リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リサイタルの曲目(1)

2025年02月28日 21時14分47秒 | 音楽系

5月に予定しているリサイタルのプログラムは全曲ト短調です!

副題は「ト短調の調べが紡ぐ物語」です。

バロック・リュートのト短調レパートリーでまず思い浮かぶのは、ヴァイスのト短調シャコンヌでしょうか。でもロンドン写本に残されているこの曲はどうみてもソロ曲ではありません。多分二重奏で交互に変奏を繰り広げていく曲のパート譜なんでしょう。でもこの曲をあえて選んでみました。もちろんそのパート譜のままでは弾きませんが。

あとアレンジになりますが、ビーバーのパッサカリアも予定しています。無伴奏のヴァイオリンのためのこのパッサカリアはもともとト短調ですので、基本的にはそのまま弾くことになりますが、リュート曲としてのアーキテクチャーとはずれてしまう部分もありますので、そこは少し修正が必要です。

あと四日市在住の太田伊都子さんに委嘱した作品も演奏します。4つの楽章からなる曲になりますが、曲の一部をパッサカリアにしてほしいと無茶ぶりをしましたら、作曲家はとても美しいパッサカリアを作ってくれました。これらの4つの楽章は途中の楽章では転調して別の調に入りますが最後はそのパッサカリアできちんとト短調で閉めるという形になっています。

以上の曲はリサイタルの後半に演奏します。ここまでお話した中で鋭い人は感づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、これら3曲は全てGから下っていくバスに基づく変奏曲になります。もちろんバスの形は少しずつ異なりますが、G-F-E♭-Dまでは共通しています。この共通のバスと変奏ということで統一感を演出したつもりですが・・・

 

 


バロック音楽の旅はなぜ続く?(6)

2025年02月27日 19時09分34秒 | 音楽系

本年度のシリーズ17は応募者数こそシリーズ12の114人には及びませんが、実は参加率では今までは最高になっています。すなわちシリーズ12では各回平均が71名でしたが、17では74名でした。道理で毎回座席が満杯に近くなるはずでした。

さてこのバロック音楽の旅、20人前後で私がぼそぼそとバロック音楽やリュート音楽を語るこぢんまりした講座を想定していましたが、続けていくうちにだんだん規模が大きくなり私のメインの仕事になってしまいました。そもそも地元でこういった講座を持とうと考えたのは、私の活動が名古屋市中心で地元がの活動がほとんどなかったからです。

名古屋ならリサイタルで300人くらいは集客できましたが、(20年くらい前の話です。今ではとてもとても)桑名だとせいぜい2,30人くらいだろうと踏んでいて、まぁそれでもやらないよりはマシだろうと思っていました。それが今や桑名市内とその近隣に100人ものバロック音楽を聴いてみたいという人がいるのは驚きです。僭越ながらこの講座が育てた分もあるかもしれませんが、人口14万人程度の桑名市の規模くらいの街だったら恐らくどこでもこの位は集まるのではないかと思います。日本全国にこの輪が広まれば、聴衆も演奏家もウィンウィンですね。

バロック音楽の旅はなぜ続く?それは参加される方、アーチストの方々、スタッフ、桑名市の行政の皆さまのお陰としかいいようがありません。


ギターのレッスンのあとラーメン屋へ

2025年02月26日 20時49分27秒 | 音楽系

名古屋市では今日の午前中は意外と寒かったです。今日は久々にギターの人のレッスンで名古屋市北区のミューズ音楽館に出かけました。

天気予報では春の陽気なんて言っていたので、コートも少し薄手のものにしようかと思いましたが、いつもの分厚いのを着ていって正解でした。

ギターに限らずリュートでもバッハのレッスンはほとんどやらないことにしていますが、少し例外もありまして、今日はその例外の方のためのバッハレッスンでした。

レッスンが終わって外に出ると風が随分暖かくなっていました。お腹も空いてきたので近くのラーメン屋さんでお昼をとりましょう。藤井聡太がまだデビューする前によく通っていたという近くのラーメン屋に入りました。

藤井聡太が作った詰め将棋の棋譜が飾られています。このラーメン屋さん、「藤井聡太以前」は知る人ぞ知るというラーメン屋さんでしたが、今では有名ラーメン屋になってしまい営業時間も長くなり繁盛しているようです。昔からときどきここでラーメンを食べることがありましたが、その頃はお客も少なく入ると私一人というときもありました。それが今では必ず最低でも数人のお客さんが入っています。藤井効果は健在のようです。

もやしラーメンを頂きました。完食、ごちそうさまでした。


バロック音楽の旅はなぜ続く?(5)

2025年02月25日 12時40分05秒 | 音楽系

7年目(2014)から年間の講座回数を1回増やし6回体制にして受講料も4000円だったところを5000円に値上げしました。

このシリーズからほぼ現在と同じ体制になります。すなわち座学が2回、コンサートが4回という形です。座学を1回増やしたのは実は値上げの口実でもありますが、増やした座学は第1回の座学と異なりテーマをひとつに絞った内容のプレゼンにしました。

バロック音楽の旅はシリーズ8(2015)から徐々に参加者が増えていき、シリーズ11では89人、次の年は114人とついに100人を突破していきます。会場のキャパを超えたらどうしようなんて嬉しい悩みを言っていたりしていたのもこの頃です。

ところが先行予約では60人近くあり好調な滑り出しであったシリーズ14(2020)がコロナ禍により開催を断念せざるを得なくなります。シリーズ14は改めて2021年に行いましたが、応募者はシリーズ13の100人から大幅に減り70名でした。

その後コロナ禍が沈静化しない中シリーズ15(2022)は64人、16(2023)は55人と参加者は減少の一途をたどっていきました。2023年の5月に新型コロナが第2類から第5類の感染症になって以降、経済が回ってきて以前の世の中が戻ってきたのに、バロック音楽の旅は沈んだままでした。

しかし1年遅れてバロック音楽の旅にもやっと光が見えてきて、シリーズ17(2024)では前回より40人近い増の94人の参加者がありました。そして次のシリーズ18の先行予約者もすでに60数名を数えていて、本年同様盛会が予想されます。


バロック音楽の旅はなぜ続く?(4)

2025年02月24日 14時02分41秒 | 音楽系

6年目(2013)を最後に会場を現在の会場(くわなメディアライヴ1F時のホール)に移しました。もともとこの会場は市から提供されてはいたのですが、教会の方が音がいいだろうということで教会を使わせて頂いていました。

プロテスタントの教会はよほど牧師先生の理解がないととても使いづらいというのが実際のところで、ドイツ人の牧師先生が替わられてからはちょっととまどうこともありました。

そういう事情があってメディアライヴ1F時のホールに会場を替えたのですが、会場を見に行って驚きました。なんと教会より響きがいいのです。天井は2階吹き抜け、エアコンは館内全体で行っているため室内機がホール内にないので音がしません。小さいながら控え室も装備、プロジェクタも常設されています。

うーむ、最初からこっちにしておけばよかったんですね。市の施設はどうせ中途半端だろうと思い込んでいたのが間違いでした。でもこの「時のホール」は実は多目的ホールという扱いで会議や展示会、算盤教室の大会なんかも行われています。でもそれらには高い天井も豊かな残響も必要ないどころかかえって邪魔になります。算盤教室の大会なんかもっと響かないところでやりたいと参加者は思うのではないでしょうか。

桑名市内に200~500人規模の会場が3つありますが、実はここがダントツなんです。すぐ近くにある市民ホールの中ホールは、見てくれはホール然としていますが肝心の音は今ひとつ、もう一つ大山田団地にあるホールはとてもデットですし、そもそも古いです。


バロック音楽の旅はなぜ続く?(3)

2025年02月23日 12時09分13秒 | 音楽系

5年目(2012)の講座は以下のラインナップでした。

第1回 6月4日
大山田キリスト教会(座学)
「バロック音楽の基礎」

第2回 7月16日、金城教会 
野田亜希コンサート「パイプ・オルガンの魅力」

第3回 10月8日
大山田キリスト教会、高橋弘治コンサート「バッハ無伴奏チェロ組曲を聴くⅡ」

第4回 12月10日
大山田キリスト教会、岡田龍之介・松野美樹コンサート「バロック・トランペットとチェンバロの世界」

第5回 2月18日
大山田キリスト教会、中川祥治コンサート「リュートによるヨーロッパお国巡り」

第2回野田亜希オルガンコンサート。市に出した計画では分かりやすくするため「パイプ」オルガンと書きました。

この頃は6月に第1回を始めていて第2回目のオルガンコンサートは真夏でした。出演の野田亜紀さんは私と入れ違いにバーゼル・スコラ・カントルムに入学された方です。地元の出身ですが、たまたま名古屋に帰ってくる時期とコンサートの時期が合ったので出演していただきました。教会のオルガンを借りるのはなかなか大変なことが多く、これ以降オルガニストを呼んでのコンサートは行っていません。

この年から演奏家の選定基準は現在と同じになっています。本当は半分くらいは地元で活動している人たちで組めるとよかったのですが、そうしてもレベルが下がらなくなるのはもう少し後になります。


Klassenstunde 2025a

2025年02月22日 11時49分38秒 | 音楽系

バーゼル・スコラ・カントルムのホプキンソン・スミスのクラスで、生徒のみなさんが集まってミニコンサートを開いたりすることがありました。その後はミニ・パーティーみたいになるのが多かったですが、その時間のことをKlassenstudeと呼んでいました。日本語で言えば、まぁ「学級会」と言ったところでしょう。

私のリュートクラスもそれに習って発表会のことをKlassenstundeと呼んで開催してきています。コロナ禍の際はオンラインで一度開催しました。オンラインはやってみると結構手軽で実用的でした。特にウチの生徒さんは滋賀県(守山)、奈良県(橿原)、岐阜県(各務原)、愛知県(名古屋、碧南、豊橋)、三重県(四日市)などと地域がとても広範なので、出かける手間がかからないオンライン開催は好評でした。

今日の午前中は2年ぶりにオンラインのクラッセンを開催しました。実は昨年末に予定していたのですが都合で延期して今日の開催に至った次第です。

今日の参加者は少し少な目でしたが、皆さんのとっておきの演奏を聴かせていただきました。

今回からはライブ演奏ではなく、予め録画した演奏でもいいということにしましたので、とても美しい「作品」を送っていただいた方もいました。私も2016年のリサイタルがビデオ録画されていましたので(それにごく最近気がつきました!)その中からチェロ組曲6番の抜粋を聴いていただきました。

あとイベントというかお遊びで「間違い探しクイズ」をやってみました。ちょっと品がないですが、演奏家が間違った音を録音した箇所を当てるという趣向です。これは頻発しているわけではありませんが、よく聴いて見るとミスがわかることがあります。20年くらい前の録音と最近発売された最新版と私のライブをネタにしました。でも意外とわからないものですねぇ。CDの会社も安心していいのかも。

ここ何年かクラッセンを開催する頻度が減りがちでしたので、年内にもう一度開催をしてみたいと思います。


バロック音楽の旅はなぜ続く?(2)

2025年02月21日 12時43分38秒 | 音楽系

初めてのシリーズは公民館で開催して定員30名としました。多分内容が内容だけに20名前後来ていただければ充分と考えていました。一応定員以上の申し込みがあった場合は抽選しますって書いておきましたらなんと予想に反して30を超えてしまいました。やむなく抽選をして選漏れの方にはお詫びのハガキを出しました。

次の年からは2部制にして、申し込んで頂いた方が全員参加できるようにしました。当時はまだ年間5回でしたが、せっかく演奏があるのでコンサートだけは会場を市内のプロテスタント教会をお借りして3回行いました。

この当時はまだ全国からトッププレイヤーに来て頂くことは行っておらず、3回のコンサートを私も含めて3人で行いました。

そして3年目の2009年の講座からは全講座を教会で行うことになります。この年まではハイ・アマチュアの方も含めた地元勢によるコンサートでしたが、演奏内容に限界を感じたので次年度からアーチスト選定レベルを上げることにしました。

本年度も演奏していただいたチェロの髙橋弘治さんに初めてお越し頂いたのは4年目の講座の第1回コンサートでした。この時はバッハ/無伴奏チェロ組曲の第2番と第3番を演奏して頂きました。昨年度ヘンデルとクープランのプログラムで大好評だったソプラノの増野友香さんもこの年度で初めてご出演いただきました。彼女はこの後スイス留学にでかけることになります。


バロック音楽の旅はなぜ続く?(1)

2025年02月20日 13時58分37秒 | 音楽系

バロック音楽の旅という講座を桑名市内で始めてはや18年が経ちました。

今回のシリーズの終了報告書類をまとめていましたら、2007年に始めた際のDMが目につきましたので中身を開いてみました。

こんな感じでした。

『リュートの中川です。2月のリサイタルの際はご支援いただきありがとうございました。お陰様で、朝日新聞の演奏会評に取り上げられ、大変好評を博しました。今後も精進を続けて参りますので、皆様のお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。さて、今回のご案内は、12月から始める「バロック音楽の旅」講座です。これは「くわな市民大学市民学科認定講座(桑名市教育委員会主催講座)」として開催されるもので、来年の3月までに5回の講座を下記のように実施する予定です。講座は、わかりやすいバロック音楽の歴史をプレゼン付きトークと生演奏でたどっていくというもので、桑名市外在住の方も受講できます。生演奏で使用する楽器等は、リュート、チェンバロ、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ソプラノを予定しております』

2007年のリサイタルは、チェロの髙橋弘治さんとヴァイオリンの戸田薫に手伝ってもらってハイドンのカッサシオンを演奏したリサイタルです。そのあと名古屋市のミッドランドスクエアのこけら落としのイベントで演奏して、桑名でも小さな演奏会を近くのカトリック教会で開催しました。そのときにお越し頂いた方に宛てたDMの文面が上記の文章です。

 


東海道線はなぜあっちへ

2025年02月19日 16時55分06秒 | 音楽系

昨今の寒波で関ヶ原を走る東海道新幹線が運休になったりしています。今朝は当地方は雪が数センチほど積もりましたが新幹線は平常通りのようです。

そもそも新幹線があのように雪の多いところを通って名古屋から京都に向かうのが問題なんで、どうして国道一号線のように江戸時代の東海道のルートを通らなかったのかが不思議です。

在来線の東海道線も新幹線も名古屋からは昔の東海道とは全く別のルートで岐阜県に向かっています。そっちに向かえば当然雪の多い関ヶ原を通らなければならなくなるわけです。

東海道の名は冠されていませんが、日本で初めて出来きた高速道路である名神高速道路もやはり同様のルートを通っていますが、今では新名神が開通し伊勢湾岸道路を経由していくことで、結局関西から関東に行くには昔の東海道のルートを走る車が多くなっています。

江戸時代の人は基本徒歩ですから、そんな雪深い所を通過するよりも多少なりともマシで近いところにルートを定めたんでしょうけど、このことは後世に鉄道や高速道路を作る際に行かすべきだったでしょうね。

でも時代を経て結局、高速道路は江戸時代と同じ新名神→湾岸道経由で東名のルートが定番になり、リニア新幹線も名古屋からは三重県側を通るという、地政学的には当然のルートに帰納しています。新幹線も、初めての高速道路も当地を通っていればかなり街は変わっていたかも知れません。ただリニア新幹線は三重県で潤いそうなのは停車駅がある亀山だけみたいですから、結局桑名は以前と何も変わらないんでしょう。