米国企業を絡め手で敵に回した中国は、この結末をいかにつけるのか?

                  (以下略)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 米国企業が100%出資の現地法人。中国のテレビが潜入、驚愕の科白を録音。
 それを
 「我が国の恥が、まさか世界に流れるとは思わなかった」
 と言うのだろうか。それこそ「まさか!?」、だ。
 計算され尽くしたものだ、と思わない方がおかしいんじゃないか。
 それを宮崎氏は端的に
 「この事件はそれほど驚くことだろうか?」
 と書かれている。
 どぶ川の水で食器、箸を洗い、同じ水でスープをつくり、コック長(!)が日本人の客には唾を吐いたフライパンで料理を作る。
 それが当たり前(!)なのに、何故、外国企業の場合は「死にはしないさ」という科白と共に大々的に報道したのか。
 外国の厳しい衛生管理を知るからこそ流したわけで、ならば、これは国内向けより敢えて世界中に知らしめるためにやった、と考えるのが妥当だろう。
 じゃ、その目的は?
 「21世紀の今、GDP第2位となった大国であるが、我が国の衛生観念はこんなに低い。何とも恥ずかしいことである」
、と世界に知らせるため?そんな筈、ないですよね。
 この会社の信用を貶め、もう、シナではやっていけないようにして潰してしまう。潰してそのまま名前を変えて自国専用の会社にして、収益を国内にとどめようと目論んだのではないか。

 出資者であるアメリカ企業が、
 「もう、やっていけない」
 と言えば、
 「工場、食品製造の技術等、そのままで引き揚げるのなら(着のみ着のままで、なら)、我が国に与えた多大な損害を罪には問わない」
 とか何とか。
 そして、国が後ろ盾となって、全てを押領(横領)する。

 最初からその計画だったのではないか。「ヤオハン」なんかはその犠牲者第一号、と言えるだろう。
 
 いや、そんな陰謀論で片づけるべきではない。これは陰謀でも何でもない。ごく当たり前のこと、何も今に始まったことではない、日常茶飯のことなんだ。シナ始まって以来、連綿として続けられて来た、伝統的手法。国技とも言えるやり方ではないか。
 例の「避諱(ひき)」、だ。「目上の者を、嘘を吐いてでも護らねば立派な人間ではない」という考え方だ。
 外国資本の下、全てを夷狄の指示通りに行う。華夷秩序を忘れたのではない。華夷秩序を守ればこそ、臥薪嘗胆、目上(国家)を守るために避諱を貫く。そして最後にはその全てを乗っ取って、自らが立派な人間であることを証明する。
 「愛国無罪」などという、下賤の者の使う薄っぺらな言葉では表せない「華人」の在るべき姿をこうやって示す。
 「私はこんなに立派に国を守り、国のために尽力した」ということになるのだろう。
 少なくとも、テレビ局はそのために多大な貢献をした、と考えて良いだろう。

 筋書き自体は、繰り返すけれど昔からの陳腐なものということになる。が、今、敢えてこんなシナリオを用意したのは誰か。それは言うまでもない、テレビ局の上に居る者。国を牛耳る者。

 二つ目の説は米国への宛て付け。「江戸の仇を長崎で」、です。
 論理性のまるでない手法だから、普通は「あれだけの大国が、そんなガキみたいなこと、するか??」と思ってしまう。
 でも、そんなガキみたいな反論、或いは論点をずらしての討論、って真面目に相手をするのがバカバカしくなってくるでしょう?「もう、キミとはやっとれんわ!」となる。すると「正義は勝つ!」とばかりに踏ん反り返ってます。
 「下品で声の大きい奴が勝つ」討論より、さらに低いレベルの話であることは言うまでもない。尖閣の体当たり事件の時、何がありましたっけ?レアメタル、とか、人質のようにしての逮捕、監禁、とか。「江戸の仇を長崎で」。ね?

 三つ目が権力闘争の手駒として使われた、という説。
 江沢民派の勢力を削ぐため。壊滅を目指したら、それこそ忍界大戦みたいになってシナ自体が四分五裂の、各地の独立騒ぎになる惧れに晒されるし、好機と見て西欧諸国が雪崩れ込んでくる。主席の命だって危うくなる。
 だから勢力を削ぐだけにして習体制を維持して置けば、そう遠くない将来、既に引退している江沢民は・・・・でしょう?
 リーダーがいなくなれば、揺さぶり続けるうちに分裂衰退していく。

 さて、どうでしょう。
 「三つとも、だな」、と思いませんか。
 下品なことも平気でやる。ハニートラップなんて兵法の中にも入らない、のかもしれません。
 腹黒いでしょう?下品でしょう?
 でも、そうやって国を動かそうとしているのが大方の国です。
 国益のためなら何だってする。

 そんな中でも、日増しに傲慢になっていく国を、隣国に持つ我が国。
 それでも我が国は
 「『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して』我等の安全と生存を保持しようと決意した」
 って。
 ・・・・・具体的には「九条最強!」「世界へーわ、夜露死苦!」と唱えるだけでしょ?

 ダイジョーブかな~。集団的自衛権反対、ということなら、専守防衛で、いずれは皆殺し、でしょう?
 「核ミサイル、東京に落とす」、って言ってるから、反撃した時には東京は無くなってるんだけど・・・・。
 「最後の一人まで戦うぞ~!」
 「お~っ!」
 「先に手を出しちゃいけないんだぞ~っ!」
 「お~っ!」
 「くるなら来てみろ~!話し合うぞ~っ!」
 「お~っ!・・・・・えっ??」 
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避諱(ひき)

2020年08月24日 | 重箱の隅
2019年06月28日

 我々からすれば、単なるウソ。もしくは大嘘。時には大法螺、なんて言ったりすることが、シナ人にとってはもはやDNAとなっている、「避諱」という名の徳目。
 
 日本人なら
 「それは徳は徳でも、『悪徳』ってやつじゃないか!」
 としかならない。
 でも、彼らにとっては紛うことない「徳」。「徳」の中でもおそらくは最高の。
 孔子が推奨してるんだもの。
 あの話、みんな学校で習ったでしょう?
 以前に書いた日記から、一部、転載します。
 ~~~~
 あの「論語」に出てくる正直者の話です。
 「親が盗みをしたのを子が正直に届け出た。それを聞いた孔子が、『正直とは父が子を庇い、子が父を庇う事を言う』と言った」
 一度は聞かれた話ではありませんか?
 これが元になった徳目が、「避諱」なんだそうです。
 そうやって「(事実を)隠す」ことで守るのだから、「嘘」は「悪行」どころか「善行」ということになる。
 何だかとんでもない話ですね。
 でも、ここで気が付いたんですが、この、「避諱」という考え方、自身のためには使わないんですね。飽く迄も、他のために、それも、敬する者のためにウソを吐く。結果、自身がどうなるか、なんて考えない。
 「国のため(国益のため)にウソを吐く。会社のために、上司のために嘘をつく。その際、自らのことは省みない」
 大中華がこれだったら、小中華は形式だけは徹底させるから、例えば「嘘のために命を捨てる」こともする。
 大中華としては「お前、それはやり過ぎだよ」という事になるんだけれど、小中華には、それが苦言ではなく褒め言葉にしか聞こえない。
 ~~~~
 (自分の思う)大義のために嘘をつく。
 ただ、日本ではその後「嘘を吐いたのだから」と責任を取って腹を切る。
 大小の中華の国では「正義を行うための便法なんだから、徹底的に突き通すことこそ正しい。自殺するなんて以ての外」
 孔子の教えに由来するんだけれど、日本と彼の国々とは全く反対の考え方だから、当然結論も正反対。
 それでは転載。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 「日本人と中国人では『嘘』も桁違いに違う」
 宮脇
 中国人はとても頭が良くて政治が上手でお互いに抗争して、本当に一生かけて生き残るために謀略する人たちだけれども、それに頭を使いすぎて、国としても民族としてもぜんぜん成功の人生じゃない。
 宮崎
 要するに、嘘つきは肝心なことが見えないでしょう。
 本来嘘っていうのは、頭のいい人しかつけない。記憶力が抜群でないと自分がどういう嘘を言ったかわからなくなって辻褄が合わなくなる。
 それを中国人は生まれてから死ぬまで、起きてから寝るまでずっと嘘をついている。そうだとすると頭がいいんですよ。
 宮脇
 でも、彼らは整合性を気にしないから辻褄が合わなくたって平気なんです。
 結局その場しのぎにすぎなくて嘘に嘘を重ねる。
 宮崎
 日本人は「あの人は嘘つき」と言われたら人格が劣るような、そういう恥の意識があるけれども、中国人には羞恥心がない。ロシア人にはそれがある。
 宮脇
 だいたい永遠の嘘は無理ですからね。
 
 宮崎
 嘘がばれても「じゃやあその話はおいといて」って次へ行くんだ(笑)。
 宮脇
 日本人は、嘘をつくとまた真面目に辻褄を合わせようとして、新しくどんどん嘘をついて、ついに止められなくなって破綻する。
 宮崎
 アメリカ人だって嘘をつくんだけど、彼らは自分の弱みをみせないために、自己を守るためにそうする。
 たとえば風邪をひいてても「私は病気で寝る、休む」とは言わないでしょう。
 必ず”I,m fine.(なんともない)”って言うんですよ。要するに競争に乗り遅れたら困るという意識から生じる嘘ですが、中国人の場合は日常がもう嘘で塗り固められているから、どれが本当でどれが嘘かという区別さえつかない。
 だから粉ミルクに石灰入れたり、肉まんに段ボール入れたりってことが平気でできるんですよ。
 あれも日ごろの嘘の延長で、日常のパターンに出るんだよね。仕方がない。(笑)
 宮脇
 自分がたべなきゃいいと思っているわけです。よその人のことは知らないっていう。
 全員がそうだから他人を信用しない。誰も信用できないから、さっき言ったように全部自分で考えないといけない。
 全部自分で考えて決断しないといけない人生だから、日本人より一見頭がよさそうに見えるわけですよ。嘘を吐く瞬間は、やっぱり頭を使ってます。
 日本人はとにかくポヤーっとした人がいっぱいいるから。
 けれども全員が誰も信用しないと、ものすごく効率の悪い社会になるわけです。
 
 ~「虚構国家中国の真実」(宮崎正弘 宮脇淳子)より~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 親を守るためにつく嘘が、儒学の「儒」学たる所以である「忠恕」に拡大されると、当然、師匠とか、恩人は言うまでもなく、目上の人、会社の上司までも嘘によって守らなければならなくなる。百万歩譲ったとしても、ここまでならわかる。
 けど、己のための嘘だってひいては「人のため」「国のため」とこじつけたら?
 そうなると言うまでもない、「何でもかんでも嘘だらけ」になってしまう。
 「水は低きに流れ、人は易きに流れる」
 日本ではこの「己のための嘘」を「言い訳」「弁解」として受け入れないけど。
 でも、考えさせられますよね。
 頭が良くて謀略の限りを尽くして生き残るのと、ポヤーっとしてるけど互いに信用し合っていて目標を達成していくのと。
 どっちがいいかは決められないけど、「どっちが周囲に迷惑か」ならすぐ分かる。
 尤も、「有難迷惑」なんて言葉もあるから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「賄賂で共存共栄し、宗族内では人にウソをついたり、騙すことはない。」
 避諱。
 社会(宗族・職分の上下等)のために命がけで不都合を隠し、しらを切り通すこと。


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”公”がない中国人

2020年08月23日 | 心の持ち様
 また石平氏の対談から。
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 「団結の日本 議論の中国」
 加地伸行 大阪大学名誉教授
 石平  評論家

 「”公”がない中国人」

 加地
 中国には「宗族」という独特のシステムがあることも知る必要がある。いわば一族主義ですが、この存在が中国の強みになっていることも確かです。
 石平
 十年前、すでに故人だった祖父の生誕祭を四川省で開催しましたが、石一族だけで三百人も集まりました。中国の昔の相続制度では、長男だけが家を継ぐものではなく、どんどん分家をつくっていくので、石一族の最盛期には何千人もいました。宗族内で先祖崇拝の拠点、祠堂をつくり、そこで先祖崇拝の儀式や裁判を開きます。また貧しい家庭には一族でお金を集めて助けたり子供たちを集めて塾を開き勉強会も実施します。
 加地 いわば社会福祉ですね。
 石平
 宗族は小さな国家と言えます。だいたい本来の国家は何もしてくれません。社会福祉も何もない。
 加地
 中国は国土が広いですから、生き残るのが厳しい。宗族制度は中国人が厳しい社会を生き抜くために生み出した知恵だと言えます。宗族の中から秀才が登場したら、まわりが一所懸命支えたりもする。
 石平
 一族でお金を出し合って、優秀な教師を招聘、英才教育を施し、科挙試験に合格させる。だからこそ、官僚になった人は宗族にご恩返ししなければなりません。でも、官僚の給料は極端に安い。必然的に賄賂が必要です。
 加地
 『中国共産党の紅い金』(李真実著 / 扶桑社新書)を読んでわかりましたが、中国の場合、役人に袖の下を渡すことを「汚職」「収賄」と考えるのは間違っています。日本の汚職は個人がしますが、中国の場合は、一部署丸ごと、全員が汚職をする。みなが恩恵を受ける仕組みになっています。
 石平
 部下にも渡すし、上にも納める。そうしないとポストから外されてしまいます。
 加地
 賄賂で共存共栄している。こういう考え方は日本にはありません。
 石平
 中国社会で賄賂も取らず、清廉潔白を貫こうとするのは大変難しい。そんな人がいたら、すぐに排除される。面白いのですが、宗族内では人にウソをついたり、騙すことはありません。
 加地
 宗族から追放されたら、大変ですからね。
 石平
 でも、裏を返せば、宗族の外であれば、いくらでもウソをついたり、騙してもいいのです。孫文は「中国人には”公”がない」と嘆いていましたが、致し方のない面もあります。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ここで言う「公」は文字通り「公」「公明正大」「公平無私」の意味で、その「公」がない、というのは、まず何とかして、何が何でも生き延びること、それこそが正義とか大義以前の大命題なんだ、「公」なんて画餅なんだ、と。
 これを原理として示したのが、あの「避諱(ひき)」ということになりそうです。
 次回はそれを再掲します。


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コロナ宣伝戦(プロパガンダ)をみれば南京大虐殺のウソがわかる。その②

2020年08月22日 | 重箱の隅
 Will9月号別冊 「習近平中国の暴走が止まらない!」
 その中の対談の一部、続きです。ここでは共産主義の「実態」を話されています。

 ・・・・・・・・・・・・・・・
 「非人間的な共産主義」

 石平
 毛沢東時代、農民たちの土地はすべて奪われ、人民公社の管理下に置かれます。だから収穫物は自分たちのものにならず、最低限の食料だけが分配される。そういう管理下に置かれると、国民たちは徐々に政府に依存し始め、配給のときは感謝の意を示します。
 竹内
 マインド・コントロールされるのですね。一方で、毛沢東は贅沢三昧だったとか。
 石平
 それこそ酒池肉林です。毛沢東のために一週間の献立をつくる食事チームがあって、ある日は西洋料理のフルコース、別の日は満漢全席と日替わりです。
 そうやって贅沢する一方で、毛沢東は国民に向けて「むやみに食べる必要はない。繁忙期によく食べ、閑散期はお粥で凌げ」と言っている。しかも、毛沢東は食欲だけではなく、性欲すら統制しました。毛沢東時代、中国国民は実に禁欲的な生活を強いられていたのです。でも、国民が幸せを感じる瞬間が一年に一回あった。それが建国記念日(十月一日)です。なぜかと言えば、その前日、一世帯につき五百グラムの豚肉が配給された。さらに、それと同時に三十名の犯罪人の公開処刑を実施したのです。
 竹内
 ええ!?
 石平
 罪名は問いません。友人の父親は公安局に勤めていましたが、建国記念日の一週間前になるとにわかに忙しくなる。三十名の銃殺者を揃えるために奔走するからです。処刑当日、一人ずつトラックに乗せられ、数時間にわたって市中を引き回します。残酷な話ですが、公開処刑を見たくて子供たちはワクワクしっぱなし。まるでサーカスが街にやってきたような感じです。
 竹内
 豚肉と一緒でプレゼントなんだ。でも、自分たちもいつか同じ目にあうとは思わないのですか。
 石平
 いや、むしろ「共産党には絶対反抗しない」という気持ちのほうが強まる。
 竹内
 そういう話を聞くと共産主義の恐ろしさを実感します。共産主義は自然発生的なものではなく、マルクスという一個人の頭の中で観念的に生み出された思想です。共産主義の考える理想の社会を実現するためには、どうしても非人間的にならざるを得なくなり、歪んだ感情を引き起こしてしまうのではありませんか。
 石平
 おっしゃる通り。人間的な生き方を無視して無理矢理な支配装置をつくり上げてしまう。先ほど話した人民公社がまさにそう。かつての中国の農村は、その中で一つの共同体をつくり、相互扶助していた。ところが、人民公社によって、そういった伝統的な社会はすべて収奪・破壊されました。人民公社にいじめ抜かれた農民たちは、どんどん残酷になっていき、怒りの矛先は地主階級に向かっていく。
 竹内
 都市部も変わりませんか。
 石平
 知識人階級も地主と同じ目にあいました。しかも農村社会に追われ、農民たちよりも下の立場に追いやられたのです。農民たちはそういった知識人もイジメの対象にしました。文革が始まると、次の対象者は共産党幹部です。
 竹内
 際限がありません。共産主義者は「貧富のない社会」「平等」を口にします。でも、その「平等」の本質は一体何かと言えば、異性にモテない男子に平等に女を回せ、という意味ではないかと私は思うんです。
 (以下略)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 何だか最後にえらく生臭い話になっています。「一個人の頭の中で観念的に生み出された思想」なのに。
 けど、観念的であればあるほど、実際に行おうとすれば、より生臭く汚いものになってしまいます。
 おそらくそれは「欲心(劣情、我欲)」と真っ向から対峙する、ということを軽視したが故のことでしょう。
 まともに対峙すれば、例えば以前挙げた加納治五郎の「精力善用」とか、禅の教えにある「釈尊こそが煩悩の塊り。一切衆生を救いたいというのが煩悩そのもの」、とかの、一見さかさまのような答えが出てくるはずですから。
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