ルイ・ジャン・フランソワ・ラグルネ
クロノスが大鎌でウラノスの男根を切り落とした時、それが海に落ちて現れた泡の中から生まれたのが、愛と美の女神ヴィーナス(アフロディテ)だという。美しいかのじょに魅惑されないものはおらず、かのじょがいなければ世界に喜びはないと言われた。鳩がかのじょの使いであり、三美神カリテスはかのじょの侍女である。
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この美しい女神は、男性の性器から出た泡から生まれたというのはおもしろい話です。見事に、見るものすべてを魅了し心を支配していくかに見える女神は、どこか男性的だ。男はこの女神にかなわない。神話では夫ウルカヌスを裏切って様々な男と恋をし、子供を生んでいますが、それは男の願望から生まれた神話です。このような女性は奔放であってほしいのです。それであわよくば自分の相手もしてほしい。だが、本当のヴィーナスは、じつはとても貞淑なのです。
夫を裏切ったりなどしない。だから美しいのです。