作業をしていたR子さんが、「19人死んだ」と言いました
R子さんは、私たちの作業所で言葉を話すことができる
数少ない人です。
「19人死んだ」この短い言葉の向こうにある、彼女の
気持ちを思うと、簡単には答えられませんでした。
この事件は、やまゆり園の人だけでなく障がいを持った人
すべての人の心に傷をおわせたのです。
やまゆり園で首に4か所も傷を負った方の親が
「障がいがあるので、痛いとも言えなかったんだ」と
言っているのを聞いて、胸が苦しくなりました。
私たちの作業所のⅯちゃんは、自分だけの言葉を
発します。
Ⅿちゃんの言葉を分かってあげたいと、一生懸命
聴くのですが、わかりません。
でも、いつのころからか「しごと」と言えるように
なったのです。
Ⅿちゃんは、メモ帳の表紙にステンシルをする
お仕事が大好きなんです。
一人では出来ないので、職員と2人で1本の筆を
握り色をつけていくのです。
1日に3~4枚できれば上出来です。
1冊100円のメモ帳
効率が最優先される社会からは、かけ離れた
お仕事ですが、私たちが忘れている大切なものが
そこにあるような気がします。
「障がいを持っていることは、不自由ではあるけれど
不幸ではない」と言っていた方がいます。
多様なものが、その存在を認め合って生きていくのが
この地球であり、私たちの社会です。
障がい者がいなくなっていいはずなのないのです。
やまゆり園の事件を、特異な事件として
終わらせてはいけないと思いました。
あまりにも悲しいこの事件は、私たち一人ひとりにも
問いかけられているのですから…