ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

初めての和歌山県での落語会~勝一寄席

2009-11-29 21:53:06 | 落語
28日、家の近所の郵便局の局長さんが主催の落語会が、
インフルエンザの影響で、急遽中止に・・・・・・・ああ残念。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

近所つながりで・・・・・・河内長野から、南光、雀々、こごろうさん目あてに橋本ヘ。
近いような、遠いような、私にとって、初めての和歌山県進出の落語会でおますな。


橋本市市民会館・・・教育会館はこの右隣・・
でも場所聞いた教えて頂いた、市役所の女性の二人の親切なこと・・良い街ですな。


250名の大入り満員・・・さすが30回記念公演ですな。


一、すずめ家すずめ・・・・・・・・・・・・・・・・「犬の目」

無駄なマクラも無く、即本題ヘ。
普段、若手、前座クラスが演じるのを聞く機会の多い、「犬の目」。

奇をてらわないが、じっくりと、噺のおもしろさが、直接伝わる。
基本どおりでありながら、年令の貫禄が(47才とか)が、主人公の医者にダブり
映画でいう、味のある脇役のような渋味ある、風情が漂う。

どの落語会よりも、質の高い開口一番でスタートでおます。


二、すずめ家ちゅん助・・・・・・・・・・・・・・「強情灸」

ちゅん助さん、出て来るなり、「よう御参りで」と合掌。
よう似合うスキンヘッドのお坊さん風。

、来年四月で、還暦の大ベテランの噺家さん。
22歳から、素人落語を始められ、平成元年からノバティー河内寄席を主催し、
平成4年河内長野市長賞を受賞された・・・セミプロ落語家でありんす。

「お日さん、お月さん」でもめる、酒飲みのマクラで、酒の噺と思いきや強情から「強情灸」ヘ。

なぜか、江戸前の味がするのは、生粋の大阪弁でないからか。
でも、250名ものお客さんをひきつけるパワーは御見事でおますな。


三、桂南光・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「住吉駕籠」

米團冶さんの襲名のはなし。
77ヶ所の公演。べかこから南光に、私が襲名した時は3ヶ所。
いかに、親の力が・・凄いか。

松江から、翌日の公演先、富山ヘ行くのには。
直接行けそうですが、中途半端で、まずは松江から米子ヘバスで移動。
飛行機で米子から東京ヘ、そして東京から富山ヘと
今だに、語り草なるようなハードスケジュールでしたな。

米朝師匠など、連れ回されて、ある楽屋で「ここは何処や」、「わしは誰や」と、
洒落か、本気か、分らんような科白を。

移動はと、昔は交通機関と言えば、馬か駕籠。
駕籠は、二人で一人を運ぶといういたって非効率な乗り物で・・・。

「住吉駕籠」ヘ。二人の駕籠やの「へー、かご、へー、かご」からはじまり、
茶店のおやじ、そして酔っ払いが絡んで帰るまでをたっぷりと・・・。

酔っ払いが、浄瑠璃たっぷりと語ったろうと、
「駕籠や、わしと越路太夫と、どっちが上手や」
「いや、あんさんの方が、上手でおます」
おなじみの住吉駕籠の半ばでと終わったが、
途中でありながら、30分で充実感あり。

そういえば、最初に、雲助、クモ駕籠の説明が無かったので、
南光さんの「住吉駕籠」は、いつもこの形なのか。

そいいえば、「寝床」も、途中までで「素人浄瑠璃」と、
前半部分から、丁寧に、たっぷり、じっくりと進めるだけに、
はしおってでも、最後のサゲまであえて演らないのは
南光さんの美学か・・・それとも飽き性なのか。

独演会にでも行けば可能なのか、一度フルバージョンを聴いてみたいもんですな。



10分の仲入りをお知らせに出て来られた、ちゅん助さんの後姿。

四、桂こごろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「阿弥陀池」

話をはじめたところで、携帯が鳴る。
すかさず「私やったら、でられへんというといてください」
「今、手が離せんねん」・・「ちょっと、いそがしい」と最高の切替し。

でも、二回できらはったん、今迄で至上二位の早さですなと。
こんなに早くきれるんやったら、最初から切っといた、ええのにと。
じんわり、お小言を、・・・・・こごろうさんのセンスが垣間見えますな。

もとに、戻って、大阪のおばちゃんの口癖のマクラ。
「云うたろか」、「教えたろか」、「教えといたるわ」・・・最後に「知らんけど」
おもろいな、こんなおばちゃん、周りにようけおりますな。

噺は、「阿弥陀池」、
普通は、和光寺に賊が入った時、尼さん胸を肌蹴るのだが、こごろうさん一切無し。
笑いたっぷりの噺だけに、無理に「賊、喜んで、乳吸いよった」なんかいれなくても。
こんなところに、こごろうさんの美学、感じますな。

しかし、この様な仕込んでいって、次の先で失敗するという噺は、不安がいっぱい。
というのは、会場の二ヶ所で、知ったかぶりで喋る人が・・・。

体をかわすで・・・西宮。・・・・・心臓で、・・・心猫、心虎、心にしきへび・・・。
ああ、会場のおばはん言うのではないかと、早くと・・・スリリングな高座。

もういちど、じっくりと、こごろうさんの「阿弥陀池」聴きたいもんですな。



五、桂雀々・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「代書」

まあ、師の枝雀さんの「代書」。
弟子やったら、あたりまえか。
代書と言えば、春團冶。

それを、意識してか、マクラでは、
内弟子の修行時代に春團冶師匠から枝雀師匠宅に電話があり、
その取次ぎでの、失敗談・・・・
前にも聴いたがバージョンアップして、数段おもしろい。

でも、枝雀バージョンの「代書」

・・・「生年月日」
・・・「留めぇ、お前の名前は・・・」
・・・「ポォーン・・でぇす。」

で、大いに個性的、
「へりどめ」の部分、割愛したが、マクラ10分、本題35分の大熱演。
おもしろいですな。

同じ噺でも、笑いのポイントを変えるだけで、違った噺に仕上がる。
ああ、千朝さんで聴いた、フルバージョン、三つありますな。

カレーでも、家でつくるジャガイモたっぷり入ったカレー、
カレーショップのカレー・・、ナンと一緒に食べるインドカレーなど、
カレーと言っても、それぞれ形も味も違うものに進化して、どれもが、美味しい。

春團冶師匠の・・「代書屋」
雀々さんの・・・・「代書」(枝雀氏は別物とあえて代書と命名か)
千朝さんの・・・・「代書」
それぞれが、異なる味になっているが、すべて美味しい
まずは是非、ご賞味あれですな。

今日は、枝雀さんの「代書」が聴けた、満足感たっぷりの雀々の高座でした。



勝一寄席~第30回特別記念公演
2009年11月29日(日)午後2:00開演
和歌山県橋本市教育文化会館

一、すずめ家すずめ・・・・・・・・・・・・・・・・「犬の目」
二、すずめ家ちゅん助・・・・・・・・・・・・・・「強情灸」
三、桂南光・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「住吉駕籠」
仲入り
四、桂こごろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「阿弥陀池」
五、桂雀々・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「代書」

09-77-338
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世界は「使われなかった人生」であふれている~沢木耕太郎

2009-11-25 05:38:43 | 本の少し

世界は「使われなかった人生」であふれている
沢木耕太郎
暮らしの手帖社・1300円
☆☆☆☆

どんな人生にも、分岐点になるような出来事がある。
それか、自分自身に大事な分岐点になるとわかっていることもあれば、
かなり時間が経ってから、初めてわかることがある。
その時、選んだことで、別の自分があることだけは、事実である。

「使われなかった人生」と、「ありえたかもしれない人生」は、
よく似ているように思えるが、微妙な違いがある。

「ありえたかもしれない人生」は、もう手の届かない。
だから、夢を見るしかない、遠さがあるが、
「使われなかった人生」には、
具体的な可能性があったと思われる近さがある。

あの時、違う決断をしていれば、今ではどんな人生になっていたのか。
私にも、二つ、三つの人生の岐路はあった。

「使われなかった人生」とは、何なのか。
考えることが、後悔ではなく、今を大切に生きる力となる。

そのような、人生を、30の映画評をまじえて紹介する。
元々は、暮しの手帖に連載された中から、
筆者の沢木耕太郎氏が選んだものである。

映画を題材にした・・・・・お勧めのエッセイである。


世界は「使われなかった人生」であふれている (幻冬舎文庫)
沢木 耕太郎
幻冬舎

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久しぶりの田辺寄席~第515回・桂一蝶の会

2009-11-22 13:42:42 | 田辺寄席
今日は、久しぶりに田辺寄席に、一蝶さんの段、首提灯と高津の富、
タイトルどおり、じっくりたっぷり聴かせてくれるのか、期待


開口一番・・・・・・・文太・・・・・・「か」・がたろう

がたろう、かっぱ、河童のこと。
西遊記では、孫悟空は猿、猪八戒は豚(猪)で、中国も日本も共通だが、
沙悟浄は、中国では妖怪、日本では河童となる。他国文化のこなしは上手い。

河童は、沼にいて、馬などが水を飲みにくると、引きずり込み、
お尻にある、「しりこ玉」をとって溺れさすと・・・・「しりこ玉」って何。

落語では、商売根問で、動物園に無いものを捕らえて、見世物にしようと、
河童が出てくるぐらいか。

上方落語で、「がたろう」というと、我太呂さん。
今の文我さんの弟子の、まん我さんあたりが、継いでほしい名ですな。


一、露の雅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸賽」

露の都さんの一番弟子。その下に「眞」と続く。
まだ、弟子入りして、ニ年目らしいが、頼りないような、しっかりしているような。

小狸が、昼間の恩返しに、何でもさせて頂きますと。
賭け事が好きなので、「馬に化けてくれ、本命外だから、一番になって、大儲け」
小狸「化ける事はできますが、一着になるように走ることができません」と・・。

あれ、こんなの初めて。次はと、博打打ちなので「サイコロ」にと、化けさす。
ああ、いつもの狸賽に戻ったと思いきや、2は両目、「1」は口、「3」は両目と口、
「4」は分身の術で両目の倍、「6」は分身の術で3の倍、「5」はそこから一つ口を閉じる。
5まで、符丁、教えてどうすんの・・。

さて、本番、「2の目」、「1の目」、「3の目」を
「たーちゃん」と呼びながらで、丸儲け。

最後は、「5」ではなく、「6の目」。
「たーちゃん、3の分身やで、3の分身やで」
開けてみると、「3のサイコロが、ふたつ」・・・。

雅さんが、考えた「狸賽」か。
へそまがり的な落語だが、雅さんの他の噺はどんな展開になるのか、
何となく、興味涌きますな。


二、桂一蝶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「首提灯」

一蝶さん、昔このあたり住んでいた事があると、
実はそのマンションに、我が友人が今、住んでいる。

今日は、二席で、結構プレッシャーになっていると、
洒落か、本音か、わからい様子。

昭和町の商店街が「あきんど商店街」と名を替えていた。
日曜なのに、空いているので、店の人に聞くと、
「昨日と一昨日は混んでましたで」
「ああ、金土、商店街」と即興のマクラでスタート。

まずは、首提灯。
酒は、ぬるいと、少し足してから、再び燗をさせる。
今度は、熱すぎると、また、うめさせる、・・都合二回
勘定が、ほんま、ややこしなる。

酔い方も、そんなにぐでんぐでんではないので、
単に、ただの物(こぼれた豆、付き物のおから、生姜)を食べる酔っ払いに。

でも、上燗屋をからかいながら、その応対を遊んでいる、
嫌味に見えないのは、一蝶さんの人柄。

それにしても、あの気のいい酔っ払いが、仕込杖で試し切りをするとは
マサに、ジキルとハイド、二重人格ですな。

道具屋からの後半は、淡々としていて、逆に一蝶さんの世界、
雰囲気がでていて、好きでしたな。

一蝶さん、「上燗屋」では、ものたりず、
必ず「首提灯」まで聴かせてもらわなければ、あきまへんで。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「藁人形」から

これまた、筋としては、後味の悪い、噺。
願人坊主の行念を、女郎屋のお熊が、騙す。

今でも頻繁におこっている老人の詐欺と同じように、
気の弱くなっている人を騙すのは
、あまり笑いのネタとすれば、愉しくないですな。

三枚三請ではないが、色街で騙す、騙されるは当たり前ですが、
それはまた、普段から遊んでいる人なら良いですが、相手によりけりですな。

サゲは、呪うのに、藁人形を油で揚げているので、
「釘を打たんのですか」
「ああ、あいつは、米屋の娘。ぬかに釘や」

仲入り


仲入りに各テーブルに用意されているお茶と、お菓子。
ウエハースから、マシュマロ、結構懐かしいお菓子がいっぱい。


今日は、少しゆったり目の100名強のお客さん。


四、桂春雨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「町内の若い衆」

よろしいね。・・・・・・春雨さんの噺・・・・江戸っぽくて。
笑いは少ないが、最後のサゲで決まる。

「若い衆が、よってたかってこしらえてくれた」
ほんと、この一言の為に、この落語がある。

虚弱体質が売り物の、春雨さん。
カロリー、エネルギーが体に溜まらない体質とか・・。
糖尿の気がある私には、羨ましい限りですな。
医学用語に堪能には、おそれいりましたが。

上品で、粋で、端正、粋な噺家、見つけたり・・・春雨さん。


五、桂一蝶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「高津の富」

「金は、天下のまわりものといいますが、どこへでも行くのではなく、
その道筋、ルートが決まってます」と、枝雀師匠のマクラでスタート。

一蝶さんの良さは、主人公のキャラを無理につくり上げないことか。
田舎者でもなく、老人でもなく、詐欺師ぽっくもなく・・・・・。
どこにでもいる者が、偶然宿屋に泊まり、偶然富くじに当る。
あの、興奮さめやらずは、一般庶民であれば、ああなるんでしょうな。

今年の、年末ジャンボも、明日から発売。

枝雀師匠曰く、
「ちょっと気になることを耳にしましたが・・・聞くところによると、
あの、宝くじの当選者は、あの宝くじを買った中から選ばれると」

「当るには、まず宝くじを買わなければなりません」と、
億万長者になるには、まず、宝くじを買わねば・・・。

笑う門には、福来るで、期待して、買いまっせ。


第515回・田辺寄席・新・じっくりたっぷりの会ー桂一蝶の段
2009年11月22日(日)午後1:10開演
阿倍野青年センター

一、露の雅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸賽」
二、桂一蝶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「首提灯」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「藁人形」から
仲入り
四、桂春雨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「町内の若い衆」
五、桂一蝶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「高津の富」

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ワッハ応援~島之内寄席・11月席

2009-11-21 23:52:39 | 島之内寄席
移転問題でゆれるワッハ上方ヘ、存続の期待を込めて、島之内寄席ヘ。





鶴二さんは、いうまでもなく、お目当てだが、
佐ん吉さんの田楽喰いはおもしろいとの噂、「持参金」は私の好きなネタであるし、
呂鶴師匠の「近日息子」は迫力たっぷり。、三喬さんの「へっつい幽霊」は初めてだし。
演者と演目が楽しみな、期待いっぱいの落語会ヘ。


開演前の熱心な落語ファンで、予定五分前に開場。


一、桂佐ん吉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「田楽喰い」

酒を呑もうとするが、金を出せる者は誰一人としていない。
そこで、兄貴の処に届いた酒樽を目当てに、「んづくしで」豆腐田楽を取りあいをする。

「きゅうりん・・。トマトん・・。ナスビん・・。・・・今風に、アスパラガスん・・。
ブロコリン・・。」と今、八百屋にあるすべてを列挙。
南瓜(パンプキン)まで、なかなか到達しない。

「でんでん虫の歌」や、「一休さん」など、
たくさん笑いのネタを仕込んだ楽しい「運廻し」。

佐ん吉さんを見る。楽しいネタが一つできましたで。


二、桂花丸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸の鯉」

地方に呼ばれた時の、花丸さん紹介の「これが、芸達者という、落語家に」というマクラ・・。

「狸の鯉」、助けられた狸が、お祝いの鯉に化けて出かける。

このような噺、本来、演目が出てなければ、おもしろさは増す。
「ああ、狸賽」と思いきや、展開が違うと・・・あれえ・・と・・・。

その時の客の反応を見て、演者は快感でしょうな。

狸が、人間に助けられて、色々なものに化けて、恩返しする落語。

前座噺で、札、鯉、賽、釜の四作品があるらしい。
狸賽が断トツで、有名だが、残りの札、釜はどんな噺か興味有りますな。

是非、花丸さんには、四部作、制覇して欲しいですな。


三、桂楽珍・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「持参金」

楽珍さん出身の奄美では、持参金替わりに、豚を持っていった時代があったとか。
借金の話から、ご自分のサラ金時代の話ヘ。
余りにも、取立てが厳しく、死のうと思ったが、「遺書」の「遺」の字が書けずに、
「い書」では、かっこが悪いので、思い止まったとか・・・。

この噺、楽珍さんは、ご結婚というより、借金という面で演じます・・と。

楽珍さんのお鍋さんの容貌は、メタメタ。
私は、お鍋さんは、美人では無いが、どこか愛くるしくて、愛嬌があって、
やもめは、この縁談、基本的には喜んでいるというのが好き。

この縁談、良い所に収まって、やもめも、お鍋さんも、番頭さんもみんなが幸せにと、
ハッピイエンドの話が、嬉しいのですが。

でも、この噺、いつも思うのは、長屋の狭い部屋、翌日の朝、番頭が尋ねて行った時、
お鍋はんは、どこにいるのか。

気の小さい私、いつもか顔を会わすんではないかと心配。
「番頭はん、実は昨日、私も嫁さんもらいましてん」
「そら、めでたい時に悪かったな」・・「それで、嫁さんは」
「いや、まだ持って来るもんがあると、朝から取りに行ってますねん」と

すれ違いにでも、してもらったら、ちょっとは安心できるのですが。

「まあ、金は天下の回りもん」と、楽珍さん、最初に断わられていましたが、
人より、お金を主体の演出。・・・・
持参金目当ての、やもめの気持が、会った後もお鍋はんに向かないようで
このままでは、お鍋はん、幸せになれないような・・そんな・・気がする。
後味の悪い・・・「持参金」でおました。


四、笑福亭呂鶴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「近日息子」

「我々同様と申しましても・・・・・」から、
昔ジャンジャン横丁にあった、新花月の客がいかにガラが悪かったという話へと。

この噺、作ぼんよりも、スカタン言う人に、腹を立て一気にまくしたてるお方が主人公。
呂鶴さんも、血圧が上って、血管切れるのではないかと心配するぐらいの熱演。
マルキのパン、では、高座で立ち上がる。
たまさんの逆立ちは見た事があったが、舞台での仁王立ちは初めて。
呂鶴さん、大きいだけ、迫力ありましたな。

「文華」、「文太」さんでしか、知らないこの噺。もっと他の演者でも聴いてみたいですな。
福車、遊喬、かい枝、雀太、まん我、さんなんぞ、お聞かせくださいな。

仲入り

本日は、見台を外す事なく、全員置いたままで・・・。


五、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「稽古屋」

いつ聴いても、安定感のある鶴二さんの「稽古屋」
今日は、時間制限があるのか、色事根問いも、二男と、四芸とふたつだけ。
喜六丸のポンポン船も、小さい踊りは、どこで御稽古してんねんも無い

ほんま、収縮自在は、さすがプロですな。

でも、この噺、「越後獅子」は入るは、「狂乱の太鼓地」と、
今日は内海英華さんのこれまった、ええお声。・・・・・上方落語、堪能でおますな。

そして、鶴二さんの「喜撰」、よろしいな。
客席の奥までええ声聞かしたろうと、余裕まで伺えましたで。


六、笑福亭三喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「へっつい幽霊」

この噺の、三喬さんの作ぼんが好き。
抜けているというより、ええとこのボンで、色街で遊ぶが、世間ずれしてないのが良い。
新町の小里との、のろけも聴いていても、ほんわかと心地よい。

脳天の熊も、作ボンの実家からとってきた、300円。
幽霊に全額、とりあえず返す。・・博打打ちだが筋は通す、律儀さ。

そして、からっけつの八、幽霊でありながら、博打好きは直らず。

「バカは死ななきゃ直らない」というが、
案外、今の性(サガ)は、死んでも、直らないんでしょうな。

久しぶりの、島之内寄席、当日でも入れそうなので、
これからはちょくちょく、お伺いしようと・・・・・・・。


島之内寄席・11月席
2009年11月21日(土ー9午後2:00開演
ワッハ上方・ワッハホール

一、桂佐ん吉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「田楽喰い」
二、桂花丸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸の鯉」
三、桂楽珍・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「持参金」
四、笑福亭呂鶴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「近日息子」
仲入り
五、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「稽古屋」
六、笑福亭三喬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「へっつい幽霊」

09-75-328
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129回・なにわばなし かみなり亭~仁鶴一門会

2009-11-14 23:09:47 | 落語
私の、落語へのきっかけである、仁鶴師匠の一門会。
幼い時の、生まれた土地を訪れるような、ドキドキ感で、いっぱいだが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

年季で入ったのか・雨模様の湿気の所為か、しわしわの表看板


どっしりとしたかみなり亭の舞台

谷六の四番出口を上ると、すぐそこが薬業年金会館。
会館の5階ヘ上ると、既に20名ぐらいの方がロビーでお待ち。
定刻の6時から受付開始、ゆったりとした間隔でお座布が置いてあり、
50名ぐらいかと思いきや、最終的には70名ぐらいか。

今日の、チラシを貰って、あらら、「狸茶屋」は、ねたのたねでは、仁智さんだったのに、仁扇さんに。
決して、仁扇さんがと言う訳ではないですが、あのネタを仁智さんが演れば
しっちゃかめっちっかで、さぞおもしろいと期待して来たのですが・・・。


一、笑福亭仁昇・・・・・・・・・・・・・・・・・・「子ほめ」

出てくるなり、今日のネタは、珍しいですが、いたって短く。
本ネタだけやると、全員でも、一時間で終わってしまうので、チラシの紹介を。

まずは、年明け4日のご本人さんの、独演会。
仁鶴師匠が出演、繁昌亭には、できて3年高座で落語をしたのは一度だけ。
今回で二回目。お年も72才。次は75才とすれば、最後かも・・・。
貴重な高座になるので、是非、本日チケット購入をと・・売り込み。

それと、12月25日の仁鶴一門会、メンバーを見て、
仁鶴師匠以外で一人抜けていますが解りますかと・・・・・
解らず、帰ってから調べると・・・正解は仁幹さん、
そういえば上方落語家名鑑にも掲載無し。・・・何でや。

今年は、春先から病気になり入院、退院後も思うように喋れないのが続いたが
ようやく喋れるように・・・完全復帰を目指しての独演会・・よろしく。

「子ほめ」。絶好調ではないのか、次の台詞を思い出すというか、
テンポに乗りきれず、何も考えないアホが、考えてる間が、客席の笑いをこぼす。

でも、健康第一。笑いは百薬の長とか。
ご本人さんのリハリビ兼ねて、あちこちでの落語、たっぷりと期待してまっせ。


二、笑福亭仁嬌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「明石飛脚」

米朝上方落語選(立風書房)に載っていて、40年前に好きだった噺。
今、上方で演る人はまずいないらしい。

今日の目的の一つは、この噺を聴きたさに参加。
でも、この噺、正味は8分足らずか、まあプチ落語ですなと。

サゲは・・・、
「明石、ああ、走るより寝ている方が早かった」
で終わったと思うと、すぐさま次へ

次のサゲは・・・
野雪隠にしゃがむなり、懐の握り飯の包みを落とす・・・。
「ああ、近道しよった」

この飛脚が・・なんぼでも続きまんねんと・・・
最後は、うわばみのお腹の中を走り抜けて、思わずうわばみ
「しもた、褌しといたらよかった」

まあ、終わったと思ったら、続く、この噺の組立てがおもしろい。
でも、時折の噺っぷりに、師匠仁鶴さんの陰がちらちら。
それが、とっても、懐かしいでおましたな。

三、笑福亭仁扇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸茶屋」

今、これを演じるのは、可朝さんぐらい、貴重なネタですが、
色町の噺で、下ネタっぽい部分もでてくるので、女性、特に若い女性の方、お許しを。

まあ、これもネタ自体は、プチなので、
仁扇さんが、大和郡山で初めて先輩に連れて行かれた時の話しや・・
・・まるで「仁扇さんの、キタ・セクスアリス」もいれながら・・・・

随所に、こんな話して良いのやらと、何やらそういう処を説明すればするほど、
御自分が実際行ったようで、語るのも恥かしいという気持と戦いながらの高座。

「照らし」とか、「不見転(みずてん)」とか、もう少し業界(ギョウカイか)用語を
詳しく、教えて欲しかったですな。ミズテンものとよう言いますが、水物と思いきや
案外、語源はこんなとこに・・・・・・。

噺全体、あまり、いやらしく聞こえ無かったのは、仁扇さんの人柄か。

サゲは「お客さん、狸だっしゃろ」
「ええ、わいの大きいのん、誰に聞いたんや」

四、笑福亭仁福・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「黄金の大黒」

今は、仁鶴一門外で演るのは、雀三郎だけとか。
そういえば、この二、三年で聴いたのは、雀五郎さんと、文太師匠か。

この噺、仁福さん、おもしろいところが無くて、盛りあがりに欠けると。
でも、中学生の大昔、二鶴師匠の中でも、「向付け」とか「牛ほめ」とか
私のお気に入りの噺でした。

家賃の催促かと大騒ぎする長屋の連中、
おさきさんの「家賃て何です」、「いっぺんももうたことが無い」とか、

一枚の羽織を取り合いし、挨拶に行く時の「羽織トンネル開通式」
「こんにちは、。コンチハ、今日は・・・・アイスクリン」とか。

座敷に上がってから、当たっても無いのに、
一人芝居で崩れたといい寿司を食べるシーンなど
子供心に、おもしろかったんですな。

仁福さん「羽織トンネル開通式」とか、「アイスクリン」など
いまどき、笑わへんなと、言いながら演じておられましたが、
私は、その仁鶴師匠のギャグ的フレーズに、おかしみを感じてたんでしょうな。

四人をとおして、本人がいなくても、仁鶴師匠を懐かしめる立派な一門会。
時間的には、一時間半のプチでしたが、中身は「仁鶴色」で充実。
40年前に、タイムトリップした様に、懐かしさに浸った落語会でおました。



代129回・なにわばなし かみなり亭
2009年11月14日(土)午後6:30開演
薬業年金会館

一、笑福亭仁昇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「子ほめ」
二、笑福亭仁嬌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「明石飛脚」
三、笑福亭仁扇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「狸茶屋」
四、笑福亭仁福・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「黄金の大黒」
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今年、最悪の本~野蛮人のテーブルマナー

2009-11-11 21:53:33 | 本の少し

野蛮人のテーブルマナー
佐藤優
講談社+α文庫・667円


今年(当時、2009年)、読んだ中で最悪の本。
先週読み終えていたが、感想も書く気にならなくて、ほったらかしに。

「国家の罠」などで、骨の有る作者と贔屓で、佐藤優の名前だけで、
昼休みに、パラリと見ただけで購入したが、大反省。

お小遣い稼ぎに、雑談程度に、ちょこちょこと書いた本か。
中身は、いたって無い、ほんと、私にはそう感じましたな。

血の色に黒字の装丁と、帯の、・・・・・酒、賭博、セックス、暗殺工作・
野性と知性を兼ね備えた諜報活動の実践者が、
ビジネス社会で生き残る「掟」を伝授・・・。に騙されて・・・。

ああ、なんと、、過大広告に踊らされて、期待してしまった自分に、がっかり。
夜の世界では、度々ある事だが、マサか、本でこれほど裏切られるとは・・・
それやったら途中で止めて、捨てたら良いのに、一応は、最後まで読んで仕舞いましたで。

本書きは、やはり一冊も、中途半端な、駄作は書いてはあきまへんな。
全作品のクオリティの高さが、作者としての良心でおますな。

たった670円の本で、文句言過ぎでっか。
普段、本との出逢いでは、愉しい思いでいっぱいだけに、残念度お察しあれ。



野蛮人のテーブルマナー (講談社プラスアルファ文庫)
佐藤 優
講談社

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居残り佐平冶・聴きたさに~文太の会(虎武士亭)

2009-11-08 23:15:09 | 田辺寄席
ようやくのお休み。・・・・、「居残り佐平冶」と「桑名船」を聴きたくて、文太さんの会ヘ。

「居残り佐平冶」は、昭和43年9月の、うめだ花月東西精選落語会で、談志師匠で聴いているんですよ。
佐平冶のかっこ良さだけは、印象に残っているが、大昔のことで、噺の詳細は霞の中である。

初体験の「桑名船」と合わせて、楽しみですな。


前回に続き、会場の寺西家


お庭にある、不思議なオブジェ・・・・古い鬼瓦か何かで作成か。


開口〇番・・・文太師匠登場。今朝の朝日放送のなみはや落語は、丁度文太師匠で
「百人坊主」、ノーカットの30分放送で、最後にこの会の事も宣伝され、何と
そのあと、大久保さん宛てに5人もの電話があったとか。

でも、いつもの虎武士亭の60名からは、本日は半分にも満たない入り。
飲み会主体の・・・・2500円で、料理と飲み放題というのが、魅力だったのか。

まあ、暫くは、原点に戻って、文太師匠の二席を楽しみに
、じっくりと聴いて頂くファンづくりからですかな。


一、桂枝三郎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「天狗裁き」

本来は、そうばさんが、トップの出番だが、枝三郎さん次の仕事があるので、最初に高座に上がる。
マクラは、インフルエンザに、結婚詐欺事件など、今の、旬のネタがおもしろい。

噺は、先週の鶴二さんの完璧なる「天狗裁き」を聴いた後だけに、
日なたに置いたビールのごとく、気の向けた、緊張感のない話に聴こえる。

天狗の声の時は、空手で喉を叩いて、子供の時宇宙人ごっこした時の声を出す。
重みも、恐ろしさも、威厳も、深々とした鞍馬の風景もない。

本物の味を知ってしまった後には、何を食べても、もみなく感じてしまうのか。・・・残念。


二、桂そうば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ろくろっ首」

今年で5年目、今だ独身。27才で入門、それまでは薬の営業をしており、
九州の実家からは、年に2、3回のお見合いの話があったが、噺家になってからは、皆無。
三男坊で、次男の兄貴の見合いの際、釣書の私の欄は大学卒業後空欄のまま。
オカン曰く、後はなまじ書かん方が良いと
結果、実家では、この仕事、今だ認めてないのでは・・・。

男女の、縁から「ろくろっ首」ヘ。
前にも、増して九州訛りが、増幅しているが、
ざこば師匠の勢い出てくるとこでは特に目立つ。

・・居直っていうるのか、・どんな落語を目指しているのか・・・。

ご大家の若旦那が出てくる、七段目、親子茶屋、立ち切れ線香など、
大阪らしい船場言葉でないと、匂いがでないと思うのだが。・・・残念でおます。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「桑名船煙管遺取」

「兵庫船」、「小倉船」、「矢橋船」での、なぞかけとか、色問答とは、違い
五七五の俳句で遊ぶ。

最初に、侍が船の船べりからキセルの雁首を飛ばし、海の中へ、チャッポン。
そのあと、問答があり、・・・・侍が、海の中へ。

サゲは、「船底でも、穴をあけようとしたんでは」
「いや、キセルの雁首を探しに」・・・・・と。

問答も、「兵庫船」、「矢橋船」なんぞの粋さも無く、
やはり演じられる機会の無さは、ウケ無いからなんでしょうな。

東京での、桑名船は、兵庫船と瓜二つらしいが・・・。


四、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「居残り佐平冶」

ちょいと遊びに行こうと、四人の仲間を誘って、福原ヘ、
新町でも、飛田でも、松島でもない、すぐに帰れぬよう遠い色町に設定か。

居残りをする為に、常連客に女ののろけを伝え、良い気持にさせる。
このあたりから、「ヨイショ、ズドーン」と佐平冶の真骨頂。

人間、どんな状況でも、生きるバイタリティがあるのは、いいね。

遊び人だけに、立場替われば、客が何を欲しているのか、一番わかる。・・・憎いね。
贔屓から、あいつよ呼べと、「いーさん、は」と、ご指名が頻繁にかかる。

若い衆が、仕事がとられと、店主に訴え、ついに店を追い出される事に。
佐平冶、店主に、最後には、遊びの代金は要らぬと言わせたうえ、
そのうえ、30円の金と、新調の着物まで、セビリ、貰う。

一般のルールを無視した時点から、立場が逆転、強み、凄みが出てくる。

サゲは、表から堂々と出て行く佐平冶に、文句を言う若い衆の
「裏から出せばいいのに」
店主「また、裏を返されたら、大変や」・・・。

まあ、「居残り佐平冶」というより、「居直り佐平冶」だったんですな。
うん十年前を、思いだしながら、
懐かしく聴いた文太師匠の「居残り佐平冶」でおました。



文太の会(虎武士亭)
2009年11月8日(日)午後2;00開演
昭和町・寺西家

一、桂枝三郎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「天狗裁き」
二、桂そうば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ろくろっ首」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「桑名船煙管遺取」
四、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「居残り佐平冶」

09-73-318
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第12回・笑福亭鶴二独演会~今年は充実の三席

2009-11-01 22:47:23 | 笑福亭鶴二

・・第12回・笑福亭鶴二独演会・・

通い初めて、早三年、11月の恒例の鶴二さんの独演会。
今年は、独演会に相応しく、鶴二さん三席。



補助席まで、出た満員の会場。(仲入りのトイレ帰りに撮影)


一、笑福亭たま・・・・・・・・・・・・・・・・・「いらち俥」

やはり、鶴二さんの独演会で遠慮してか
、いつものど派手ではなく、控え目な着物で登場。

たまさんの「いらち俥」は、動きが漫画チックで最高。
舵棒の上げ下げで、大爆笑。

いらちの俥屋の、市電との出合いででの達者ぶりは、
どの演者よりも、無駄の無い、賑やかで、大きい動きでおもしろい。

箕面からの帰りでは、市電とのぶつかる場面は、
からだも顔もフル活動の、スローモーションで、演出。

ぶつかって、飛んでいく最中・・・・・・・・・
「気になってますが、持ち時間がきましたので・・」で、爆笑の中、下座。

ほんま、時間がある時の、最後のサゲ、どんなのか気になりますな。

あの世での、続編「いらち俥」、見たくなるぐらい。
(勝手に、亡くならしておりますが)
次回に続く、余韻を残した、好演、たまさんの「いらち俥」でおましたで。


二、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「米揚げ笊」


「待ってました」、「鶴二」の掛け声の中、高座ヘ
坐るなり、お客さんが、ご祝儀をもって舞台ヘ。
いつもながら、独演会らしいはじまりですな。

第12回目で、満員のご来場、誠に有難うございますと。
12年前に、この上の、ワッハ上方のレッスンルームで、
鶴児から鶴二に替えたのを機に、第一回目をスタート。

マクラも、少なめに、即、噺に。

いつもながら、鶴二さんの「米揚げ笊」、
どっしりとした中にテンポがあっておもしろい。

「小ほめ」、「延陽伯」、とか今日の「米揚げ笊」なんぞを、
たっぷりと演じた時の、鶴二さんも最高。
逆に、笑福亭らしさを私は、感じてしまう。

三席ならではの、独演会、まずは鶴二さんの落語に客席が和む。


三、笑福亭遊喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「胴切り」

鶴二さんの独演会ですから、ネタから気つかいますが、
「胴切り」は、鶴二さんが決めたネタで、一切私には責任ありませんと・・。

まあ、いたって不思議なSF的噺で、是非ついてきて欲しい。

試し切りにあうた、喜六・・・胴と足が別々に。
けな気について来る、あんよが可愛い。
指での、足の動きも、愉しい。

軽い噺を、逆に遊喬さん重みのある噺に。

でも、この噺で一番好きなのは、おかみさん。
気楽なのか、気丈夫なのか、「足どこに、忘れてきたん」と、
我が亭主が、切られても動じない無いのがよろしいな。
(常々、土壇場で、肝がすわっているのは、おなごはんと痛感しておりますが)

血肉を分けた兄弟、胴の兄貴と足の弟の掛け合いが・・・・。

よう考えると、「いらち俥」と「胴切り」、鶴二さんのニンとは違う噺。
でも落語が大好きで、噺も好き、噺家も好きと、認め合っている、
証のゲストであり、演目でおますな。


四、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「天狗裁き」

今回の独演会を目指して、春先からネタおろしした「天狗裁き」。
何度も聴いたが、今年最高の出来でおますな、
この日、当日にベストをもってくるなんて、鶴二さん、凄い。

女房、隣の徳さん、家主、奉行、鞍馬の天狗と
、各自各様の興味がエスカレート、夢の中身の詮索に。

立場の上にいる奉行と天狗になればなるほどおもしろい。
そして、鶴二さんの天狗さん、上品で、高貴な方の、品がある。

この天狗さんの上品さで、この噺、全体の品格を、
鶴二さん、創りだしている。

人間国宝、文化勲章受賞の米朝師匠ばりの、正統派「天狗裁き」
ゆったりと、誠に、格調高く、最高でおましたで。

今日の三席では、ごまめの一押しは、「天狗裁き」、できまりですな。



贔屓の方の寄贈された、色艶やかな、新調のお着物。
Takeshi Masuda PhotoGrophyより転載、
独演会の多くの写真は是非このブログから。

仲入り

五、シンデレラ・エキスプレス・・・・・・「漫才」

今年、上方漫才大賞奨励賞受賞に、乗りにのっている
シンデレラ・エキスプレス。

「なんちゃら、かんちゃら」と仁鶴師匠の、物真似も挟みながら、スタート。
ツッコミ役の、松井成行さんが、実は演歌歌手になりたかったと、
その、初デビューの司会を、ボケ役の渡辺裕薫さんがやる。

山本譲二の「みちのく一人旅」のむこうをはって、ご当地ソングで
・・・・・・・「蒲生四丁目」・・・・・・・・・。

大川栄作の「さざんかの宿」に対抗して、わけありたっぷりで
・・・・・・・「カンポの宿」・・・・・・・・・。

サブちゃん、「北の漁場」で、北がつくのはヒット間違いなしで、
・・・・・・・「北のミサイル」・・・・・・。

同じく、サブちゃんで、「祭り」、手拍子付きで、元気良く、
・・・・・・・「山崎、春のパン祭り」・・・・・・

そして、入れ替わって、八代亜紀の「舟歌」で「鼻歌」・・・。

おもしろい、嫌味が無くて、
しゃべくりで骨組みがしっかりしていて、いたって古典的だが
中身は、意表をつかれ、最高に斬新。

いとこい先生も、新作、の時はこの様な、おもしろさだったのか。
オチが速射砲みたいに、次々沢山出てくる、漫才もおもしろいものですな。


六、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「くっしゃみ講釈」


笑福亭の十八番というより、
仁鶴師匠で、私が笑福亭ファンになったネタ。

これが、ついに、鶴二師匠で聴けるなんて、幸せですな。

からくりのくだりの節回しは、誰よりも上手いし、
講釈は、本多平八郎が出て来るくだりまでたっぷりと語ってくれる。

くっしゃみを堪える表情は、以前にもまして表情は豊かに、
見るたびに、常に変化、進化しているのには、おそれいる。
講談に、くっしゃみが入ってくる様は、名人芸でおます。

昨年の「禁酒関所」、「紙屑屋」に引続き、
今年の{天狗裁き」と「くっしゃみ講釈」といい、
毎年のネタおろしはすべて完璧。

来年は、一席は「愛宕山」とか、
そして再来年の25周年には「らくだ」に挑戦とか。

毎年、毎年、新境地を開拓する鶴二さん
もう今から、来年の独演会が楽しみでおますな。


第12回・笑福亭鶴二独演会
2009年11月1日(日)午後2:00開演
ワッハホール

一、笑福亭たま・・・・・・・・・・・・・・・・・「いらち俥」
二、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「米揚げ笊」
三、笑福亭遊喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「胴切り」
四、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「天狗裁き」
仲入り
五、シンデレラ・エキスプレス・・・・・・「漫才」
六、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「くっしゃみ講釈」

お囃子・・林家和女・早川久子・桂福矢・笑福亭呂竹・笑福亭生寿
お茶子・・浪江佳代

09-72-314
http://www.eonet.ne.jp/~tsuruji/index.html
・鶴二さんのブログ・・・結構、落語会情報は遅れ気味ですが。
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