『無菌病棟より愛をこめて』<単行本>
加納朋子
文芸春秋
<文春文庫版>
<電子書籍版>
急性白血病の闘病記なのですが、「患者本人が小説家」ということが、重くて複雑な事実を読みやすくしてくれていると思います。
さすがに、「文を書くプロ」です。
次から次へとやってくる苦しい症状の中、書けない日がありながらも、書くことができる日は書き続けてくださったからこそ、臨場感のある闘病記になっています。
闘病の毎日に楽しみを見つけたり、美味しいものを楽しんだり……、「白血病の闘病記」の薄幸なイメージとは違う一面も見られます。
なによりも、この本の素晴らしいところは「患者の家族」のことが描かれているところです。
愛のある家族が登場します。ユーモアのあるパートナー・我がままを言わないお子さん・仲の良い兄弟姉妹、そして見守る親。多くのフィクションよりも、理想的な家族なのじゃないでしょうか。
そして素晴らしい友人・仕事仲間が登場します。
ご本人の仁徳の賜物でしょうけれど、辛い病気のときに、こんな家族や仲間に恵まれている人は幸せです。
患者の周りにいる人たちの苦悩だけでなく、思いやり・心配り・そして治療に協力する勇気……。こんなに患者のことを思ってくれる家族がいたからこそ、この本には「涙」だけでなく「笑い」もあるのでしょう。
もしも、そんな家族や友人がいなかったら……きっと闘病生活は何倍も何倍も辛いはず。生きる気力さえ失ってしまうのではないかと思います。
この本を読んで、「ある日突然、深刻な病気になったら」ということを考えました。
自分がなるケース、大切な人がなるケース。
私も前向きに、頑張れるだろうか?楽しみを見つけられるだろうか?
そして、家族との関係はどうなるだろう?
病気になる前の、普段の何気ない毎日の人間関係が大切なのだと、つくづく感じます。
周りの人への感謝と気配りが、常日頃からできる人でいたいものです。
<関連サイト>
・本の話WEB - 自著を語る(2014.09.22)加納朋子「おかげさまで、急性白血病の告知後四年が過ぎました」(文庫版あとがきより)
文庫化の際に、この本の後日譚をご本人が書いてらっしゃいます。
あきらめず最後まで頑張っていても亡くなってしまう方もいる……、生還できた人は幸運だったということを改めて感じました。
・本の話WEB - 自著を語る(2012.03.23)加納朋子「白血病患者面会マニュアル」
「お見舞いの心構え」です。どんな病気のときにも参考になると感じました。
「励まし」どころか「迷惑」にならないようなお見舞いにしたいですね。
加納朋子
文芸春秋
<文春文庫版>
<電子書籍版>
急性白血病の闘病記なのですが、「患者本人が小説家」ということが、重くて複雑な事実を読みやすくしてくれていると思います。
さすがに、「文を書くプロ」です。
次から次へとやってくる苦しい症状の中、書けない日がありながらも、書くことができる日は書き続けてくださったからこそ、臨場感のある闘病記になっています。
闘病の毎日に楽しみを見つけたり、美味しいものを楽しんだり……、「白血病の闘病記」の薄幸なイメージとは違う一面も見られます。
なによりも、この本の素晴らしいところは「患者の家族」のことが描かれているところです。
愛のある家族が登場します。ユーモアのあるパートナー・我がままを言わないお子さん・仲の良い兄弟姉妹、そして見守る親。多くのフィクションよりも、理想的な家族なのじゃないでしょうか。
そして素晴らしい友人・仕事仲間が登場します。
ご本人の仁徳の賜物でしょうけれど、辛い病気のときに、こんな家族や仲間に恵まれている人は幸せです。
患者の周りにいる人たちの苦悩だけでなく、思いやり・心配り・そして治療に協力する勇気……。こんなに患者のことを思ってくれる家族がいたからこそ、この本には「涙」だけでなく「笑い」もあるのでしょう。
もしも、そんな家族や友人がいなかったら……きっと闘病生活は何倍も何倍も辛いはず。生きる気力さえ失ってしまうのではないかと思います。
この本を読んで、「ある日突然、深刻な病気になったら」ということを考えました。
自分がなるケース、大切な人がなるケース。
私も前向きに、頑張れるだろうか?楽しみを見つけられるだろうか?
そして、家族との関係はどうなるだろう?
病気になる前の、普段の何気ない毎日の人間関係が大切なのだと、つくづく感じます。
周りの人への感謝と気配りが、常日頃からできる人でいたいものです。
<関連サイト>
・本の話WEB - 自著を語る(2014.09.22)加納朋子「おかげさまで、急性白血病の告知後四年が過ぎました」(文庫版あとがきより)
文庫化の際に、この本の後日譚をご本人が書いてらっしゃいます。
あきらめず最後まで頑張っていても亡くなってしまう方もいる……、生還できた人は幸運だったということを改めて感じました。
・本の話WEB - 自著を語る(2012.03.23)加納朋子「白血病患者面会マニュアル」
「お見舞いの心構え」です。どんな病気のときにも参考になると感じました。
「励まし」どころか「迷惑」にならないようなお見舞いにしたいですね。