今日は、駒川中野の中井神社落語会ヘ、なんと70回目。
松喬一門の老舗の落語会・・・・新春からの松喬一門の落語、楽しみですな。
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中井神社の鳥居、住宅の方から入ったが、こちらが正面か否か。
本殿の裏手にある、落語会の社殿。
廊下までいっぱいのお客様・・・130名程の満員御礼。
初めて見たアングル・・・腰が痛いので椅子席を選んだのですが、
・・・・やはり顔の表情が半分しか見えないのは、やはりさびしい。
一、笑福亭生寿・・・・・・・・・・・・「花色木綿」
おもしろい、安定感バツグン。
私、この「花色木綿」師匠の生喬さんのが、
最近聴いたのでは一番好み。
「合せ」「羽織」「モーニング」「蚊帳」「現金」と
次から次に、出まかせにやもめが言う。
完成度の高いネタだけに、キッチリ演じるだけでおもしろい。
生寿さんの「花色木綿」、基本に忠実、テンポがあって、楽しい
生喬さんの弟子の証の一席でおました。
二、笑福亭喬若・・・・・・・・・・・・「ちりとてちん」
マクラは、三喬師匠の家のトイレでの、おべちゃらの失敗談。
おべちゃら上手の喜いさんと、つっけんどんの竹さんの違いがおもしろい。
茶碗蒸しと言えば、やはり正月らしい食べ物ですな。
我家では、海老、穴子、かまぼこ、トリ、鰆、銀杏、みつばなんかが入りますが、
まあ、正月料理の残り物、整理ですな。
竹さんが、「ちり・とてちん」を食べてから、臭いを消そうと、
二度も口を酒で濯ぐ顔の表情が、リアルで楽しい。
「道具屋」、「牛ほめ」、「時うどん」、喬若さんの前座ネタ、最高。
「向う付け」、「延陽伯」、「黄金の大黒」など笑福亭らしい
、いや仁鶴さんらしいネタ、是非、喬若さんで聴いてみたいですな。
三、笑福亭三喬・・・・・・・・・・・・「欲の熊鷹」
高座にあがるなり、いつも思いますが、難民船の船底みたいですな。
それでも、ようけ詰っていますな・・・と。
この「欲の熊鷹」まだ、4~5回しか演ってないですが、
今年は、もう少し練ろうと、この会は、気心知れた、亡命者ばかりなので、
お稽古のつもりで、気楽にさせてもらいます。
「欲の熊鷹、股裂ける」という言葉があり、熊鷹が二頭の猪を両足で掴んで、
どちらも欲しいと離さず、ついに左右に駆出し、股が裂けたと
欲深いと、最後には自分に災いが及ぶという譬え・・・・。
三喬さん曰く、二兎追うものは一兎も獲ずの方が、
まだかわいくて、今では残っているのではと。
三喬さんの抜けている方は、いつも、ちょっぴり賢く、
それでいて少し抜けている、その微妙な加減が、おもしろい。
その程度だったら、周りに実際居るような、
そんな現実ぽっさが、三喬落語の真髄か。
噺は、「欲の熊鷹」とも言えるし、「三方三得」か、
それにしても、両替だけで、二割取るとは、
女性の方、なかなかやりますな・・今の銀行の手数料よりエグイですな。
落し物を拾って、届けないのは、拾得物横領で、
これも、三喬さんの、泥棒ネタにはいるんで、おますかいな・・。
「転宅」といい、初めて聴いた時は、どうなるのか、
サスペンス仕立で、筋立て自身が三喬さんの好みなんでしょうな。
四、笑福亭生喬・・・・・・・・・・・・「天王寺詣り」
境内の見せもんで、「のぞきからくり」など、じっくり聴かせる。
早や寿司の前には、巻き寿司屋も登場。
竹独楽や、亀山のチョンベイなど、縁日の風景を紹介してくれる。
僧侶らしい風貌と相まって、今までの中で一番、
ご利益の有りそうな、「天王寺詣り」でした。
五、笑福亭松喬・・・・・・・・・・・・「はてなの茶碗」
今日の、繁昌亭の昼席、酒に酔った人が一人いて、
話に絡んできて、やり難く、思わずキレルかけたと、
繁昌亭ライブで見ると、松喬師匠、充分キレたはりましたで。
いつもは、この一門会、出番のない者は手伝いに来るのですが、
今日は、全員仕事で、出演者以外誰もなし。
あの、右喬ですら、仕事でおりまへんねん・・と。
馴染みの多いお客さんだけに、一門のアイドル的存在に、温かい笑い。
上方の落語と江戸の落語の違い。
特に、笑福亭は角座とかの寄席で育ったもんで、
客に合わせる、客を笑わす、客を愉しませる・・・が、
江戸は、解らなければ、解らない客を、野暮だねで片付ける。
それを、踏まえて、大阪と京の、和菓子の値段の違いを。
「早い、旨い、安い」が、大阪の食文化ですな。
噺は「はてなの茶碗」、やはり現在では、松喬師匠が最高ですな。
京の茶金さんと、大阪の担ぎの油屋の、対比がこの噺のおもしろさ。
思惑のあった茶碗が、単にひび割れの入ったキズ物で値打ち無しと
解って立ち去る油屋に、
「あんさん、大阪のお人。・・・そぉ、だしゃろ、京の人間にそんな真似はできん。
・・・・・・・・・やはり、商いは大阪どすな。」・・・この科白で、笑いがおきる。
ここが、「はてなの茶碗」の醍醐味でおますな。
でも、大阪人だから、優越感で笑っているが、
京での落語会、京のお人は笑えるだけの、度量お持ちでおすか・・・。
満員で、写真で横から高座を見た写真を載せていますが、
その位置で坐って見ていると、松喬師匠、上下の振りを
60度から100度に広げ、時には、こちらまで向いて喋って頂けて、
一体感ができ、やはり嬉しいですな。
演者はお客様に見られ、またお客さんは演者に見られ、
一緒に、その場の臨場感を味わうものなんですな。
やはり、松喬師匠、全てのお客さんを愉しませようと・・・・・、名人でおますな。
今後は、松喬さんの、質の高い一門会、皆勤しなければ・・・・でおます。
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終演後、人生の師匠と仰ぐK氏に、針中野駅前の寿司屋
だいみょうでご馳走になる。
幾つ何十になっても、弟子は弟子ですな。
第70回・笑福亭松喬落語会
2010年1月9日(土)午後6:30開演
中井神社
一、笑福亭生寿・・・・・・・・・・・・「花色木綿」
二、笑福亭喬若・・・・・・・・・・・・「ちりとてちん」
三、笑福亭三喬・・・・・・・・・・・・「欲の熊鷹」
仲入り
四、笑福亭生喬・・・・・・・・・・・・「天王寺詣り」
五、笑福亭松喬・・・・・・・・・・・・「はてなの茶碗」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三味線・・・花登益子
10-03-15
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