リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

里帰り

2013年05月28日 17時34分43秒 | 日々のこと
先週からアメリカから里帰りしていた娘夫婦と10ヶ月の孫が今日帰って行きました。さすがに3人も人口が増えると家の中はにぎやかでした。私自身は18日のリサイタルのためにレッスンを次の週に替えていたので、超忙しいモードでした。

12月末に孫の顔を見にアメリカに行ったんですが、そのときはまだやっと寝返りを打てるようになった頃でした。スカイプで毎週見ていたので知ってはいたのですが、もうえらい速さでハイハイしています。膝をつかないで足を直接床につけてのハイハイですので、速い速い。

娘のお婿さんは航空機の専門家です。自動車やオートバイも当然ながら大好きで、少し前は古いホンダのオートバイをレストアして乗り回していました。私も恥ずかしながらオートバイに乗っていたことがありましたが、さすがに今はもう怖くて乗れません。そのレストアされたホンダのオートバイはせいぜい跨ぐくらいでやめときました。

今は彼はホンダのNSXというオールアルミボディのスポーツカーをレストアしています。何でも古いのを100万で買ったそうで、ほとんどのパーツはアメリカでも手に入るが、どうしても入手不能なものもあるとかで、それがある鈴鹿のNSX専門店に連れて行きました。

こっちはそんな店があるとはつゆ知らず、店に入ると、NSXが3台。お値段を店の人にきくと、こっちが1280万、こっちは2000万・・・・すっすごい世界です。店の人は英語は出来ませんが、専門的な話なので途中から通訳が不要になりというか困難になってきて、彼は店の人と直接話していました。まぁ専門用語ばかりだからなんとかいけるんでしょう。

滞在期間が短かったのですが、回転寿司屋、ユニクロ、長島温泉、親戚などをまわりあっという間でしたが、今朝セントレアに送っていき成田経由で帰って行きました。まだ子供が小さいですからそうはこちらには来られないでしょうから、また冬には行ってやらんと。

リサイタル終了

2013年05月20日 00時46分13秒 | 音楽系
リサイタルが無事終わりました。リサイタルにお越し頂いた方には御礼を申し上げます。今回は「リュートの新しい光」というテーマで、現代曲とバロックの曲を対比するという、普通はあまりやらないことをやってみました。多分リュートでは現代曲の作品そのものが少ないこともあって、滅多にないことだろうと自負しています。

でも滅多にやらないことをやるのはやはり大変でした(笑)。特に委嘱作の、久保摩耶子さんの作品は、音域の拡張が顕著で、普段は楽器の左手のポジションや右手の親指の位置はほとんど見ないで演奏しているんですが、この曲ではさすがに目で確認をしなくては不安定になる箇所が何カ所かあって、目をキョロキョロさせていました。

バッハの995番も当時にあっては「異形」のリュート曲でして、昨年末に完成した13コース楽器へのアダプテーションから何十回も部分変更しました。最終変更は何と本番当日の朝でした。

今回は、調が次から次へと変わっていくので、曲の順番にもひと工夫が要りました。本当はドゥ・ヴィゼーの曲を最初に持ってくるのが一番いいかなと思ったんですが、そうすると、バス弦の調弦変更が多くなり弦が安定しないので、ヴァイスのロジー伯のトンボーをオープニングの曲としました。この曲は、レ、ミ、シが♭になりますが、プログラムを進めていくにつれて、レをナチュラルに、次にミを、そしてシをナチュラルにして、プログラム後半に至るという風にしました。

演奏会当日は雨男の私としては極めて珍しく好い天気に恵まれました。そのため会場内の気温も大変安定しており、(会場の電気文化会館ザ・コンサートホールは地下にあるのでもともと気温は安定していますが)弦のピッチは信じられないくらい動きませんでした。自宅のレッスン室でエアコンできちんと温度管理して曲をさらっているときより弦の安定度は高かったです。

当初はガット弦をトレブルとミドルレンジ、バスレンジの上の方まで使おうと思っていたのですが、現代曲があるので、とても弦がもちそうもないことが分かって3月の終わりに合成樹脂弦に切り替えました。1,2弦とバス弦の一部は、1週間くらい前に替えましたが(1弦は3月終わりから当日まで4本使っています)他の弦は1ヶ月半同じものを使っていますので、安定していたわけです。そしてペグも最高の精度で動くように、ペグコンポジションで何度も調整しました。

あと何故かガット弦では問題にならなかったですが、合成樹脂弦に替えてから開放弦が強く弾くと少し第1フレットに当たるようになったので、ナットに紙を挟みました。紙の厚さは、ガムートのガット弦のラベル、厚さ0.15ミリです。文字通り紙一重ですが、これで問題は解消です。フレットは0.1ミリとか0.05ミリ差で太さを変えていきますので、0.15ミリであればそういった問題解決するに充分だということです。

こういう細かいことを積み上げていかないと、古い様式の楽器であるリュートで、他の楽器のリサイタルで曲が進んでいくような感じには行かないのです。逆の言い方をすると、古っぽいスタイルの楽器であっても、きちんと「整備」してあり、会場のコンディションが整っていれば、今の楽器とさほど変わらないレベルで運用ができるということです。でもまぁ、外気温、湿度、両指の温度、両指の湿り具合が、弦の安定性のファクターになるリュートは、間違いなく最も弦が不安定になる楽器ではあります。だからと言って、しょっちゅう調弦に時間を取り、オマケに不正確な調弦で見切り発車ではいけません。弦が多いから調弦に時間がかかってゴメンしてね、というようなことを言っていてはいけないのである、なんてね。(笑)

さて苦労話はこんなところで、とにかく私のプロ転向10周年を飾るリサイタルは終了しました。いろんな意味で節目のリサイタルって感じでしたね。(笑)次回はフランスの曲か久々にアンサンブルを入れてみようかなと思っています。次回は来年です!?

忙中閑

2013年05月13日 18時04分01秒 | 音楽系
私設どくだみ園のどくだみが開花しました。もう何日かすると白い花で一杯になりとても綺麗になります。どくだみはちぎって花瓶にさしてかざるより、生えたまま鑑賞するのが一番いいようです。



リサイタルまで5日となり、こんな呑気なことやってていいのかという感じもしますが、今日はフレットを替えようかと思っています。フレットは別に前日でもいいのですが(実際前日に慌てふためいて巻き替えるというパターンが多いですが)前日だと指が痛くなるので(かなり強い力で巻きますので)何日か前に巻くのが理想です。

弦もだいぶ安定してきて、昨夜ペグも調整しましたので、調弦は一瞬にして完了します(ウソです)。プログラムには例の有名な「80年生きたリュート奏者は60年は調弦していただろう」というフレーズを入れておこうかと思います。特に今回は前半が変ロ短調→ト短調→ニ短調→イ短調と1本ずつ調弦を変更して行かなければならないので、このフレーズは必要かも。

弦を替えました

2013年05月07日 21時19分14秒 | 音楽系
リサイタル用に弦を替えました。といっても全て替えたわけではなく、半分くらいは3月の終わりに替えたままです。10日前に全部替えるのはちょっと怖いというか別に怖いものではありませんが(笑)、弦が狂う度合いがまだまだ大きいので避けたいところです。もちろん10日もあれば落ち着くには落ち着きますがね。

今回は最初はガット弦を6コースまでと全てのオクターブ弦に使おうと思っていましたが、諸般の事情で断念。結局オール合成樹脂弦です。

3月の終わりに替えたときは、実はオクターブ弦はガットでしたが、やはり諸般の事情でナイルガット弦に交換しました。オクターブ弦をガットにするのは音が柔らかくなりなかなかよかったんですけどねぇ。

1コースはナイルガット弦を3月の終わり以降張っていましたが、どうも音がきついのと多少振動不良が見られたので、これをピラミッドのレクティファイド・ナイロン弦に交換、うむ、やはりこちらの方が正解だったようです。いざというときの備えに1弦用のピラミッド弦は10本ストックしておきました。1本目は音程不良でペケ、2本目でめずらしくオーケーでした。

弦の構成は、1コースがピラミッドのレクティファイド・ナイロン弦、2~5と6~10のオクターブ弦はナイルガット弦、6~13のバス弦はピラミッドの銅巻き弦、11~13のオクターブはアキーラのDタイプ弦です。アキーラ社とピラミッド社の混成ですね。
あと、来週になったら、フレットを全て交換して本番に臨む予定です。まぁ、リュート奏者はいろいろ大変です。(笑)