ABCラジオ上方落語をきく会
久し振りのドラマシティ、900人の会場は大入り満員。
初めての公開録音の現場に、それも生放送。
時間内に収めるのがいかに大変か。
そんな貴重な体験を、でもそれ以上にトリの文珍さんは別として、
今の上方の中堅どころの落語家さんばかり、ほぼベストメンバー。
充実の落語会の始まりです。
まずは、フロアーディレクターのスタートのキューとその5秒前の拍手の練習から・・・。
一、桂吉の丞・・・・・・・・・・「子ほめ」
吉の丞さん、実はチケット販売の時には、お名前はなかったのですが、
今日の生放送に入る前の音声調整も兼ねての、前座役で登場。
「私のは、放送されませんのでお気楽に・・・
でも、出来が良ければ後日なみはや亭で使って頂けそうなので、よろしく」と、
良かったでっせ。
省くところを上手く省き、どっしりとした良いデキ。
是非、ラジオでもう一度聴いてみたいです、朝日放送さん。
落ち着いた高座、前座がよければ、落語会は締まりますな。
二、桂春蝶・・・・・・・・・・・「昭和任侠伝」
「昭和任侠伝」、お父さんの十八番。
でも、今の春蝶さん、交番の巡査さんはミナミの帝王の竹内力で登場。
刺青を入れるとこなんぞは、オカマチックに。
でも、よろしいな「鶴田おじき」に「妹のさくらはもう寝たかい」
「おまえ角の八百屋の子やないか」などのキマリ文句。
それで云うと、「今、停電じゃ」のサゲを聞きたいというと、歳がバレますかなぁ。
三、桂南天・・・・・・・・・・・・「動物園」
定番の、大阪のオバチャンのマクラでスタート。
ほんま、南天さんの「動物園」、レジェンド、伝説ともいえる高座でおましたな。
でも、見て楽しい南天さんの「動物園」、ラジオでどれだけ伝わったのか。
両手で前足を表現・・・その間隔でいろんな動物の違いが、
揃えると猫や虎、ちょっと広げると犬、更に広げるとカバ、最大にするとワニ。
観察力の鋭い南天さんの凄さ。
まあ、2014年の上方落語をきく会での、南天さんの「動物園」最高、
・・・・・・・・まさにレジェンドでおます。
四、桂文華・・・・・・・・・・・・「八五郎坊主」
じっくりと聴かす文華さん、
大爆笑の笑いの空気が残っている中で、やり難そう、
見た目が、がらっぱちの文華さん、
主人公の八五郎、もっともっとハジケて欲しかったですな。
いたっておとなし目の文華さんの「八五郎坊主」でおました。
五、笑福亭三喬・・・・・・・・「初天神」
最初のおやっさんが便所へ行っているときに、新町へ行った時のことを
おかんに喋る寅ちゃん。天神さんへ出かけるまでのところをたっぷりと。
飴屋をひやかし、みたらし屋をひやかし。
そこで、袖を見て、「あと、何分」、「ええ、三分」「三分で、凧揚げしまひょ」
大急ぎで、凧を買い、親子で凧を揚げ、二人ともオヤッサン怒られ、
「こんなんやったら、お父たん、連れて来なんだらよかった」まで
こんな急いだ揚げたのに立ち会ったのは初めて、三喬さん凧揚げの名人ですな。
生放送の時間内に収めるというのは、こちらもヒヤヒヤ。
結構スリリングで、別の愉しみありましたで。
六、笑福亭鶴二・・・・・・・・「不動坊」
持ち時間が23~25分。「不動坊」長い噺だけにマクラも無しで即、
「利吉っさん、居てるかいな」でスタート。
そこそこ、ハナシを端折りながらドンドン噺を進める。
風呂屋に着いてからか、少しペースダウンだが、でもいつもより早め。
利吉の家の裏に行く、雪のシーンも冬の風情のあるところだが、
時間に追われて駆け足でせわしない。
落語の“生”の良さは、・・・・お客さんの笑いの“間”に、
落語家さんが微妙に次の台詞の“間”を調整してくれるところ・・・。
その数秒の“間”が微妙に・・・・落ち着きないものに。
長い噺を短く縮めるのは、ほんま難しい作業みたい。
絶妙の“間”が信条の、本寸法、行儀の良い鶴二さんの落語。
完璧なだけに、落語がそうであるように、
時間に追われる録音は、落語本来の良さが損なわれますな。
七、桂文珍・・・・・・・・・・・・「けんげしゃ茶屋」
割烹着を出てきたので、おばあさんの落語かと一瞬思ったが、
今話題の“STAP細胞”の“小保方春子”さんの姿で。
この辺の、遊び心はやはりたいしたもの、さすが吉本の芸人さん。
「けんげしゃ茶屋」の“けんげしゃ”とは験担ぎの験(ゲン)を気にする人のこと。
主人公の村上の旦那さんのへんこな遊びが、文珍さんと重なりあって
まさに、嵌っているような噺。
どんどん遊びがエスカレートしていきますが、
食べるものでも、鯛の刺身に飽きて、夏は鱧、秋は松茸といい、
正直あまり美味しいとは思いませんが、風流というか洒落が過ぎるというのは
紙一重という・・・・そんな噺。
癖のある「けんげしゃ茶屋」、こんな噺だけに、
文珍さんで初めて食べさせて貰えて、良かったの一席でおます。
ABCラジオ上方落語をきく会
2014年2月1日(土)17:30
@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
一、桂吉の丞・・・・・・・・・・「子ほめ」
二、桂春蝶・・・・・・・・・・・「昭和任侠伝」
三、桂南天・・・・・・・・・・・・「動物園」
四、桂文華・・・・・・・・・・・・「八五郎坊主」
五、笑福亭三喬・・・・・・・・「初天神」
仲入り
六、笑福亭鶴二・・・・・・・・「不動坊」
七、桂文珍・・・・・・・・・・・・「けんげしゃ茶屋」
三味線・・・内海英華・吉川絹代
お囃子・・・桂阿か枝・笑福亭喬若
司会:三代澤康司・伊藤史隆
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