文芸同人誌「ちこり」は、かのじょが1994年から2006年まで、10年以上続けていた活動である。20人ばかりの会員たちと一緒に、詩や小説などの作品を集めて、年三回小さな小冊子を発行していた。
自分の力を上げるために、勉強のつもりでいろいろなことをやっていた。これらの同人誌には、まだ30代の若いかのじょの未熟さが漂っているが、真心のこもった美しいものになっている。
40代に入って本格的な表現活動を始めると、ワンランク上がった表現力が花開き始めたが、まだこの頃は修行中だという印象が強い。しかし、そういう時代だからこそできる表現がある。まじめでまっすぐなかのじょの魂が、このちこりという小さな本の中で、努力し、成長していく姿を見ていると、胸に熱いものが込みあげてくる。
天使も初めから天使ができるわけではない。この地球世界においては、天使もまた、未熟な頃があり、勉強をしていかなければならない年月があるのだ。
作品には、会員たちに遠慮して、自分の天使的部分を極力隠し、みなに合わせて人間の振りをしている彼女の苦心も読み取れる。本当のかのじょはもっと高いことを考えていた。だがちこりの中では、ちょっと抜けたところのある普通の主婦という感じの演技をしている。
カテゴリ「ちこりの花束」では、かのじょがこの同人誌の中に残していったさまざまな作品や言葉を紹介していく。
(冒頭の絵は、ちこり21号表紙、2001年、切り絵)