リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

マレーシアの閣僚、学歴詐称!?

2019年02月28日 12時20分35秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
今マレーシアでは閣僚の学歴詐称が話題になっているらしいです。

ウソゆうたらアカンやろ!

ケンブリッジ大学卒業というふれこみの閣僚が出た大学は、実はいわゆるケンブリッジ大学ではなく、ケンブリッジという名前がついているだけの大したことのない大学だったそうです。この大学はひょっとして、「ディプロマミル」なんでは?

「ディプロマミル」というのはウィキペディアによると、「実際に就学せずとも金銭と引き換えに高等教育の「学位」を授与すると称する機関・組織・団体・非認定大学のことである」です。

以前某芸術系教育機関の教授者達がホノルル大学で博士号とか修士号を取ったという経歴をうたっていました。このホノルル大学というのも「ディプロマミル」のひとつです。もっともホノルル大学の学位という点ではウソはないわけで、その意味では学歴詐称ではないですけど。本物の偽物ということですね。(笑)ちなみにハワイ大学というのもありますが、こちらはちゃんとした著名な大学ですが、いっしょくたにされがちなのはいい迷惑でしょう。

あと某大家の講習会(セミナー、マスター・クラス、ワークショップとも)を何回か受講したことを根拠に、某大家に師事とプロの演奏家の経歴にあるのを見かけることもときどきあります。普通「師事した」というのは一定期間師匠の内弟子などになったり、学校に入学したりして教えを請うた場合をいういいかただと思うのですが、どうも拡大解釈をするケースがあるようです。講習会受講レベルと師事レベルでは、レッスンの回数、密度、厳しさなどは全く異なります。


で、冒頭のマレーシアの話しに戻りますが、意外にもそのことが大きな問題にはなっていないようです。ということは実際に実力があればいいという風土があるということでしょうから、そういうことならせっかく見栄をはるためにやったことは無駄だったということになります。(払ったカネも無駄?)有権者の意識を読み違えていたということで、今度は政治家としての力量不足を感じさせます。

牡蠣食べ放題

2019年02月25日 13時40分54秒 | 日々のこと
昨日は天気がいいので、急に思い立って、お昼に牡蠣を食べに鳥羽方面に家内と出かけました。ホントはまだやってない仕事が残っているのですが、まぁ明日〆切というわけではないので。(笑)

目指すは鳥羽市浦村のとある牡蠣小屋。なんでも浦村の牡蠣小屋では一番はじめにできたところらしいです。牡蠣食べ放題を広めた立役者といえましょうか。今日は休日なので、東名阪の混雑は覚悟していましたが、割合とスムーズに。でも伊勢自動車道に入った途端、渋滞が。この先流入もなければもちろん信号もない道でこんなに渋滞とは!お伊勢参りや牡蠣を食べに行く人がこれほどまで多いのかと、少し絶望的になりましたが、前方に故障車があったので少し渋滞していただけでした。その後はあおられもせず無事伊勢西まで到着。この先もう少し行くと鳥羽です。

伊勢はよく行くことがあるのですが、鳥羽はホントに久しぶりです。焼き牡蠣をたらふく食べさせてくれる「牡蠣小屋」なんてのができて久しいらしいというのも全く知りませんでした。もうほとんど記憶から消えている鳥羽駅や水族館の横を通り、山道に入ります。くねくね道を上ったり降りたりしてやっと到着です。所要時間は、1マーラー(注)です。



時間制限60分で焼き牡蠣は食べ放題です。最初は牡蠣をむくのに少し手間取りましたが、慣れてきたらすばやく出来るようになりましたが、今度は牡蠣を持つ左手が痛くなってきて・・・あとから分かったんですが、貸し軍手があったそうです。ま、次回はマイ軍手を持っていきましょう。

さすがに60分続けて牡蠣を食べ続けることは不可能で、40分過ぎにはごちそう様になりました。

こういったお店は実はミューズに行くときに使う駐車場の真ん前にもあるのですが、お値段がえらく高いです。浦村はすぐ下の入り江で養殖をしていますので、野菜で言えば畑のそばで食べているようなもの。とても新鮮でお値段もリーズナブルです。牡蠣自体はたくさん食べてもそんなにおなかにもたれることはありませんが、通風のケがある人は食べ過ぎに要注意ですよ。

(注)マーラーの交響曲1曲分にかかる単位時間を1マーラーという。(私が勝手にいっているだけです)曲によって異なるが、今回は3番です。ちなみに奈良も家から1マーラーです。なお帰りは大渋滞にひっかかったので、2マーラーを超えました。

魂のエヴァンゲリスト

2019年02月21日 14時35分16秒 | 音楽系
音楽学者の磯山雅さんが急逝されてからはや一年が経とうとしています。氏は昨年の1月終わり頃、声楽のコンテスト終了後、折しも積雪のため凍結していた道で足を滑らせ、頭部を強打して意識が戻らず、翌月2月22日亡くなられました。

氏の著作で名高いのは、1985年に出版された「バッハ=魂のエヴァンゲリスト」でしょう。



まだドイツが東西統一されていない頃の出版ですので、口絵の図版は東ドイツ、西ドイツという表記がなされています。写真は東京書籍版ですが、持っていなかったので、神田の古賀書店で見つけたので購入いたしました。

氏には終にお目にかかることはなかったのですが、「マタイ受難曲」「バッハ・カンタータの森を歩む」1巻~3巻などの書籍を通じて、氏の業績の一端に触れることができましたことはとても幸いなことだと思っています。カンタータの森シリーズは3巻でとまっていたので、いつ続きがでるか楽しみにしていましたが、それもかなわぬことになってしまいました。

ここに氏を偲びあらためて追悼の意を表したいと思います。

フェルメールの誤解(1)

2019年02月10日 13時46分22秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
フェルメールの誤解、といってもフェルメール自身が誤解していたという訳ではありません。彼の作品にまつわる解説中で、ときたま誤解を招くような内容(ウソの内容、テキトーに言っている)があります。(特に楽器系の話で)でホントはこうですというような形で紹介していきたいと思います。まぁ、フェルメールにまつわる誤解といった感じです。もっとも音楽系のことしか知りませんので、音楽系限定です。

さてまず「紳士とワインを飲む女」です。この絵は1658年から1660年頃に描かれた絵で、現在はベルリン絵画館の所蔵です。先日某テレビ局の某番組でこの作品が紹介されていました。なんかビール会社がスポンサーになっていた番組だったような、でも年のせいではっきり覚えていません。



私はこの椅子にのっかている楽器に注目して番組を見ていましたが、こともあろうに「椅子に乗せてある楽器はリュートという楽器で・・・」というナレーションが流れました。私は思わずつっこみました。

ウソゆうたらアカンやろ!


40数年前の古楽黎明期ならいざ知らず、今時こういうことがあろうとは、ある意味ショックでした。まだリュートという楽器はこんな程度の認識なんですねぇ。

ナレーションの台本を書いた人が一番いけないんでしょうけど、それを読んだナレーターやディレクター、編集した人など、放映前にかなりの人がこの部分を見ている筈ですが、一人も知らなかったわけです。これがもし「椅子に乗せてある楽器は三味線という楽器で・・・」になっていたら、いくらなんでも誰かが気づくはずです。

フェルメールが描いた楽器はシターン(Cittern, Citten)という楽器です。この楽器のことを音楽事典で調べて見ますと、いろんなバリエーションがあるらしいですが、このフェルメールの絵に描かれているのは、イギリスのトマス・モーリーのコンソート・レッスン(1599年にロンドンで出版、1611年に改訂版)で使われている楽器が地理的にも時代的にも一番近いと思います。最近届いたばかりのイギリス・リュート協会の機関誌にシターンの写真が出ていました。



リュートの胴体は球体ですが、この時代のシターンは平面です。後ろからみてぺったんこの胴体の楽器をリュートです、はないですねぇ。

リュートは精密機器

2019年02月07日 12時38分27秒 | 音楽系
花粉に敏感な方はぼちぼち花粉を感じてきている頃らしいです。花粉の大きさは20~30ミクロン、大きいモノで100ミクロンくらいあるそうです。1ミクロンは1/1000ミリメートルなので、20ミクロンは0.02mmになります。

私がバロック・リュートの1コースに張っている弦の直径は0.44mmですが、これを0.42mm弦に交換すると結構張力の違いを感じることができます。というのも張力が思った以上に変化し約400g分だけ緩くなるからです。わずか0.02mm(=20ミクロン)、花粉1粒分だけ細くするだけで、ペットボトル飲料1本に近い分だけ弦が緩くなることになるわけですから、あなどれません。

よく細かい細工をする、というたとえに「ミリ単位の仕事」という言い方をしますが、リュートを「ミリ単位」で作ったものなら、およそ楽器として成立しません。弦でも、細い弦は0.02ミリ単位で売られています。もちろん各バーツの接合が「ミリ単位」でやっていたら、あちこちに隙間ができて、弦を張ったら楽器は分解してしまいます。1コースの弦と指板のマージンとか各複弦の間隔、フレットの高さなんかももちろん「ミリ単位」ではありません。もっともこういうことはリュートに限らず全ての弦楽器に当てはまります。ときどきミリ単位で製作したかのようなリュートを見せられることがありますが、それには全く閉口します。



上の写真は、ナットの高さを調整(かさ上げ)するための紙です。別に特別な紙というわけではありませんが、トヨタ自動車から送られてきたDMの封筒が0.15mmでしたので、これを使っています。ボルボのカタログを入れる封筒も同じくらいの厚さです。これより厚いと調整しにくいし、これより薄いのは何度も調整しなおす必要が出てくるので、やや厚の0.15mmくらいが使いやすいと思います。

フレットは、0.05mm単位で太さを変えていき調整します。たとえば1フレットが少しびびるようでしたら、1フレットのガットを0.05mm太いのに交換してみます。弦メーカーで販売しているフレット用のガットも0.05mm単位で太くなっていきます。開放弦を弾いて少し1フレットに当たっている感じがしたら、1フレットを少し細めのものにするかナットを少し高くかさ上げします。ナットをかさ上げするときに私が使っているのが、このトヨタやボルボの封筒です。これを1枚ナットの形に切ってナットの下に敷くと、フレットを3サイズ太くしたのと同じくらいの効果があります。ちなみにナットを0.15mm程度高くするくらいでしたら弦高が上がりすぎて弾きにくくなるという感じはあまりありません。ただもう一枚重ねると結構きますので、念のため。

このようにリュートの各部の接合のみならず、フレットや弦、ここでは例に出しませんでしたがペグの加工なんかも「ミリ単位」ではなく20ミクロンくらい(あるいはそれ以下)の単位で製作、調整されます。このあたりが同じ木工品でも民芸品や家具などと大きく異なる点です。こういった精密な調整や加工はもちろんヴァイスの時代、ダウランドの時代のリュートであっても同じです。

さて「ナット調整用紙」をまだお持ちでないかたは、ぜひ各自動車会社のショールームにお出かけになり厚手の封筒やカタログをゲット致しましょう。

乾燥に注意!

2019年02月06日 14時50分39秒 | 日々のこと
当地方でも最近というか今年に入ってから雨があまり降っていません。もともと冬は晴れの日が多くあまり雨は降ることはないのですが、それでも例年より空気が乾いている感じがします。

今日テレビのワイドショーで見たんですが、湿度には実効湿度というのもあるそうなんですね。中学校のときに習った湿度というのは、その気温の飽和水蒸気量に対して、どのくらい水蒸気があるのかという割合ですが、実効湿度というのは木材がどのくらい乾いているのかというのを示す数値だそうです。詳しい計算方法はわかりませんが、なんでも何日分かの湿度をもとにして算出するらしいです。

このエントリーを書いている私の部屋の温度は現在22.8度、湿度は44%です。22、3度が体温との関係もあって、弦の狂いが一番少ないです。あくまでも経験上ですが。なぜか私の部屋の湿度は40%を下回ることはないですが、これはひょっとして西側の壁面一面が本棚になっているので、本が吸い込んだ湿気が湿度を安定させているのかも知れません。

リュートに限らず弦楽器が一番恐れるのは乾燥のし過ぎです。乾燥しすぎると表面板にクラックが入ることがあります。冬のヨーロッパの部屋の中はずっとストーブを焚きっぱなしということもあり(ガスの火を入れるのが10月、消すのが4月に入ってからで、その間火はつけっぱなしです)ものすごく乾燥するので、リュートにとっては恐ろしい季節です。ですから、ストーブの上にいつも水の入った鍋を置いて乾燥し過ぎを防いでいました。

最近の乾燥気候のせいで、木製の椅子が割れたりすることもあるようです。もっとも何もしないで割れたわけではなく、座ったらパリッと座面が割れてしまったということらしいです。リュートはバロックリュートだったら60kgを超える張力の弦が張ってあります。弦の少ないルネサンスリュートでも40kg台、クラシックギターも同じくらいでしょう。弦楽器はいつも表面板に力がかかっていますので、気が付いたらクラックが入っていたなんてことがあるわけです。

ここ2、3日少し雨が降ったこともありましたが、このくらいではなかなか実効湿度は下がらないのではという感じがします。楽器を保管したり演奏したりする部屋には温度計と湿度計を常備して絶えず注意しておく必要がありますね。

朝食のお味噌汁

2019年02月02日 11時19分51秒 | 日々のこと
今日は久しぶりに朝食の味噌汁を。バーゼルでの留学生活はずっと自炊でしたので、それ以来自分で料理をするのに目覚めています。(というほど大したものは作れませんが)

まず出汁をとったあと、具を煮ます。今日はネギを沢山もらったのでネギの味噌汁。ちょっとしなびかけた大根が冷蔵庫にあったので、それもいれましょう。高い温度で味噌を入れると、お味噌の味が生かされませんので、煮立てたあとは水冷します。




味噌は高山からのお取り寄せのものを使います。もう20年以上前からお取り寄せしています。注文は電話ですけど、アマゾンで注文するより早いです。「もしもし、三重の中川ですけど」「はいはい、いつものヤツですね」「よろしくお願いします」という感じで済みますので、大体5秒もあれば注文完了です。



このお味噌は熱処理していないので酵母菌が生きています。部屋に置いておくと夏場は注意しないと袋が破裂してしまいます。



お味噌を混ぜて、少し煮立てると具だくさんお味噌汁のできあがりです。自分の好みの味付けは、当然ながらおいしいです。(笑)