リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

スピナッチーノの本

2007年10月31日 08時55分58秒 | 音楽系
フランチェスコ・スピナッチーノが1507年に出版したリュート曲集はタブラチュアというリュート独特の記譜法で書かれた曲集です。内容は15世紀に人気のあった声楽曲のリュートソロおよび二重奏への編曲が中心です。バーゼルでボブ(クロウフォード・ヤング)と中世リュートの研究をしていた頃、このスピナッチーノの曲集も扱っていました。オリジナルの声楽曲をスピナッチーノがどういう手法でリュートソロおよび二重奏に編曲して行ったかを研究するわけですが、例えばブルゴーニュで作られた声楽曲が、ベネツィアのスピナッチーノがどういう理解をしていたかということまで垣間見ることが出来、大変興味深いものです。

この曲集の復刻版は、ミンコフという出版社から出ていまして、比較的容易に手に入ります。このミンコフから出ている復刻本の序文によりますと、スピナッチーノのオリジナル自体は、第二次大戦前まではベルリンにありましたが、それ以降は行方不明になっているそうです。ひょっとしたら戦災で焼失したのかもわかりません。ただ、それ以前にアンドレ・ピロという人が持っていた写真コピーがあって、ミンコフの出版物はそれを元にしているとのことです。その写真コピーは現在ではパリの博物館にあるそうです。

リュート楽譜出版500年

2007年10月30日 09時52分29秒 | 音楽系
昨年2006年はモーツアルトイヤーでしたが、いまだに昨年の売れ残りモーツアルト全集の宣伝が新聞に出ていました。去年売れると思って大量に作りすぎたんでしょうね。(笑)

今年2007年は何もないなぁ、なんて思ってましたら、あるんですよね。もう今年もあと2ヶ月あまりになってしまって、今頃思い出すなんてちょっと遅すぎたんですけど、「楽譜出版500年」というのはどうでしょうか。フランチェスコ・スピナッチーノという人が1507年にリュート・タブラチュア集を出版したのが、リュート楽譜出版の最初だといわれています。今年2007年はちょうどそれから500年目にあたるというわけですね。

この話ってあまり世間では話題になってないように思うんですがどうなんでしょ?あと2ヶ月ちょっとですけど、どこかで取り上げて欲しいですね。どこも出ないようでしたら、せめて「バロック音楽の旅」講座の第1回で取り上げようかな。(笑)

こだわりの牛乳(2)

2007年10月29日 12時03分35秒 | ローカルネタ
その後、普通のスーパーでも探せば結構低温殺菌牛乳は手に入るようになりました。ウチは宅配で飛騨牛乳の「パスチャライズ飛騨」という牛乳を入れてもらっています。値段はやや高めですがなかなかおいしい牛乳です。でもこれはホモジナイズされた(乳脂肪分が均質化された)牛乳でして、ノンホモの牛乳は近所では手に入らないのが残念なところです。

そういや昔、M永ホモ牛乳という牛乳がありましたねぇ。もう40年くらい前だっと思うんですが、これが出る前は世の中の牛乳はノンホモだったわけですね。牛乳も地域で作り地域で消費する(地産地消)製品だったのがM乳業みたいな大手メーカーが大量に作り、広い地域に販売するという方法に変わってきたわけです。昔桑名の牛乳ブランドに倉知牛乳というのがありましたが、自前の牧場で生産して、主に桑名地域を中心に販売していました。子供のころに何回か見た記憶がありますし、ひょっとして宅配で飲んでいたかも。今も倉知さんは牛乳販売をされていますが、自社製品ではなくM乳業の製品を売る販売店になっています。

こだわりの牛乳(1)

2007年10月28日 11時43分02秒 | 日々のこと
次のこだわり食品は牛乳です。70年代の中頃はじめてヨーロッパに行ったんですが、そのときに飲んでいた牛乳の味が日本の牛乳と味が全然異なることに気がつきました。いろいろ調べていくうちに、その主な原因が殺菌の温度にあるらしいということがわかってきました。

日本でよく売られている牛乳は、120度くらいで2秒とか3秒という、高温短時間殺菌なんですが、ヨーロッパの牛乳はその半分の60度台で30分くらいの殺菌のようです。この高温で殺菌するという過程で風味が損なわれるんだなと理解しました。そこで日本にも低温殺菌の牛乳がないかと探しましたら、ありましたね。中部特別牛乳です。これは販売ルートが限られていまして、近所だと名古屋の三越星ヶ丘店でしか販売されていませんでした。今もあるんでしょうかねぇ。星ヶ丘あたりに行く用事があったときは必ず三越に寄って買ってきたものでした。確かにこの牛乳は、よく売っているMN乳業とかMG乳業の製品とは全然味が違いました。でもお値段がちょっと高いのと、何よりやや入手難であるということがネックでした。

B級グルメ

2007年10月27日 10時04分51秒 | 日々のこと
私は決してグルメではないですけど、いくつかこだわっている食べ物があります。いずれも高級品ではなく、B級グルメなんですけどね。まず、お味噌です。もともとお味噌が大好きなでして、お味噌をソースとして使うんでしたら、いつまでも飽きないくらいです。もちろんおみそ汁は大好きです。

近くのスーパーで売ってるものは、あまり手間暇をかけずに作ったもののようで、コクがいまひとつです。随分前、家族で高山に行ったとき、たまたま朝市で買ったお味噌がおいしくて、以来ずっとその生産者の方からわけてもらっています。実はそれより以前に同様に朝市でお味噌は買ってみたことはありますが、塩辛いだけであまり美味ではありませんでした。でも2回目に買ったお味噌はとてもすばらしかったのです。

1社(というか1家族)だけでは、供給不安?があるかも知れないし味も飽きてくるかも知れないので、もう1社探すことにしまして、また高山に行ったついでに買ってきましたが、高山の朝市で売っていて家内工業的に作っているといっても、全てがおいしいのではないということがよくわかりました。いくつかの試食(試し買い)を経てやっともう1社みつけました。こちらは家内工業というよりも古い町並みでお店を出していたところでした。こうして見つけた2社、YさんとMさんに現在交代で注文をだしています。

YさんとMさんのお味噌は結構味が異なるんですが、共通しているのは非常にふくよかな香りです。みそ汁を作ると部屋中に香気が漂います。また酵母が生きているため、お味噌が入っている袋を密閉したままにしておくと、ぱんぱんにふくれてきます。こういう美味なお味噌を毎日食べられるのは小さな幸せですねぇ。

イギリス・リュート協会例会

2007年10月26日 08時53分34秒 | 音楽系
If you happen to be in London...ではじまるメイルが年に数回届きます。これはイギリスリュート協会の例会案内です。8月に来て、つい最近もまた届きました。If you happen to be in London...の happen to は、受験英語では「たまたま~する」という意味なので、この案内文の冒頭は、もし「もしあなたがたまたまロンドンにいらしたならば・・・」という意味ですね。まぁ普通の日本語だと「ロンドンに来るようなことがあったら」というような感じでしょうけど、何となくイギリス的な感じがするいいまわしです。

スイスにいたとき、私も「たまたまロンドンに」いたことがありまして(笑)、このリュート協会の例会に参加しました。Easy Jetという格安飛行機に乗って、前日にロンドンに行き、朝10時45分から始まる例会に参加したのです。まず、朝軽くお茶して、その後昼食、午後のお茶を挟んで、講演会、研究発表、ミニコンサートが延々と続き、暗くなったころにメインコンサートが開かれるというふうに、ほとんどまる一日かけます。

参加者は老若男女、音楽学生、愛好家、プロの演奏家など多種多彩で、イギリスの伝統と層の厚さを感じます。またこういう文化的なことに打ち込む生活のゆとりも感じさせます。日本の場合だと、こういった類の会はできても、会員が30代になり結婚すると、そんなことやってられないとばかり、会の活動から離れる人が出てきたり、あるいは50代になって体力気力が衰えるとともに趣味の活動からも離れてしまう、というような例をいくつも知っています。まぁそういう場合いずれも大して本気で活動に取り組んでいたわけではないということでしょうけどね。

もし、11月24日にたまたまロンドンにいらっしゃったら、一度のぞいて見てはいかがでしょう。会場はthe Swedenborg Hall (20-21 Bloomsbury Way, London, WC1A2TH)、最寄りの地下鉄駅はホルボン駅です。

ペコちゃんノート

2007年10月25日 12時04分54秒 | 音楽系
リュートは弦の種類が多いし、楽器の大きさもまちまちなので、リュート弦1セットという単位で弦は売られていません。ま、一応そういう風なセットもなくはないですが、多くの場合、自分で一本ずつ買うことになります。

どういう弦を使ったらいいかは、弦の長さ、音程、張力で決まります。この3つの値を元にどういう太さの弦にしたらいいかを算出する式がありまして、昔はそれを手計算でやっていました。

私は意外にこまめなところがありまして、弦のデータをノートにずっと記録しています。何かのおまけに貰った、罫線のない「ペコちゃんノート」をつい最近まで使っていました。表紙にペコちゃんの絵が書いてあります。裏表紙にはポコちゃんの絵が書いてありますが、ポコちゃんはなぜかあまり話題になりませんねぇ。

一番古いデータには1973年11月5日の日付がありますが、もう30年以上前です。最初のページには筆算で計算したあとも。電卓が安価に供給される前の話です。この歴史的(笑)ペコちゃんノートもついにページが尽きて去年の12月から二代目です。ペコちゃんノートは実に33年以上も使ったことになります。二代目ノートはペコちゃんノートの3倍くらいの厚さがありますから、あと100年くらいは使えそうです。(笑)

現在は、弦のデータはコンピュータで計算をしています。リュート奏者のポール・バイヤーが開発したソフトがありましてこれを使うと、どのメーカーのどういう品番なのかがたちどころにわかるという優れものです。手計算していたころに比べると雲泥の差です。でも最終的にどういう弦を張ったかは、私は昔ながらのノートに記録して行くことにしています。コンピュータを立ち上げて弦のデータをいちいち見るよりも、さっとノートを見た方が早いですから。でも弦の管理が出来て、ついでに弦のメーカーへの発注も同じソフトで出来てしまうというアプリケーションが出たら、使ってみたいですね。

イベント会社

2007年10月24日 09時41分22秒 | 音楽系
某イベント会社から照会がきまして、某所某ミニコンサートでどういうことができるのか、とありました。私の場合は、今はソロまたはビアンカ・ローザのメンバーとのアンサンブルが多いのでその旨回答しました。そうしたらまた返事がきまして、歌なしならどういうものが組めるかとおっしゃる。ビアンカ・ローザは歌が重要な役割を持ってるのにねぇ。

そういや、3月にミッドランドスクエアのオープニングの仕事をしたときも、楽器だけでやってほしい旨言われました。このときはもっといろいろ条件がついていて、私の相方は名フィルに関係している方がよいとのことでした。最初はその理由がわからなかったのですが、どうもスポンサーのトヨタの関係らしいです。トヨタは名フィルの大スポンサーですから。

それにしてもこういうイベント系で歌が敬遠されるのはなぜ?むしろ楽器だけのアンサンブルよりもいいときもあると思うんですけどね。

続諸戸氏庭園

2007年10月22日 09時39分24秒 | ローカルネタ
西諸戸と東諸戸の間に水路があるんですがそこに立って、今の六華苑と西諸戸を見てみましたが、なんと広大な敷地に豪壮な邸宅があるんだろうと、今更ながら驚きました。その富の集積の度合いは現在ではありえないレベルのものだったんでしょうね。でもその集積された富はいわば再配分みたいな感じで、一般庶民がそのすばらしさを享受できる。極端な富の集積で苦しんだ庶民も多かったでしょうが、中途半端に富が拡散してしまって、何も残らないよりはましなのかも。

でも戦争中の爆撃目標のすぐ近くであるにもかかわらず、よく空襲からまぬがれたものです。倉の一部は被災したそうですが、米軍も爆撃目標をきちんと見ていたということでしょう。それに敷地が広大なので近所からの延焼をまぬがれたということもあるでしょう。
富が再配分された(されつつある?)以上、今度はわれわれ桑名市民が守っていく番です。出せるお金には限度がありますが、何らかの形でしっかりと支えていきたいものですね。

諸戸氏庭園

2007年10月21日 16時05分55秒 | ローカルネタ
今日は午前中レッスンをして、昼からは友人の農家に米をわけてもらいに行く予定の日でしたが、コンサートの曲をさらう時間がほしいので、米取引は断念しました。「バロック講座」の準備も少し遅れ気味だし・・・

天気がすごくいいので、アピタに買い物に行ったついでに今公開されている諸戸邸の庭を見てきました。この諸戸邸は、桑名の豪商諸戸氏の邸宅を公開しているものです。六華苑も諸戸氏の邸宅ですが、こちらは桑名市が買い上げたもので、俗に東諸戸と呼ばれていた邸宅です。今日見に行ったのは「西諸戸」でして、1年のうち春と秋のに一般公開されています。昨年も秋の終わり頃に見にいきました。

このいわゆる西諸戸は民間のものですが、ボランティアの人たちが清掃などをになっているみたい(たぶん)で庭はなかなかきれいです。でも建物自体の修復は多大な資金がいるので、修復できずかなり傷んだ状態です。中にあるビリヤード場とか玄関奥の応接室みたいな洋風のたてものはかなりいたんでいました。なんとかしたいとは思っても先立つものが・・・残念です。