エルヅも、宝蔵の管理という仕事を、喜んでしているようだ。いろんなものを数えられるのがうれしいらしい。鉄のナイフや、まだ細工する前の魚骨ビーズや、収穫した米を入れた土器の数だとか、毎日のように数えていた。そして数えていくうちに、いろんな足し算をして楽しんでいるらしい。
四と七を足すと十一だとか、狐の足の数とフウロ鳥の足の数を足すのだとか、いろんなおもしろい遊びをしているのだという。フウロ鳥が八羽と鹿が三匹なら足は何本かとか、考えるだけで楽しいらしい。
アシメックはエルヅが立派に生きているのがうれしかった。こんな風にして、族長は、部族のすべての人間のことを考えているのだ。なぜかはわからない。ただ自然にいつの間にかそんなことばかり考えるようになっていた。アシメックは生まれた時から、人より体が大きかった。顔も声も美しかった。それで若い時から、族長になることを期待されて育った。そのせいなのか。彼は部族のみんなをほめまくった。みんないいやつだ。いいやつだ。どれだけでもがんばって、おれがみんなをいいことにしてやるんだ。
明るい目で言うアシメックは、部族の皆に好かれていた。