夕暮れ時の、鈴本演芸場。
一、春風亭正朝・・・・・・・・・・・・「そば清」
早い出番にベテランさんが登場。
この辺が、東京の寄席らしいところか。
噺は「そば清」、上方の蛇含草とは、食べ比べる動機がだいぶと違う。
上方では、ちょっとした口争いで意地の張りあいで餅を食べつくす羽目に、
東京では、食べるのを賭け事にして生業に・・そして食べるのはそば。
でも気になるのは、何倍食べれるかを仕事にしているなら、
手に入れた薬草がどれぐらい効果があるのかを試すのがプロ。
試すことなく、飲んだのはうかつでしたな・・・
でも、そうすると家で誰にも知れず溶けてしまって、神隠し物語・・・・・・
「そば清」の話はなりたたないのでおます。
どっしりと構えた、正朝さん江戸らしく、そばの喰いっぷりはかっこいい
餅でも、うどんでもやっぱりこちらでは似あわんのですな。
二、桂ひな太郎・・・・・・・・・・・・「締め込み」
これも、なかなか上方では聴かない話。
でも、筋書は「花色木綿」と似ているが・・・・ひな太郎さん、上品。
浮気していると勘違いする夫婦も、その大喧嘩に湯を浴びながら
飛び出してくる泥棒といい、心底悪人がいないのが落語の基本。
そう思うと、夫婦馴れ初めのはなしも聞きながら、
仲のいい夫婦だけに、ハッピィエンド間違いなしと安心して聴ける。
「締め込み」とは、戸締りのことか・・・ちょっと解らぬサゲで終了。
三、大空遊平・かほり・・・・・・・「漫才」
典型的夫婦漫才、こちらでいう大輔、花子。
嫁はんが一方的に喋くりまくり、旦那がポツリポツリと。
順子・ひろし、昔でいうと洋介・喜多代、捨丸・春代のスタイル。
解っていながら、かああ殿下、他人の嫁さんながら、
一方的に尻に引かれてるのが心地良い。
客席は、そんな中年のおっさんばかり・・・。
間に入る漫才、寄席ならではの楽しみですな。
四、三遊亭歌之介・・・・・・・・・・「漫談」
お目当ての歌之介さん、例のごとく小噺の連続。
でも最初に出会った「龍馬伝」の時の様な衝撃はなし。
慣れたのか、また「龍馬伝」のような元に戻れる筋書きがない分、
不安定飛行で、定まらない小噺に飽きてきたのか・・・。
歌之介さんの落語は、体力、気力、お互いの波長が合う時でないと、
聴くのは危険ですおますな・・・・。
五、宝井琴調・・・・・・・・・・・・・・「お民の度胸」
良かった、講談の宝井琴調さん。
声の張りといい、噺っぷりといい、講談に聞き惚れる。
笑いの少ない江戸の落語だったら、すぐそばに講談が鎮座していそう。
親しみやすさを感じて、他の噺も是非聴きたくなってしまった
琴調さんの清水次郎長伝からの「お民の度胸」でおました。
六、のだゆき・・・・・・・・・・・・・・「音楽」
これまった、素敵な色物との出会い。
アルト歌手(なぜかソプラノではない)と思うようなドレス姿で登場。
カスタネット、ピアニカ、リコーダー、を使っての音楽ショー。
なかなかのテクニックで、楽しませてくれる。
ピアニカなんぞ、アコーディオンの様な響きがして
ピアソラのタンゴの曲が聴きたくなってしまったぐらい。
じっくりと、三十分の高座、いや舞台を聴きたいもんですな。
大阪へも来てくださいな・・・・。
追加、パソコンで調べると、東京音楽大学大学院を首席で修了。
「ピアノ名曲集」CDまでリリースされてるとか、上手いはず。
七、橘家圓太郎・・・・・・・・・・・・「浮世床」
浮世床の読本、姉川の合戦のところを・・・。
読んでる者も、読ませてる者も、暇のもてあましてる者ばかり、
詰まりながらの読みっぷりを、ひやかし半分で楽しんでいる。
周りの微笑が伝わってくる、圓太郎さんのの「浮世床」でおました。
八、林家正楽・・・・・・・・・・・・・・「紙切り」
出会いも三度目ぐらいか、あの身体の揺れにも慣れてきましたで。
「長屋の花見」とか「梅に鶯」のリクエストに、揺ら揺らの中で仕上げてしまう。
お題をだしたお客さんには、その切り絵をプレゼントなんですよ。
こちらでは「愛宕山」「さくらんぼ」「つる」「天神山」「蛸芝居」に「抜け雀」あたりだったら
うまく、切り絵にしてもらえそう・・・・
次回は、リクエストする為にも一番前に座らなければ、といつも思う
正楽さんの「紙切り」でおました。
九、三遊亭金時・・・・・・・・・・・・「浜野矩随」
この十日間、「金時、長編落語」と銘打って特別企画公演。
初日から「二番煎じ、文七元結、ねずみ穴、紺屋高尾、鰍沢、中村仲蔵、浜野矩随、
一日休演があって、藪入り、百年目」と続く、おもしろい企画ですな。
三遊亭金時さん、あの金馬さんの息子さん、どこか面影似ている。
噺は上方ではまず聴くことのない「浜野矩随(のりゆき)」。
何か、教育的な指導が入った様な噺。
その晩、落語日記さんから、
「浜野矩随の登場人物の誰に感情移入します?主人公?、死んだ親父?、
店の大将?、自分自身は、母親が一番近いようで・・・。」の鋭い質問が。
「自分は正しいとその場限りの言葉を発し、良くも悪くも周りに色んな影響を与えてしまう!
感情移入ではないですが、店の店主が一番近いような・・・。」の返事をしましたが・・・。
じっくりと聴きいった、金時さんの「浜野矩随」でおました。
上野鈴本演芸場・夜の部
2013年3月7日(木)
上野鈴本演芸場
一、春風亭正朝・・・・・・・・・・・・「そば清」
二、桂ひな太郎・・・・・・・・・・・・「締め込み」
三、大空遊平・かほり・・・・・・・「漫才」
四、三遊亭歌之介・・・・・・・・・・「漫談」
五、宝井琴調・・・・・・・・・・・・・・「お民の度胸」
仲入り
六、のだゆき・・・・・・・・・・・・・・「音楽」
七、橘家圓太郎・・・・・・・・・・・・「浮世床」
八、林家正楽・・・・・・・・・・・・・・「紙切り」
九、三遊亭金時・・・・・・・・・・・・「浜野矩随」
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