妹が家も継ぎて見ましを大和なる大島の嶺に家もあらましを
天智天皇
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下世話な話題だが、天智天皇は非常に女性にもてていた。
当時のことであるがゆえに、妻もたくさんいたが、彼は後宮など作らなかった。みなを大事にし、生まれた子供も大切に育てて、身も立ててやった。
そういうことを誠実にやってくれる男だったので、女が次々によってきたのである。中には親に内緒で無理矢理嫁になった娘もいた。とにかくもてていたのだ。
顔はかなり不細工なおじさんだったのだが、心がやさしく、女性にいやなことはしなかった。人間の男性はまだ農耕を初めて間もなく、縄文の色を濃く残していたので、隙あらば女性を食おうとしていた。そういうことをしないというだけでも、彼は女性の心をつかんでいたのである。大勢の側室を持ちながらも、正室は深く彼を愛していた。
人類の馬鹿は、これがうらやましいのだ。そして単純に、王になれば多くの女とやれると考えるのである。それで裏の霊界から操作し、自分を無理矢理王家の血筋に生まれさせるのだ。そして性欲を満たすだけのために女あさりをし、人民から吸い取った税金で贅沢な後宮を作るのである。
馬鹿の極みである。
こういう王が国を苦しめたので、やがて当然のごとく市民革命が起こり、政権が人民に移った。民主主義の時代が来た。それでこういう問題が解決したかというと、とんでもなかった。
民主主義の時代になり、法の下に人民が女性も含めてまったく平等になると、男は自分の力だけで女性を得なくてはならなくなった。そこで馬鹿な男は、自分にはまだほとんど女性を惹きつけるような力がないということを知るのである。王制のあった昔は、それなりの権力があったので、女性をなんとかできていたのだが、それがなくなると、男は何もないまま丸裸になったのだ。
そこで起こったのが、この時代の、美女いじめの事件なのである。
民主主義の国で、自由を得た馬鹿男は、自分からは直接美女に近寄って行けないので、影から大勢で陰湿にいじめ、無理矢理思いをとげようとしたのだ。それも、あまりに大勢の人数で、たったひとりの美女を集中していじめるという、あまりにも馬鹿なことをしたのである。
馬鹿な人民に権力を与えると、こうなるという一つの例である。結局馬鹿は、性欲を満たすことしか、ほとんど考えていないのだ。それだけのために、国をかき乱すのである。