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現役の落語家さん同士が対談、進行役は広瀬和生さん。
まずは、
桂米團治 × 柳家花緑
五代目柳家小さんを祖父にもつ花緑さん、三代目桂米朝を父にもつ米團治さん。
どちらも、人間国宝で身内であり、師匠として教えを乞う。
歌舞伎や能の世界と違って、伝統芸能で唯一、世襲じゃない落語。
それ故に、中途半端にそこに生まれたという者にとっては、非常に悩む。
大阪でも、親子というのは、
(米朝)・米團治、(枝雀)・りょうば、(春蝶)・春蝶、梅團治・小梅、
文福・鹿えもん、小染・染八、松之助・のんき、(染語楼)・市楼
八方・八光、福団治・福若、(五郎兵衛)・ききょう・・・あたりが浮かびますが、
師匠でもあり、父親でもあり、それを超えるとなれば・・・・一苦労。
周りの目も、期待もありすぎて重荷に、そして周り回って、
今、弟子を育てる難しさに、遭遇。
でも、花緑さんの話を聞いていると、頭でっかち、もう少し裸でぶつかっても、
間違っていようと、理不尽であろうと、師匠のいうことが全てなんだから、
・・・・カッコつけられると、弟子たちも大変なのでは・・・・。
春風亭一之輔 × 桃月庵白酒
東京の若手、売れっ子の二人。
どちらも、聞いたことがあるが、斬新。
御両人とも、高座で客席を見ながら、「客の期待」と「自分の理想」を
考えながら、ネタを決めるのが、しこたま楽しいと・・・・。
一之輔さんは、50才までに200位の噺を覚えておいて、
50才あたりから、ちょっと絞にかけようと・・・。
一番乗っているときは、登場人物が勝手に喋っていると・・・・、
すると、ご本人、やっていてすごく楽しくなる。
お二人とも、トリで軽いネタでバラす、それでウケて幕が閉まる
って快感、憧れますと・・・。
伝統の中に現代を大胆に注入するお二人、落語好きには堪りませんな。
三遊亭兼好 × 春風亭百栄
お二人とも遅まきの入門、兼好さん28才、百栄さん32才。
「落語好き」と「落語家になる」のとは、決定的に違う。
落語家になっているのに、落語あんまり好きじゃない人もいるし、
落語をよく知らないで入門する人も・・・・・・。
でも、御両人他での仕事の経験があるだけに、落語の修行は大変ではない、と。
やっぱり普通の仕事の方が大変ですと・・・・。
師匠の好楽さんに「この商売、五十になって食えなくなる商売だから」って
三十代、四十代あたりは、色んな仕事に呼ばれたりして食い繋ぎできるが、
五十になると前座で呼ぶわけにもいかず「急に仕事がなくなる、怖い商売だよ」と。
今の、上方落語でも、四十前までの落語家さん忙しくされていますが、
本当の勝負は、五十過ぎの仕事のあり方、そう考えると一にも二にも、
若いうちの、落語への思い入れと、ひたすら稽古ですな。
三遊亭粋歌 × 柳亭こみち
女流、いや、その言葉は嫌で、女性と改めてもらってますと・・・。
講談の世界では女性講談師の数が男性を上回って久しいが、
落語界では女性は、今なお小数派。
「落語は女性には向いていない」いないと決めつけるのはなく、
粋歌さんは、結局は「個人差」の問題で、不自然でない技量を
身につければ良いだけと・・・・。
この頃、上方でも女性落語家さんを違和感なく
落語そのものを聞いていることも多く、女性がウリではなく
個人そのものが、ウリになろうとしてますな。
落語家さん同士の本音が炸裂、落語の奥深さが垣間見られる。
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