ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

プロの小説は読み応えあり~円朝の女

2011-04-29 08:21:30 | 本の少し
円朝の女
クリエーター情報なし
文藝春秋

☆☆

松井今朝子が描く、円朝の女、五人が登場する。

出入りしている武家のお嬢様の「千尋様」は「惜身の女」
大楼で出会った「長門太夫」は、「玄人の女」
円朝の倅のお母さんの「お里さん」は、「すれ違う女」
祝言上げてのお内儀といわれる「お幸さん」は、「時をつくる女」
晩年、円朝の面倒をみた「せつちゃん」は、「円朝の娘」と、
各章、円朝を中心に時代の変化で強く生きる五人の女で噺がすすむ。

各人各様に、もてもての、噺家、円朝に惚れ、男として芸人として支える
そこには、芸人の甘えを受けるだけの、母親のごとく慈愛にみちた愛とともに、
すべて、真の名人としての凛と卓越した円朝の芸が存在する。

時は、徳川崩壊から始まり明治へ、歴史の中で翻弄さる庶民。
特に、女性の立場はかわり、同時に四民平等で役者や芸人の地位も変わる。

いつの時代も、遊び人の代表であるような芸人さんは、
ある意味、男の弱味をみせ、おおいに母性本能をくすぐる存在。
そういう意味では「惜身の女」として紹介されている
「千尋さん」に、私は一番憧れますな。

小説として読み応えある「円朝の女」に、
小説家としての松井今朝子さんの技量を感じますな。


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やはり聴いてみたい~江島屋

2011-04-26 05:12:17 | 本の少し
落語小説・江島屋
クリエーター情報なし
本阿弥書店


噺家、金原亭伯楽が、円朝の「鏡ヶ池操松影」の中の「江島屋」を題材にした小説。
落語の「江島屋」は知らぬだけに、新鮮な心持で読ませてもらいました。

最初は、時代小説それも、忍びもので、お家代々のお役目と
兄弟で修行に励むところなんぞ、久しぶりにワクワクしたもんです。

途中から「江島屋」へ火をつけようとしている老女を連れて帰ってからは、
・・「江島屋、お前も悪じゃのう」と、必殺仕置人のごとくその江島屋への復讐劇と。

途中、「紙入れ」が入っているが、全編、落語のネタとして、どこが小説と違うのか
はてなでございます。・・・でも、一気に読めたのは、やはり落語の世界。
登場人物の喜怒哀楽が感じられ、興味深くどんどん進みましたな。

図書館の、ネット予約ができて、便利になって借りた本。
益々、読む本が増えそうでおます。


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大阪ことばであそぶ~島田陽子さん死去

2011-04-23 07:54:51 | 本の少し
大阪のことばを愛し、はなし言葉としての大阪弁の心地よい響きを綴る
詩人の島田陽子さん・18日に死去(81歳)。

ひらがなことばの、やわらかい、やさしさ、
読んでいるだけでことばのたのしさがひろがる。

おもろくて、おかしくて、はんなりと、いいたいことをつたえる。

ごまめが初めて詩集のコーナーに足を運び入れたきっかけの方。

心からご冥福をお祈りいたします。



    ごまめのうた
              島田陽子

  いつかて いっしょに あそびたい
  にいちゃんたちに ついてくねん
  さっさとしいや ほっとくで
  しかられたって へいきやねん
  ごまめで いれてくれるねん
    ごまめ ごまめ うれしいごまめ
    ちいさい子かて なかまやねん

  いつかて いっしょに あそびたい
  にいちゃんたちは おこらへん
  とっととしたかて おそいのン
  しゃあないいうて まってるねん
  ごまめやさかい かまへんねん
    ごまめ ごまめ うれしいごまめ
    ちいさい子かて なかまやねん

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落語検定問題集か~落語大阪弁講座

2011-04-20 00:08:02 | 本の少し
落語大阪弁講座
クリエーター情報なし
平凡社



解っているようで、語源までと言われると解らない言葉も多く。
落語を普段から聴きなれている方には、目から鱗みたいに有難い。

最初の「いっぺん言うてみたいことば」では、言葉のフレーズで
題目を思いだすのに一苦労・・・でもクイズみたいでおもしろい。

そのなかで、私がギブアップした言葉をあげると、

①おことおはん
②ごいっとうさんで
③沈香も焚かず屁もこかず
④なるはいやなり、思うはならず
⑤裸で落とした試はない
⑥八人寄れば坂東腹
⑦ひねはあとからはじける
⑧待たすとも待つ身になるな
⑨夜ざとうおやすみやす

まるっきり、見当のつかないものですが、如何ですか、正解は・・

①は、「掛取り」で、「お事多さん」で新年の準備の用意が多くて・・・」の意。
②は、「始末の極意」、「ごいっとうさんでお分け」と言われてもピンときませんな。
③は、「百年目」、番頭が遊んでいたのを旦那が見つけ、翌日穏やかに語りかける
「世の中には「沈香も焚かず屁もこかず」てな人もあるが・・・・」ええ、とこですな。
④は、「お玉牛」、玉ちゃんが、あばばの茂兵衛にいうセリフ
「そらわたいかて好きな人の一人ぐらいはあるけれど
「なるはいやなり、思うはならず」というて・・・・」の夢の中の噺。
⑤は、「有馬小便」は聴いたことがないので、これは無理。
⑥は、「高津の富」で、十人寄れば気は十色・・を六代目は「八人寄れば坂東腹」と
坂東が八とは、昔関東は八つの国に分かれており、「関八州」と呼んでいたと。
⑦は、「けんげしゃ茶屋」という噺で、「成熟したものはあとから成果をあげる」の意。
⑧は、「あくびの稽古」で、将棋のあくびででてくる台詞。
⑨は、大好きな「口入屋」で、夜丁稚が飛び起きて寝間で、
「どなたも、夜ざとうおやすみやす。物騒な晩でっせ」と皆に声をかける。

さて、このなかで、いくつ題目が解りましたか、三つ以上解ると
なかなかの上方落語通でおますな。

小佐田定雄さんが書いた落語にでてくる大阪らしい言葉の集大成。
三年前にでた「上方落語かるた」の原本みたいな本。

落語検定でも受けているつもりで、目次だけを見て、
題目当ては、結構楽しめまっせ。

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鶴二さん中トリ~繁昌亭昼席

2011-04-17 23:40:38 | 笑福亭鶴二
鶴二さんが、繁昌亭昼席の中トリ。
今年の、芸術祭の優秀賞受賞のご褒美とか。

嬉しい限りでございます。

鶴二さん目当てに発売、即買ったのに、入場番号は146番。
案の定、前の方は団体さんでいっぱい。

一、笑福亭松五・・・・・・・・・・「平林」

しっかりした口調で、旦那さんも重みがでて、凄い。
松枝師匠の筆頭弟子・・・弟弟子もできて、やはり貫禄がでてきましたな。


二、桂三弥・・・・・・・・・・・・・・「俺たちヒローキッズ」

三枝師匠の創作落語。母親に「遊べ」と言われて、公園に行く。
そこへ、塾をハシゴする友達がくる。
「ああ、しんど」、「どっこいしょ」、「昔は良かったな」と、老人そのままのセリフ。
バッグには、ユンケルが入っていて、腰にはサロンパス。
小六の二人が公園で、腰を押している。・・・・「疲労している子供たち」
元気な友達が来て「カラオケ」へ、今の子供たちは受験戦オウ争で疲れきっている。
ほんま、子供らしい子供って、とんと見かけんようになりましたな。

題は「子供は遊べ」ではなく、「俺たちヒローキッズ」、風刺的と云えども、哀しい題ですな。


三、笑福亭仁勇・・・・・・・・・・「貧乏花見」

東京では「長屋の花見」、大家がたまに花見でお酒でも呑もうと長屋の者を誘うが、
こちらでは、長屋の連中が自発的に出かける、そしてテーマは「気で気を養う」。

今年の桜ノ宮の通り抜けも夜はなし、五時閉館とか。
震災で、節電というこんな時こそ、「気で気を養う」必要がありますな。

仁勇さん、もっと庶民のパワーが欲しいとこでんな。


四、伏見龍水・・・・・・・・・・・・「曲独楽」

曲独楽といえば、米八さんと思っていたら、龍水さん。
落語家さんの裏芸ではな、表芸、のプロ。
トリネタは、輪っかを使った芸で、輪っかの中へ、外へ、独楽を自由自在。
周りのお客さんが一斉に「凄い」の声。
生で見れる芸は、どれもこれも、良いもんですな。


五、桂三若・・・・・・・・・・・・・・「ひとり静」

大阪へ転勤してきた東京の社員に、
大阪の先輩が、大阪と東京の違いをレクチャー。

東京はすべてにオシャレで、ルールは守るのに、

路上駐車している車見て、「ワシの停めるとこないやないけ」
ノーマイカーデ―には、「空いてるから、車で出勤しよか」と
いたって、大阪は自己中心的。

大阪のおかあさんにいたっては、
「冬はなぜ、寒いの」の子供の問いに
「暑かったら、夏と間違えるやろ」など、大阪ネタの列挙。

落語家というより、吉本芸人のパワーで、笑いのトリコにしてしまう。
凄い・・・これが「ひとり静」か。


六、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・「高津の富」

お目当ての、鶴二さん登場。・・・・初の中トリ。
繁昌亭の賞ではないが、芸術祭の優秀賞受賞での抜擢とか、
ファンとしては喜ばしいことですな。

ネタは、笑福亭、十八番の「高津の富」、前の三若さんが小ネタ連発だっただけに、
主人公のホラが始まるまでの仕込の部分は静けさが漂う。
でも、二番の五百両が当たるという男の妄想のところから、絶好調。

宿屋の主人が、番号を照らし合わせるところは飛ばして、コンパクトに演出。
「子・千三百六十五番」、鶴二さん曰く、一両が今の価値で20万、一等が2億円。
富くじ一枚が、一分で四分の一両、今の値段にすると4、5万と、いや結構高い。
誰もが、一攫千金を狙って妄想するのも、無理ありませんな。

噺が終わって、隣の怖そうな男性が、お連れに、「おもろいなぁ」の一言。
そうでっしゃろ・・・。

ちなみに、この一週間のネタは、初日「口入屋」、二日目「竹の水仙」、三日目「寝床」
四日目「三十石」、五日目「替り目」、六日目「親子茶屋」、楽日「高津の富」でおました。


仲入り

七、れ・みれらぶるず・・・・・「歌謡喫茶」

ああ、雀三郎さんの満腹ブラザーズの、リピート山中さんが登場。
アコーディオンのフランシー堺とのコンビ、結成して二年半とか。

美空ひばりさんの「愛燦燦」を皆さんご一緒にの声で、隣りの男の人も
後ろの女の方も、大きな声で歌う。えぇ、みんな素直ですごいやんか、
へんなところで、感心。次に替え歌で「ギャグ、サンザン」、
「神田川」に「悲しい酒」、最後はやはり、ヒット曲「ヨーデル食べ放題」
楽しいですな。

繁昌亭の良さが、今日のように、新しい色物に出会えることでおます。


八、桂春蝶・・・・・・・・・・・・・・「紙入れ」


なんとも艶っぽい、春蝶さんの「紙入れ」
若い貸本屋を手玉にとる、おめかけさんのどろどろとした、妖艶さが漂う。
でも、あの身体のクネクネ感は、「恋くらげ」を想いださせる。

でも、悩ましい「紙入れ」。春蝶さんがよくかけられるのも納得の一席でおました。


九、笑福亭たま・・・・・・・・・・「青菜」

ド派手な衣装で登場。得意のショート落語を。
「銃撃戦」、「銃撃戦そのⅡ」、「ドリアン」、「ローマ法皇」
「伝票の譲り合い」、「B29」・・・定番だけど、何度聴いても楽しい。

そして、季節はちょっと早いが「青菜」へ、
主人公の植木屋の名前が「為五郎」、枝雀ワールドか。

「しつけで、教育」が、「火付けで、懲役」など
パワフルで、解りやすく、あちらこちらにたまワールドが全開。

たまさんの落語は、生でしか味あえない奇天烈感がうれしいですな。


十、桂雀三郎・・・・・・・・・・・・「ちしゃ医者」

ほんのりと、夜中、明方の雰囲気が漂う・・・情景が浮かぶ・・・
と言いながら、日頃の忙しさではたまた、たまさんのパワーで疲れたのか、
知っている噺だけに、どこが夢で、どこが現実なのか、うとうと。

「つくりものと解る」嘘ではない世界に身をおいて、落語そのものの世界に浸る喜び。
うつらうつらの中で、心地よく噺がすすむ。
本日の「ちしゃ医者」赤壁周庵先生は、私には癒しの名医でおましたな。


天満天神繁昌亭・昼席
2011年4月17日(日)午後1:00開演
天満天神繁昌亭

一、笑福亭松五・・・・・・・・・・「平林」
二、桂三弥・・・・・・・・・・・・・・「俺たちヒローキッズ」
三、笑福亭仁勇・・・・・・・・・・「貧乏花見」
四、伏見龍水・・・・・・・・・・・・「曲独楽」
五、桂三若・・・・・・・・・・・・・・「ひとり静」
六、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・「高津の富」
仲入り
七、れ・みれらぶるず・・・・・「歌謡喫茶」
八、桂春蝶・・・・・・・・・・・・・・「紙入れ」
九、笑福亭たま・・・・・・・・・・「青菜」
十、桂雀三郎・・・・・・・・・・・・「ちしゃ医者」

11-10-48

おまけ

天神さんの裏の「亀の池」

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浪速っ子はくやしい~大阪不案内

2011-04-16 11:18:54 | 本の少し
大阪不案内 (ちくま文庫)
クリエーター情報なし
筑摩書房



落語仲間の辻さんから借りていた本、ようやく読み終えた。
懐かしく想いだしながら、寝る前に今日は船場、
今晩は梅田と、一晩一地区限定で読んでいたので・・・・。

大阪の魅力紹介と、大阪市内を中心に、あちらこちらをご案内。
大阪人にとっては、既に知っていることばかりだが、
改めて読んでいると、幼い時の懐かしさがこみあげてくる。

だが、一番、くやしいのは、著者の森まゆみさんが東京生まれということ、
他人さん、それもお江戸方に誉められても、何か嬉しくない。

でも、紹介されている食べ物屋も、高級なとこではなく、
庶民が通う大阪ならではの処がおも。
親しみやすい、レトロ大阪の案内本になっている。

天神祭の項では、由緒ある築七十年以上の鉄筋校舎の建物の「西天満小学校と
我母校もでてくる。(残念ながら四年ほど前に、取壊されている)

老松町、真砂町、神明町に、衣笠町、懐かしい町名がつぎつぎ思いだされる。
天神橋に京橋、鶴橋に新世界、ちょっと離れて十三に住吉さんと
大阪のはんなり感を味わうには、最適のガイド本。

是非、京阪神以外の中高年の方の、ポケットにしのばせて
おいでませ大阪へ、でおます。

最後は・・・・大阪締めで、

打―ちましょう、チョン
もひとつせえ、チョンチョン
祝うて三度、チョチョンがチョン。


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やはり本業は凄い~短歌の友人

2011-04-13 05:22:32 | 本の少し
短歌の友人 (河出文庫)
クリエーター情報なし
河出書房新社

☆☆☆

普段、エッセイで、へなへなの誠に駄目男を演じている穂村弘さんの、短歌の歌論集。
みなおしたというか、やはり本業での活躍、これだけ、短歌を分析し語ることができるとは。
第19回伊藤整文学賞受賞作品・・・・
いつもの穂村さんの本とは違って、3倍も5倍も読了するのに時間を要した。

短歌に疎い私でも解るところを紹介すると、
一読して、なるほどと思う、「なるほど短歌」という章では

一回のオシッコに甕一杯の水流す水洗便所オソロシ・・・・・・・・・・・・・・・・・・奥村晃作
運転手一人の判断でバスはいま追越車線に入りて行くなり・・・・・・・・・・・・奥村晃作
「東京の積雪二十センチ」というけれど東京のどこが二十センチか・・・・・・奥村晃作
に対し、天然っぽい愛嬌があると評し、

音もなくポストに落ちし文一通あと数時間ここにありなむ・・・・・・・・・・・・香川ヒサ
角砂糖紅茶に落とせば立方体しばし保ちて突然崩る・・・・・・・・・・・・・・・・・・香川ヒサ
ごみとして段ボールあまた置かれをりそのうちの一つをごみ箱として・・香川ヒサ
を、考え抜いた非天然型の高い精度で打ちだす「なるほど」と。

痩せようとふるいたたせるわけでもなく微妙だから言うなポッチャリって 脇川飛鳥

そして、私でも一番解りやすいのは、俵万智さん
逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月・・・・・・・・俵 万智
「勝ち負けの問題じゃない」と論されぬ問題じゃないなら勝たせてほしい・・俵 万智

そして、第二章では口語短歌の現在、第三章では〈リアル〉の構造
第四章、リアリティの変容と、他の作者の作品を愛情をもってあらゆる角度から分析、
紹介されている。

第五章の前衛短歌から現代短歌で、紹介されている、塚本的幻想の現実化では
未来予知や警告のニュアンスがあり、東日本大震災が現実におきている今、
ナマナマしく感じてしまう。

さみだれにみだるるみどり原子力発電所は首都の中心に置け・・・・・・・・・・塚本邦雄
久しき危機まひるめし屋に人充ちて見入る墓石のごときテレヴィに・・・・塚本邦雄
酸素自動販売器などありやなし因幡國気高郡青谷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・塚本邦雄

地下売場に溢れんばかりの食品がかき消えているわが昼の夢・・・・・・・・・・松村洋子
繁栄のこの夜を熱き涙もて思い出す日の来たるかならず・・・・・・・・・・・・・・林 和清

もっと、焦げたり、傾いた、東京タワーとか、吹き飛ばされたり、血まみれになったりの
句も紹介されているが、時が時だけに、ナマナマしくて妖しすぎる。

やはり、お口直しに、ほのぼの系、癒し系の俵 万智さんの句を紹介。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ・・・・・・・・・・俵 万智
自転車のカゴからわんとはみ出してなにか嬉しいセロリの葉っぱ・・・・・・・・俵 万智
なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き・・・・俵 万智

この日常の平凡さの「ありがたさ」を痛感している今日この頃ですな。

短歌の「面白さ」から、その背後にある世界の「面白さ」が見えてくると、
短歌入門には、いや短歌の懐の深さを知るにはもってこいの本でおます。



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一回こっくり~立川談四楼

2011-04-10 14:08:36 | 本の少し
一回こっくり
クリエーター情報なし
新潮社


第一章・弟
第二章・一年生
第三章・出た長男
第四章・独立
第五章・一回こっくり

この本の題になっている「一回こっくり」は、第五章で、談四楼さんが自ら創った
時を江戸においた、子供を亡くした夫婦の噺を速記本のごとく、そのまま載せている。
とするとそれまでの、第一~第四章は、長い、長いマクラ。

ご自分の弟を亡くしたことを、ずっと心の奥におき、ご自分を責めていた談四楼さん。
自ら、吹っ切れる為に書かれた噺か。

今、たくさんの名作と言われる落語のネタがあるが、一つ一つに実在したモデルが
居たりして・・・普段、気楽に楽しんでいるが、心底に人間の性があるだけに、
落語が今の時代にも活きづいているんでしょうな。

まあ、できれば、本で読むより、実際の高座で聴きたい噺ですな。
まさか、演じられたのは、初演の銀座落語会の時の「一回こっくり」ではないんでしょうな。

今回、市のインターネット予約を申しこんで近くの分室に届いた最初の本。
続いて、落語関係の本を中心に、活用しなければ・・。



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ほんじょの鉛筆日和

2011-04-08 22:44:32 | 本の少し
ほんじょの鉛筆日和。 (新潮文庫 (ほ-14-2))
クリエーター情報なし
新潮社

☆☆

なんとも、ほんわか。疲れている帰りの電車の中で読むには最適の本。
平日でありながら、休日の朝の空気が漂う。気が休まる不思議な本。
日常のささいなことが、ちょっとしたこだわり、気づかいで書かれている本。

ほんじょが、述べる「へもへも」、「へもい」とは何か。
イケてないんだけれど、にくめない。

タバコのシケモクを吸う人は、しょぼい。
もらいタバコばっかりする人は、せこい。
タバコのフィルターを噛んでいる人は、キモい。
タバコのポイ捨てする人は、悪い。
へもいのは、タバコにミニパイプをつける人。
「へもい」とは、イケてないんだけれどにくめない、
愛情のある、暖かい笑いでつつむ言葉とか。

教育的でもなく、うんちくを見せびらかす訳でもなく、
「へもい」現象をほんじょは、この一冊の中でも、存分にちりばめ、
私たちは、「へもへも」と気軽に読める。

でも、最後まで読んで一番嬉しかったことは、なんとあとがきを書いておられるのが、
「へもい」の代表選手みたいで、私がお気に入りの穂村弘さん。

今、読んでいるのが「短歌の友人、何か繋がりで、同じ空気の本が読んでいる様な
さらに、嬉しくなる、あとがきでおました。

どんな、本か、本屋で、一度立読みでもOKなので是非一度お手にとって、
御覧あれでおます。


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なぜ役に立たないのか・落語評論

2011-04-02 21:44:58 | 本の少し
落語評論はなぜ役に立たないのか (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社


評論は誰のためにあるのか、観客の視点から自分の意見を勝手に書き殴るのは
評論のための評論、目立ちたいための評論にしか他ならない・・・と。
評論は読者のためにある。その読者とは、これから落語を聴こうとする人たちであり、
もっといろんな「魅力的な演者」に出会いたいと願う落語ファンである。

「落語の評論」ということに限定するなら、評論する動機は「落語の面白さを、
より多くの人に伝えたいから」でなくてはいけない。
そして、落語の魅力は演者の魅力であり、もしも落語の面白さを知らない人たちに
「面白いものなんですよ」と伝えたいなら「誰の落語を聴くべきか」指南すべきと
言い切る。・・・・でも、私は、十人十色、人それぞれの笑いのツボがあるので、
沢山聴くだけで充分・・・やはりこれでなければという時点で、広瀬さんは
評論家なんでしょうな。

でも、「落語家の魅力を語り」、「そんなに面白いなら、今度観に行かなければ」
と思いに駆り立てるそんな。紹介記事、「落語家のカタログ」を見て落語会に
足を運んでもらいたいと・・・私もクラシックのCDを購入しまくってたとき、
「これを聴き逃しては」、「あの幻の名演がCDに」、「これを聴かずして他は語れない」など
まんまと、術中にはまってどれだけのCDを買ったことか・・・。

私の場合は、あくまで聴いた落語の感想であり、落語の世界に浸れたかどうかが好きになる
基準なような気がする。・・・・落語にでてくる人、そのものが好きで、基本、悪人がでてこない
のが,落語が好きな理由かも。

なぜ落語評論は役に立たないのかと言いながら、「ガイド本」は必要と、
既にでている「この落語家を聴け」のプロモーションみたいな本でおますな。
・・・そういう意味で、最後に予告編みたいに「落語家」「この一席」私的ランキング2010が
ついておます。


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