リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

チノの「名機航空博物館」

2017年12月28日 03時03分34秒 | 日々のこと
名古屋では雪が降ったというのに、こっちでは今日は暑いです。気温が25度超、もう初夏という感じです。今朝もたっぷりオレンジを頂きました。



先日近所のチノというところにある「名機航空博物館」に行ってきました。というか連れて行ってもらいました。ここは大戦機ファンの私としてはぜひ行きたかったことで、やっと念願がかないました。

アメリカのこのあたりは鉄道が全然発達していなくて、チノの博物館はなかなか自力で行くのが大変なのです。今だとウーバーを使うとなんとかなるかな?それにしてもインターネットの環境を整えていかなくてはいけないし。

イギリスにもこの手の有名は博物館がありまして、留学中の夏休みにわざわざスイスから出かけたものです。イギリスは日本みたいに鉄道網が発達しているので、列車に乗ってのこのこと出かけました。その時行った博物館は2つ、ひとつはコスフォード基地にある博物館、もうひとつはロンドン市内のヘンドンにある博物館です。それぞれ世界に1機しか残っていない、百式司令部偵察機(三菱)と五式戦闘機(川崎)が収蔵されています。シンガポールにあったものをイギリスが本国に持ち帰ったもののようです。

日本に持って帰ると、「負の遺産」とかなんとか言う人の声が大きくて大切に扱われない傾向がありますが、旧敵国ではとても大切に扱われているのはなんなんでしょうね。

チノの博物館には、なんとオリジナルの状態を保ったゼロ戦があります。もっともオリジナル状態といっても脚とか計器、電装関係は新しいもののようです。エンジンは本来ゼロ戦に搭載されていた「栄エンジン」で、このエンジンを搭載して実際に飛ぶことができるのはこの博物館に収蔵されている機体だけです。


注)手はわずからながら浮かせています。(笑)

確か3年くらい前にこの機体が日本に里帰りしたことがありました。そのときは時間がとれなくて見に行けなかったのですが、当時のニュースでは人がいっぱいで見学の制限もあったとか。チノの博物館では、ロープも張ってなくてすぐそばまで近づくことができます。ほおずりしようと思えばできます。(しませんでしたが)すぐ傍までちかよって子細に眺めましたが、ホントにきれいに整備されています。カウリングからエンジンを覗くとオイルが付着しています。エンジンの真下にはオイルパンがおいてあります。まさしくこの機体はまだ生きていて空を飛ぶことができるという証ですねぇ。

チノの博物館はいわゆる動態保存の飛行機が多くあり(それがウリの博物館です)、70年以上前のご老体機でも飛ぶことがきる状態で保存されています。当然併設の飛行場もあります。ゼロ戦のとなりに置いてあったP-51ムスタング(子供の頃はマスタングではなくムスタングと呼んでいました)のエンジンの下にもオイルパンが置いてありました。こっちのムスタングはもうピッカピカで新品みたいです。もちろん飛行可能です。

ここにある日本機はあと彗星艦上爆撃機(愛知、空冷エンジンタイプ)と局地戦闘機雷電(三菱)が綺麗な状態で展示してありました。液体エンジンタイプの彗星は日本の靖国神社遊就館にありますが、こちらはもうなんかがたがたの状態です。彗星のエンジンの下にもオイルパンがおいてありましたので、少なくともエンジンの始動、タキシング(滑走)くらいはするのでしょう。雷電は最近修復が完了した機体らしいです。こちらは飛行可能の状態まで復元するのでしょうか。

日本でもこうした大戦機を「負の遺産」的な目で見る傾向は徐々に薄れてきつつあるようで、私としてはとても喜ばしい思いです。鹿児島・知覧の博物館にあった三式戦闘機は生まれ故郷の各務原に帰ってきて川崎重工による修復をうけました。知覧ではとてもだだくさにあつかわれていた感じがしましたからねぇ。でも日本の資産家が購入して日本で飛べるよう諸審査を通過したゼロ戦は資金難で運用がきびしくなっているそうです。なんでも年間の運用に年2000万いるとか。うーん、2000万ねぇ。現代はカネが偏在していますからあるところにはこのくらいならいくらでもあるとは思うのですが。

カリフォルニア生活

2017年12月27日 16時57分33秒 | 日々のこと
アメリカのカリフォルニアに来て5日目、ようやく時差ボケも少なくなってきました。娘夫婦が住んでいる、カリフォルニア州のユカイパという田舎に来ています。日本は雪が降っているらしいですが、ここはとても温暖で、日本で言うと春先の温かさです。夜はぐっと気温が下がりますが、日中はシャツ一枚でも少し暑いくらいです。



カリフォルニア生活というと聞こえはいいですが、要するに孫の守りです。孫が三人もいますので、ほとんど自分の時間はありません。自分のクルマがないのでどっかに逃避するわけにもいかず、歩いて行けるところにはカフェも本屋さんも全くありません。まぁ軽い軟禁状態という感じかな。とは言え、実際には車で近く(といっても40kmくらい先ですけど)の店やレストランによく連れていってもらいますけどね。

温暖な気候のおかげで庭にはオレンジが実っていて、毎日食べています。



娘によりますと例年は食べきれないくらい実るそうで、私たち夫婦で「食べきって」ほしいとのことなので、精出して毎朝頂いております。木は一本だけですが、ざっと見積もってあと6,70個はありますので、帰るまでに食べきるのはちょっと難しいかもしれません。近所のスーパーに売っているオレンジはなんか少し乾いた感じがしますが、さすがもぎたてオレンジは皮をむくときから香りが違います。

以前娘夫婦はシカゴの近郊に住んでいまして、同じ時期に訪れたことがありましたが、もうそれは寒いのなんのって。毎日の平均気温がマイナス10度近くで、マイナス20度くらい行ったときもありました。それに比べるとここは天国みたいです。

日本には一月の4日に戻りますが、寒いんでしょうねぇ。4月くらいまでここにいたいくらいです。でもまぁコンサートやそのリハーサルが控えていますので戻らないわけにはいけません。

バロック音楽の旅11第5回講座

2017年12月10日 22時57分26秒 | 音楽系
バロック音楽の旅11第5回講座は、太田光子さんの無伴奏ソロコンサートです。彼女は5年前から当講座のコンサートに来ていただいており、もうすっかり「常連」となった感があります。



曲の合間の私とのトークもぴったり呼吸があって流れるようになりました。(私は相変わらずときどき噛みますが(笑))本日12月10日のコンサートは、80人近い方にお集まりいただきました。本講座を申し込まれた方が89名ですので、9割近い方にご参加いただいたということになります。多分、これって新記録だと思います。

さてプログラムは、ファン・エイク、クレーマー、ヘーベルレの作品を演奏していただきました。ファン・エイクは17世紀初めに活躍した人、あとの二人は19世紀に活躍した人で、チャーカンと呼ばれる細長いステッキのような形の縦笛の名手だそうです。彼らが書いたチャーカンのための作品はリコーダーでも演奏できるように書かれているということです。作曲年代に100年の差がある作品を行ったり来たりのコンサートでしたが、名手太田光子さんの手にかかると、様式の差がみごとに吹き分けられ、華麗なる無伴奏ソロの世界が広がっていきました。



曲目は次の通り。

ヤコブ・ファン・エイク(c.1590 - 1657)
ヤギの足、この美しい人魚が、最も美しい娘ダフネ(笛の楽園(1644初版)より)

エルネスト・クレーマー(1795-1837)
デイヴェルティメント第1番、第2番、第12番

ヤコブ・ファン・エイク(c.1590 - 1657)
涙のパヴァーヌ(笛の楽園より)

アントン・ヘーベルレ(1780? -19世紀初頭- ?)
ファンタジー

ヤコブ・ファン・エイク(c.1590 - 1657)
リンデンの木陰で、ファンタジア&エコー、かわいい泥棒さん、
なぜこんなにおとなしいの?、ルパート殿下のマーチ(笛の楽園より)

エルネスト・クレーマー(1795-1837)
ディヴェルティメント第9番、オリジナル・ポプリ作品3

いよいよ次回第6回(2018年2月11日)で最終回となります。リュートとヴァイオリンとチェロでいわゆる多感様式の作品を演奏予定です。