『ルーム・オブ・ワンダー』
ジュリアン・サンドレル
NHK出版
確実に映画化されるでしょう。
読んでいるだけでも、まるで映画館にいるような、そんな物語です。
12歳の男の子ルイを育てるシングルマザーのテルマ。
化粧品会社でバリバリ働くキャリアウーマンの彼女の日常が、ある朝突然大きく変わってしまいます。
テルマの目の前で、ルイが交通事故にあって意識不明になってしまったのです。
茫然自失のテルマは、ルイの部屋から1冊のノートを見つけます。
「自分が死ぬ前にできればやって見たいと思う経験のすべて」のリストが記された「ぼくの不思議の手帳(Mon carnet des merveilles)」……。
ルイを目覚めさせるため、テルマの奮闘が始まります。
まず、ユニクロの服を着て、東京へ行くのを夢見るルイくんに、日本の読者は親近感を持つのじゃないでしょうか。
しかし、12歳男子の考える夢といったら、突拍子もなく、無理難題ばかり。
恥ずかしさもプライドもかなぐり捨てて、ルイを永遠に失ってしまうかもしれない不安を抱えつつ、テルマは次から次へリストに書かれた夢にチャレンジしていきます。
一人での子育てと職業人生の中で封印してきた「恋愛」「母親との関係」「友情」「過去の恋と向き合うこと」「甘えること」「人生を楽しむこと」「将来への希望」「自分を大切にすること」を、このどうしようもない状況の中で取り戻していくテルマ。
「子供を愛する良い母親像」の縛りが強い日本だったら設定として難しい物語かもしれません。
「意識不明の息子を病院に残して、海外へ?」なんて、ドラマティックな美談として祭り上げるか、「不謹慎」と炎上するかのどちらかでしょう。
それでも、息子を愛し、真剣に「生きること」に向き合っていくテルマ、行動することで自分を見つめ直していくテルマに、共感と憧れを持たずにはいられません。
「あなたは、自分の人生をどう生きるの?」そんな質問をされているように感じます。
作者は、1980年生まれのフランス人男性。
この『ルーム・オブ・ワンダー』(原題:「La chambre des merveilles」)がデビュー作だそうです。
なんと、原作の出版社のページとNHK出版のページで、この本の導入部分を動画で見ることができます。
・「La chambre des merveilles」Julien Sandrel(フランス語)
さすがフランス。オシャレです。小説に、こんなドラマ仕立ての広告動画を作るって、日本ではないような気がします。
英語やドイツ語では、来年(2019年)出版になるようです。
タイトルも、英語は「The Book of Wonders」(2019年5月発売予定)。
直訳して「The room of wonders」だと、セルジオ・ルッツィア(Sergio Ruzzier)の『ときめきのへや』という絵本と英語タイトルが同じになってしまうからかもしれませんね。ドイツ語は「Das Zimmer der Wunder」のようですから、直訳ですね。
手にとって、まずは斜め読みでも、「手帳」を見つけるところまで読み進めてください。
物語はここから。
2度目はきっと、最初から楽しめると思います。
ジュリアン・サンドレル
NHK出版
確実に映画化されるでしょう。
読んでいるだけでも、まるで映画館にいるような、そんな物語です。
12歳の男の子ルイを育てるシングルマザーのテルマ。
化粧品会社でバリバリ働くキャリアウーマンの彼女の日常が、ある朝突然大きく変わってしまいます。
テルマの目の前で、ルイが交通事故にあって意識不明になってしまったのです。
茫然自失のテルマは、ルイの部屋から1冊のノートを見つけます。
「自分が死ぬ前にできればやって見たいと思う経験のすべて」のリストが記された「ぼくの不思議の手帳(Mon carnet des merveilles)」……。
ルイを目覚めさせるため、テルマの奮闘が始まります。
まず、ユニクロの服を着て、東京へ行くのを夢見るルイくんに、日本の読者は親近感を持つのじゃないでしょうか。
しかし、12歳男子の考える夢といったら、突拍子もなく、無理難題ばかり。
恥ずかしさもプライドもかなぐり捨てて、ルイを永遠に失ってしまうかもしれない不安を抱えつつ、テルマは次から次へリストに書かれた夢にチャレンジしていきます。
一人での子育てと職業人生の中で封印してきた「恋愛」「母親との関係」「友情」「過去の恋と向き合うこと」「甘えること」「人生を楽しむこと」「将来への希望」「自分を大切にすること」を、このどうしようもない状況の中で取り戻していくテルマ。
「子供を愛する良い母親像」の縛りが強い日本だったら設定として難しい物語かもしれません。
「意識不明の息子を病院に残して、海外へ?」なんて、ドラマティックな美談として祭り上げるか、「不謹慎」と炎上するかのどちらかでしょう。
それでも、息子を愛し、真剣に「生きること」に向き合っていくテルマ、行動することで自分を見つめ直していくテルマに、共感と憧れを持たずにはいられません。
「あなたは、自分の人生をどう生きるの?」そんな質問をされているように感じます。
作者は、1980年生まれのフランス人男性。
この『ルーム・オブ・ワンダー』(原題:「La chambre des merveilles」)がデビュー作だそうです。
なんと、原作の出版社のページとNHK出版のページで、この本の導入部分を動画で見ることができます。
・「La chambre des merveilles」Julien Sandrel(フランス語)
さすがフランス。オシャレです。小説に、こんなドラマ仕立ての広告動画を作るって、日本ではないような気がします。
英語やドイツ語では、来年(2019年)出版になるようです。
タイトルも、英語は「The Book of Wonders」(2019年5月発売予定)。
直訳して「The room of wonders」だと、セルジオ・ルッツィア(Sergio Ruzzier)の『ときめきのへや』という絵本と英語タイトルが同じになってしまうからかもしれませんね。ドイツ語は「Das Zimmer der Wunder」のようですから、直訳ですね。
手にとって、まずは斜め読みでも、「手帳」を見つけるところまで読み進めてください。
物語はここから。
2度目はきっと、最初から楽しめると思います。