リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プレリュード・フーガ・アレグロのヘ長調編曲(21)

2022年05月31日 13時46分12秒 | 音楽系
フーガ編その1



A4で印刷すると3枚になる、その1枚目です。ちょうど中間部に少し入ったところです。例によってバス弦のオクターブ弦のみを弾くという技法をあちこちで使っています。バスに下線がついているところです。場所によってはバス弦も一緒に弾いてもいいようなところもありますが、絶対に下げてはいけない所もあります。

4小節目の3拍めのバスとか7小節目の1拍めのバス、8小節目の4拍目の7コースオクターブなんかがそうですが、これらは間違ってバス弦も一緒にひいてしまったり、はずしてしまうことはないと思います。しかし11小節目の2拍目の11コースオクターブ弦のみを弾くところはいきなりなので、よく練習しないとはずしてしまうかもしれません。

あとなかなか確定しなかったのは26小節目の2拍目から27小節目の1拍目にかけての、バスが3度上の音と平行している部分です。ここの可能性は次のようなものが考えられます。



1.はどうしてもポジション移動のためにどうしても音がとぎれてしまいます。アゴーギグやアーティキュレーションを工夫するという手もありますが・・・

2.は左手の運指がきついです。

3.は一気に11コースのオクターブ弦が掴めるか。

2.と3.は6コースの e のオクターブ弦が少しうるさいです。これらのパターンは基本的にバスをオクターブ下げない=オリジナルと同じ音程幅にしたわけですが、実質的にバロックリュートはオクターブ弦を6コースから持っているため、楽譜に書かれていない1オクターブ上の音もでてしまいます。

結局、落ち着いたのはバス最初からオクターブ下げるパターンです。実際的にこの方法が一番きれいに響きます。

中間部に入って、30小節めの2拍目、ドドドの部分はあえて異なる弦で弾かないで、ユニゾンの弦を一本ずつ弾く方法にしました。異なる弦でひくとなんかここだけが妙に強調されてしまうのでこの方がいい感じです。次回の分ですが、34小節めの2拍目、同じ音型が転調されて出てくる部分も敢えて2つのコースを使うもののひとつひとつが重ならないように弾きます。

ウクライナのパン

2022年05月30日 13時13分55秒 | 日々のこと
昨日のウクライナ難民支援コンサートで、ウクライナの方が「スペイン窯パンのトラ」というパン屋さんを指導してウクライナのパンを発売するプロジェクトが進んでいるとの紹介がありました。ネットで調べてみましたら、何と今日がその発売の初日だということがわかり、朝安城市のパン屋さん「スペイン窯パンのトラ」に行ってきました。

「パンのトラ」は愛知県内に6店舗を構える評判の大きなパン屋さんです。新東名の岡崎SAにもお店があり、実はここで何回もパンを買ったことがあります。



朝早起きをして7時30分に到着しました。お店の開店は7時からですが、途中23号線が渋滞していて遅れてしまいました。中に入ると、なぜかテレビのクルーが入っていまして、私がウクライナの黒パンに手を伸ばすとカメラが寄ってきました。いくつか一般的なパンを買って支払いを済ませると、テレビ局の方が私のところにやってきて、「ウクライナのパンを買われましたね?もしよかったらそこのイートインコーナーで食べてらっしゃるところを取りたいのですが」とおっしゃる。


左が黒パン、右の小さいパンがポンチキと呼ばれる中にジャム入り揚げドーナッツ

さすがにそれは全顔出しなのでお断りしましたが、簡単なインタビュー?にはお答えしました。テレビ局の方がおっしゃるには、明日の夕方に放送されるかも分かりませんとのこと。

パン屋さんから帰宅しましたら、ちょうどソプラノの佐地さんから電話がありまして、昨日のコンサートのことについて明日のCBCテレビのチャントという番組で放送されると伺いました。私が映っているかも知れないのはそのときかも知れませんですね。ボツにしといてくださいとは言っておきましたが・・・

ウクライナ難民支援チャリティーコンサート in 安城

2022年05月29日 21時00分10秒 | 音楽系
ウクライナ難民を支援するコンサートが愛知県の安城市で開催されました。コンサートをオーガナイズしたのは先日桑名六華苑コンサートでご一緒させていただきました佐地多美さんです。

このコンサートの話は佐地さんとのリハーサル時に伺っておりました。実は安城市にウクライナの人が3人お住まいでそのうちのおふたりはロシアのウクライナ侵略に際してキーウからこちらに避難してきた方です。

会場は安城市のへきしんギャラクシープラザです。「へきしん」は愛知県中西部を拠点とする碧南信用金庫のことで、この会場のネーミングライツを取得したのでしょう。安城市文化センターが前の名前ですが、ナビで昔の名前でしか検索できませんでしたのでライツ取得は比較的最近のことなんでしょう。



会場はほぼ満員でコンサートは大盛況でした。曲目は、最初2題が邦楽、あとは洋楽で、マリンバ、ヴァイオリン、ピアノ独奏、ソプラノ独唱、女性コーラスと続きました。ソプラノ独唱は本コンサートのオーガナイザーでもある佐地さんでしたが、圧倒的にすばらしかったです。



六華苑の時は日本歌曲を歌っていただいたとはいえ、伴奏を完全に私の編曲したものに入れ替えたもので、いわば本来のフィールドよりリュート寄りでやっていただきました。普段オリジナルピアノ伴奏で歌ってらっしゃる方が、ピアノとはかなり出音が異なるリュートでしかも伴奏も異なる条件ではさぞかし大変だっただろうと思いますが、パーセルなんかは古楽の演奏家みたいに歌って頂き本当に素晴らしかったです。

いつものフィールドで演奏した今回の熊谷賢一、信長貴富作品は本当に魅力的でした。お年を重ねてますます魅力を増す佐地さんの歌唱に聴き惚れていました。

このコンサートには安城市にお住いのその3人の方が招待され、全プログラム終了後に登壇してウクライナの国家を歌っていただきました。そしてもう1曲、今度は日本の歌をということで何と「会津磐梯山」でした。あの小原庄助が出てくる歌ですね。どういういきさつこの曲を覚えたのかはよくわかりませんでしたが。

しかしまぁあのロシアの蛮行はまだ続くのでしょうか。ウクライナから非難している人たちが一刻も早く自分たちの国に戻り平和な生活を取り戻すことができるよう、心から願っています。

一輪挿し

2022年05月28日 16時12分13秒 | 日々のこと
駐車場のアスファルトの隙間から細い草が生えていました。よくぞこんなところにと思っていたところ、ある日直径5mmにも満たない白い花を咲かせていました。歩くときに踏みつけないよう、クルマに乗る時はいつも目をやっていました。

先日たまたまガラス工芸のお店に立ち寄ることがあり、いろいろ見ていると、多面体のように見える球状の一輪挿しが目を引きました。細い金属の線が入っています。直径は5cmくらいです。

駐車場の小さい花をこれにいけたら結構いけるのではと思い、その一輪挿しを即買いです。作家さんは西本至孝さんとおっしゃる方で、有名な方のようです。

さっそく駐車場に花摘みに行きましたが、残念ながら花の多くはもう枯れていましたがまだ残っていた3つくらいをちぎって、玄関のナンテンの葉っぱと一緒に挿してみました。



花の方はすぐにしぼんでしまいましたが、それでも光があたって周りには少し不思議な空間を作り出しています。なんの変哲もない草木でも本来は輝いているものですね。

モリナーロ作曲ファンタジア第1番

2022年05月27日 12時06分12秒 | 音楽系
最近はあまりルネサンス・リュートをコンサートで弾いていませんが、今回ご紹介するのは1992年12月5日に桑名で行われたコンサートでのルネサンス・リュート・ソロです。

桑名では、バロック音楽の旅ではちょい出しで演奏することもあるのですが、それ以外のコンサートは3回しかやっていないので多分一番最初に行った某楽器店のホールで行ったものだと思います。このときはチェンバロの岡田龍之介氏とリコーダーの古橋潤一氏と一緒でアンサンブルが中心でした。この3人で四日市、名古屋、神戸(阪神大震災の前年でした)、東京、そしてもう一回桑名でコンサートを行いました。

録音がカセットですので少しノイズが多めです。曲はシモーネ・モリナーロの曲集第1巻(1599)からファンタジア第1番です。指が少しもつれているところもありますが、ご愛敬ということで。(笑)使用楽器はマティアス・デュルビーの7コース(1985)です。

Molinaro Fantasia Prima

受け狙い?

2022年05月26日 09時11分16秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
時事ネタを少々。

沖縄の知事さんが何かの会議の冒頭あいさつで「ゼレンスキーです。・・・」と言ったそうな。これって高田純次のギャグですよね。高田さんがやっている街散歩番組で初めてのお店に入っていくとき「アラン・ドロンです」って名乗るパターンです。高田さんはプロの芸人さんですから、いい加減にやっているように見せて、どういう人物を名乗るかは結構きちんと計算しているはずです。

事もあろうに沖縄知事たる方が何も考えないで単なるうけねらいでこのギャグを使ったとしたら驚きです。知事は後でそれは冗談のつもりだったと釈明していますが、ことばは選んで使わないといけません。

今後この話がこれで立ち消えになるのか、後々までマスコミや対立勢力の政治家さんがつっこんでくるのかは見ものです。自民党の議員とか首長がこの手の失言をしたらマスコミや対立勢力の方たちは大騒ぎになるでしょうけど、今回はどうなんでしょう。推移を見守りたいです。

スピーカー刷新顛末記(最終回)

2022年05月25日 13時15分47秒 | 音楽系
とりあえずスピーカーの刷新は止めたわけですが、将来のためにHarbethの最新のモデルの音を聴いてみたくなりました。ネットで展示、試聴ができるところを探してみましたが、近所にはどうもないようです。

それでも未練たらしくまだ行っていないところに出掛けることにしました。まず行ったのが名古屋駅西の家電量販店にあるショップ。ここで今コンピュータ用に使っているDALIのFAZON MIKROというスピーカーを買いました。

中村警察の近くの駐車場に車を止めましたが、駅に近いこともあり駐車代が高いです。その店は家電量販店の2F、記憶ではもう少しちゃんとしたものが置いてあると思っていましたが、何もありません。(ホントはちゃんとあるんですがお眼鏡にかなうものがないという意味です)店員さんもいないし。ということでここは足早に立ち去りました。

次に向かったのが大須商店街にあるNオーディオショップ。ここは今のHarbeth Compact 7を買ったお店です。さすがにいいものを置いています。店員さんの応対も丁寧で知識も豊富です。Harbeth製品はありませんでしたが、いくつか聴いてみた中でMusikelectronic Geithain社のME25と言うモデルが刺さりました。今回はオケだけではないく古楽のソースも聴きましたし、自分のCDも聴いてチェックしました。これはいいです。妙な色付けがなく音楽的です。色付けをしていないということを売りにしているスピーカーもありますが、確かに色付けはしていないけど音に魅力がない(=音楽的ではない)というのが多いです。(例えば〇〇社の目玉型のスピーカー)でもこれは違いますねぇ。

このドイツ語と英語が入り混じった名前のメーカーは、旧東ドイツの時代に設立されたそうで、有名な放送スタジオにも沢山納品されているそうです。ただお値段がペアで50万弱、筐体の突板にバーズアイのメイプルを使っているモデルだとそれよりさらに数万円高くなります。行けなくもないレベルではあるので少しグラッと来ましたが、そのうち楽器も買うかも知れないので今回はやはりパスです。

今回誘惑を断ち切ってパスできたのは、Luxman L-507fを修理に出して若返らせたのと、いいオーディオケーブルに替えたことが大きいでしょう。この2点で相当音はよくなりました。スピーカの刷新はなりませんでしたが、オーディオ全体として結果的に小刷新くらいにはなりました。

スピーカー刷新顛末記(4)

2022年05月24日 15時52分48秒 | 音楽系
翌日またお店に連絡をしましたら、送り返してくださいということなので、再梱包することにしました。再梱包する前に現有のHarbeth Comapct 7と音を聴き比べをしてみました。そういやOオーディオ店では古楽関連の曲は聴いてみませんでしたので、どういう音が出るのか興味がありました。

聴いたCDはバンヤマン・アラールとボブ・ヴァン・アスペレンのチェンバロ、トレヴァー・ピノックのブランデン、私のCD第1集、アンナー・ビルスマの無伴奏チェロ、あと参考にポール・マッカートニーのライブCDも聴き比べてみました。

2つのスピーカーで聴き比べてみると驚くべき事実が分かってきました。Paradigm Founder B40は音域でいうとG-->C'あたりの音域が妙に強調されて響くのです。ですからチェンバロやリュートの中音域以下の音がアンバランス的に大きく出ますし、ブランデンの通奏低音も出てはいけないくら目立ちます。比較的気にならないポール様のCDでもよく比較試聴してみるとベースからギターあたりの中低音域が少し出すぎて曇った感じになるのがわかります。これらは片方のスピーカーが少しサチュレーション様の音が入ってこうですから、両方とも正常ならばもっとこのことが強調されるのは間違いないでしょう。

Compact 7の方はとてもすっきりと、各帯域がバランスよく音がでます。両スピーカーともバスレフ式なのでチューニングというか考え方というか設計者の耳というか、それらが全くことなる訳です。ひとことで言うとCompact 7の方が音楽的です。そういえば27年前に、バロックのストリングアンサンブルの曲を聴いて圧倒的に綺麗にバランスよく音が鳴るので選んだことを思い出しました。

結局再梱包したFounder B40をクロネコで送った後、Yオーディオ店には申し訳ないけどキャンセルする旨を電話で伝えました。Yオーディオ店の担当の方はいやなことひとつおっしゃらずとても感じのいい対応をしていただきました。

ということでばたばたしましたが結果的にはケーブルを2本替えただけでした。(その少し前にLuxman L-570fの修理をしましたが)でもいろいろ勉強になりました。オーディオは奥が深いです。Next SpeakerはやはりHarbethの後継機種かなと思って調べてみましたら、直系の後継機種だと70万近く、今のものの倍くらいのお値段、その一つ下でも50万くらいでした。うーむ、先立つものが・・・置いてあるお店を探してとりあえず試聴してみますか。


スピーカー刷新顛末記(3)

2022年05月23日 07時52分56秒 | 音楽系
ケーブルで音がよくなったので、もうスピーカーの買い替えは不必要かなとも思われましたが、なんせ27年も経っているので音は劣化しているはずです。Oオーディオ店で聴いたParadigm Founder B40はとてもいい音だったし、やっぱりこれは買わないといけないと思い、ネットで価格比較を行いましたら、九州にあるYオーディオ店が送料無料で最安値でしたので、ここに注文することにしました。Oオーディオ店で丁寧に説明してくださったお兄さんには申し訳なかったですけど。<(_ _)>

注文しましたら翌々日にモノが到着。相変わらず便利すぎます。早速開封の儀を行い、スピーカーを置き換えました。まず聴いてみたのはOオーディオ店で試聴したのと同じクルレンツィスのマーラー6番、実は同じものを持っています。

この曲は最初から快活なテンポに乗って勢いよく音が飛び出てきます。Founder B40は試聴したときと同じ、派手な音を出していました。曲は第二主題に入る前のブリッジの部分で静かになります。そのときアレッと思いました。右のスピーカーの音が少しおかしいのです。その部分をスピーカーの近くで聴いてみると音が減衰してくるときにサチュレーション(テープ録音などで入力信号が大きすぎたときの音の歪み)みたいな音がします。

早速Yオーディオ店に連絡してみましたら、もう少し様子をみたらどうですかということでしたのでそうすることにしました。まぁ普通そうですね。スピーカーのエージングで直るかもとお店の人はおっしゃっていました。

そこでソースをいろいろ変えて聴いてみますと、オケやバンドが大きな音で鳴っているはほとんど気づきませんが、音の減衰がある楽器(リュート、ギター、ピアノ)だと聴くに堪えないレベルです。これはエージングでどうこうのレベルではありません。

スピーカー刷新顛末記(2)

2022年05月22日 08時57分41秒 | 音楽系
ネットでParadigm Founder B40をググってみますとなかなか評判のいいスピーカーでした。Paradigm はカナダのメーカーで日本に入って来たのは比較的最近のようです。道理で聞いたことのない名前でした。

いくつかナントカアワードみたいな賞も貰っていて評判の品です。でもこういった賞は絶対批評家とメーカーがグルになっていますから用心しないといけませんが、少しくらいは信じることにしました。

ネットで探してOオーディオ店より安いプライスのお店はないかと探しましたら、ありましたねぇ。(笑)九州のお店ですが、ここは2個口の送料無料です。よしここに決定!しましたが、ちょっと頭を冷やしてまずボロっちいケーブルをいいのに取り換えることにしました。

ケーブルと言っても数千円から何十万もするものがあってピンキリです。私はそのキリの方を使っている口ですが、まぁ2万くらいなら出せるかなということでそのクラスのものをネットで注文しました。

ポチった翌日にもう品は届きました。なんという便利な世の中でしょう。そこまで便利にならなくてもいいんですけどね。で、早速さっそく既存のケーブルと取り換えてみましたらあら不思議、音の出方がよくなかった右のスピーカーはすっかり綺麗に音が出るようになりました。全体的にも音が若返った感じでした。右スピーカーの音の出がなんとなく良くないという、とてもアナログ的なトラブルはケーブルがさびていて伝導状態が良くなかったというアナログ的なことが原因になっていたようでした。