ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

ラインマーカーズ~穂村弘

2018-04-24 06:08:10 | 本の少し
ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi
クリエーター情報なし
小学館

☆☆☆☆

大好きな穂村弘さんの純然たる歌集。

「ラインマーカー」の題ですが、
もったいなくてマーカーで印入れることができず、
付箋んをずっと挟みこんできました。

各、歌集単位で、好きな歌が偏っているような、
まずは気になった歌からあげていきます。

【シンジケート・#01】

体温計くわえて窓に額つけ「ゆらひ」とさわぐ雪のことかよ

「猫投げるくらいがなによ本気だし怒りゃハミガキしぼりきるわよ」

【シンジケート・#02】

ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は

サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

「さかさまに電池を入れられた玩具の汽車みたいにおとなしいのね」

「耳で飛ぶ象がほんとうにいるのならおそろしいよねそいつのうんこ」

【シンジケート・#03】

抜き取った指輪孔雀になげうって「お食べそいつがおまえの餌よ」

終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて

【ドライ ドライ アイス】

真夜中の中古車売り場で思い切り振って渡した三ツ矢サイダー

キスに眼を閉じないなんてまさかおまえ天使に魂を売ったのか?

校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け

「童貞に抜かせちゃ駄目よシャンパンの栓がシャンゼリアを撃ち落す」

【蛸足配線】

約束はしたけどたぶん守れない ジャングルジムに降るはるのゆき

さみしくてたまらぬ春の路上にはやきとりのたれこぼれていたり

こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ

【手紙魔まみ、夏の引越し】

目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき

【手紙魔まみ、意気地なしの床屋め】

このピンク、この柔らかさ、本物の魚肉ソーセージでございますよ、閣下

『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』をみせてあげたら夢中で齧る

【手紙魔まみ、完璧な心の平和】

ハロー 夜。 ハロー 静かな霜柱。 ハロー カップヌードルの海老たち。

【手紙魔まみ、ウェイトレス魂】

お客様のなかにウェイトレスはいませんか。 って非常事態宣言

なれというなら、妹にも姪にでもハートの9にでもなるけれど

なんという無責任なまみなんだろう この世のすべてが愛しいなんて

これと同じ手紙を前にもかいたことある気がしつつ、フタタビオクル

【ラブ・ハイウェイ】

冷蔵庫が息づく夜にお互いの本のページがめくられる音


400首が一冊にまとめられています。

こうして並べてみて、一番はといわれると、

終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて

でございまする・・・・・・。










コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 平成30年度4月文楽公演 | トップ | ブッタとシッタカブッタ・1~... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本の少し」カテゴリの最新記事