リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

楽譜の読み方

2007年05月30日 10時49分53秒 | 音楽系
楽譜の読み方というのは結構いろいろあるみたいです。第3線上に音符を書けば「シ」ですけど、そう記譜された音符を見ると次のような過程を経て認識して演奏する場合が多いようです。

「シ」を見る→「シ」と認識する→「シ」と心の中で発音する→楽器の「シ」の位置を確認→「シ」を押さえて→弾弦する

これらは、もちろん連続的にしかもかなり短時間で行われるのが望ましいです。この方式は、アマチュアの人に聞くと大体このやり方ですし、一部のプロの人もこのやり方で読譜してるみたいです。

この方式で、問題になるのが{「シ」と心の中で発音する}だと思うんですね。ドレドレミファソなんて識別しながら(このとき必ず短い時間にせよ、心の中でドレミファソって読んでます)楽譜を読んでいたら、どうしても読譜が遅れますよね。それにリュートや鍵盤楽器みたいに和音が出る楽器の場合は、その方式は通用しません。

実は私は楽譜を読むとき、ドレミファソっていちいち読みません。絶対にこのほうが早く確実に楽譜を読むことができるからです。でも世間一般のアマチュアの多くと一部のプロの人がこの方式をとってないということを知ったのは結構な歳になってからでした。楽器を弾く人は皆自分の同じ式で楽譜を読んでいると思い込んでたんですよね。

ドレミと読んでいる人は管楽器奏者なんかに多いみたいですが、ブラスバンドをやっている中学生なんか、楽譜にカタカナでドレミファソーって全部書いて、演奏するときはそのカタカナを見て演奏してる、という人もいるみたいです。こうなると、多分自分の出している音なんて聞いてないんだろうなぁ。

あと読譜練習とかソルフェージュなんかで、音程関係なしでリズムだけ読み取る練習というのもありますけど、これもなんかあまり有益じゃない感じがします。ま、私はこっちの方面の専門じゃないので、どういうやり方を積み上げていけばうまく楽譜が読めるようになるのかはわかりませんが、少なくとも内的言語にいちいち置き換えて楽譜を読むのは効率的でないのは確かみたいです。

リュート教室発表会

2007年05月24日 13時02分05秒 | 音楽系
恒例のクラッセン・シュトゥンデ(教室の発表会)も無事終了いたしました。現在桑名教室と名古屋のミューズ教室と合わせて14名の生徒がいます。そのうち休会されている方が2名、当日都合が悪く来られなかった方が2名いましたので、10名の方に参加して頂きました。発表会は一般に公開をしているので、一般の方も何人か来て頂きました。

去年よりも参加生徒の数が増えて嬉しい限りです。ギターとか他の楽器と異なり、圧倒的にすそ野が狭いリュートで10数人生徒がいるのは本当にありがたいことです。愛好者が最低に見積もっても10倍はいるギターだと、ギター教室に生徒が140名いるのと同じくらいですからね。(ま、変な計算ですが(笑))

現在のバロック音楽の浸透ぶりから考えると、20数名から30名くらいは行っても不思議ではないと思いますが、このくらいの人数がこちらも限界でしょう。

今回の発表会では昨年から継続している方が大半だったため、明らかに着実なレベルアップを感じました。技術的な向上もありますが、何より音楽表現がより豊かになってきているということを感じました。私の教室の教材は入門から初級レベルにかけてはほとんどオリジナル教材を使っていますが、ますます豊かな表現力のための作編曲に力を入れていく必要性を痛感しました。

今回は、「いい楽器と出会うために」と題して楽器選びに関するレクチャーをしました。リュートはいい楽器が作られ始めたのが80年代以降(基本的に古楽器はだいたいそんな感じですが)なので、それ以前に作られた楽器はとんでもないのが結構あります。もちろん70年代のニコ・ファン・デア・ヴァールス、ファン・デ・ゲースト、スティーブン・マーフィ、マティアス・ドゥルビーなどは大変すばらしく現在も使っている奏者もいます。マーフィは11コースバロックをスコラで借りて使っていたことがありますし、今村さんはドゥルビーのテオルボを通奏低音で使いまくっています。でも旧東ドイツ製のG・Rとか日本のA社とかN氏の楽器のようにとんでもないものもまだあった時代です。

そういった楽器が結構ヤフーなんかのオークションに出されていて20何万で落札されるんですよね。全く唖然としますが、そういった悪徳商売まがい(20万の価値は全くないですから)につられないよう、正しい「商品知識」をつけていただこうということで、レクチャーをしたわけです。

クラッセン・シュトゥンデでは私のミニ・コンサートも行いましたが、実はそのあとにCD鑑賞会と懇談会も予定していたんですが、レクチャーが終わった時点で予定の5時30分をすぎていましたので、それは出来ませんでした。来年はもう少し時間配分や内容を工夫して、懇談会までもっていきたいですね。一般の方のご来場大歓迎ですので、来年もしよろしかったらぜひ皆様こぞってお越し下さい。時期は5月の第3日曜日あたりです。

自動車の整備

2007年05月19日 13時23分25秒 | 日々のこと
我が愛車エスティマももうすぐ購入7年になります。それまではずっとホンダ車に乗ってたんですけど、どうも最近の(というか7年前の)ホンダ車はどうも昔のホンダイズムががなくなってきて平凡な車ばっかしになってきたな、と感じていたので、いろいろ検討した結果、はじめてトヨタ車を買ったわけです。

購入に際して、重視したのが楽器がたくさん積めることでした。特にドイツテオルボが後部荷物スペースに、真横に積めること、これは絶対でした。意外にもワンボックス車でそれが出来たのが、エスティマだけでした。マツダのMPVもホンダのオデッセイもスペアタイヤを車内に入れているため横幅が狭いのでした。

それまで乗っていたホンダ・アコードワゴンは、工具スペースのふたを取るとギリギリでドイツテオルボが入ったんですけど、エスティマだと普通にすんなり入ります。こういうところを見るとトヨタってカタログでは見えないところでもまじめに車を作ってるんですよね。

そのエスティマ、故障も全くなく快調に7年間(実際はその間スイスに2年間いたので、実質5年ですが)走ってくれました。もうじき車検が満了するということで、近所のトヨタの店に、車の整備をしてもらいにいきました。私はユーザー車検をもうかれこれ20年以上前からやっていまして、必要なところだけプロにやってもらうわけです。ユーザー車検というのは、業者に車検に出すのではなくて、自分で検査場に持っていって車検をしてもらうことですが、ある程度車のことを知っている人ならだれでもできますよ。大した労力がかからない割には、5万円から7万円くらいは安くなりますので大変お得です。

トヨタのサービス工場でやってもらったことは、下回りの洗浄、ライトの光軸調整、エンジンオイル交換、タイヤローテーションです。後は整備を担当しているお兄さんに、思いっきりトヨタ車をよいしょしながら、いろいろ話をして車の状態をききました。これは無料なんですよね。(笑)ブレーキディスクの減り具合もローテーションしているときに聞きましたら、前が6分、後ろが8分ということで、60000キロちょっと走ったにしてはえらいたくさん残っていました。私はブレーキをあまり踏まないですから、減らないんですよね。

あと、少しオイルがにじんでたとこがあったんですが、それは全然問題ないとのこと。プラスティックカバーのネジが1つ欠落していたんですが、そのへんの余っているネジを貰ってはめて貰いました。ついでにフロントの下回りのプラスティックカバーが少しはずれてしたにたれているのをあげてもらいました。ということで、締めて8400円。これに加えて自賠責30830円、重量税50400円、手数料1500円、書類代160円が車検の経費です。

くわな市民大学講座

2007年05月14日 11時53分05秒 | ローカルネタ
土曜日に、くわな市民大学講座の市民提案講座のプレゼン&審査に行ってきました。市民講座に生演奏付きバロック音楽講座が登場するのは大変めずらしいと思うんですけど、今回「バロック音楽の旅」と題し、ビアンカ・ローザのメンバーやチェンバロのSさんにも協力をお願いして、講座を企画しました。

昨年のビアンカ・ローザ桑名公演とか、数年前に行った(これも市民大学講座だったかな)「リュート音楽の歴史」講座に「予想外」の人数の方に参加をいただいて、地方都市でもそろそろ機が熟しつつあるのかなって感触があります。そういうことも今回の講座企画の原動力になっています。

10年くらい前までは、ピリオド楽器でバロック音楽を演奏する(別にピリオド楽器であることはうたわなくてもいいですけど)地方都市桑名ではなかなか関心を持っていただけなかったんですよね。だから活動は必然的に名古屋とかの大きな都市で行うというふうになってしまいがちでした。でも最近は、着実に状況がかわりつつあるみたいです。

桑名より大きな街だとそのあたりはもっとはっきり出ていて、例えば、今年の4月30日に名古屋で行われた、「バッハコレギウムの日」と題した鈴木雅明さんによるレクチャーコンサート(しらかわホール)は満員になったし、昨年の同氏による同様のレクチャーコンサートも満員でした。ま、しらかわホールの会員になれば1000円で聴けるという企画のうまさも奏功したんでしょうけど、でも昨年4月の、入場料はずっと高い、BCJによるマタイ受難曲も超満員でした。(しらかわホール)

もっともこれはイコールBCJだけの人気ということで、バロック音楽そのものが活況を呈してきたということではないという見方もできます。でもBCJのコンサートはほとんどがバッハの宗教曲で、この手のコンサートにこれだけ集客力があるということはやはり日本も以前とは変わってきたということでしょう。

ということで私の地方発信型講座、無事審査も通り、第1回目は12月1日(土)です。まだまだ先ですが、第1回目は「バロック音楽の夜明け」と題して、後期ルネサンス、初期バロックの音楽を紹介していこうと考えています。この講座は桑名市民じゃない方も参加できますので、参加ご希望の方は、私の方にメイルでご連絡ください。

名古屋バロック音楽協会30周年記念演奏会

2007年05月07日 10時04分40秒 | 音楽系
昨日は名古屋バロック音楽協会設立30周年記念コンサートでした。名古屋バロック音楽協会は、1977年に設立されたアマチュアバロック音楽の団体で、設立以来ずっとアクティブな活動をしている希有な団体です。私も設立の際に少しかかわらせていただきましたが、ちょっと距離を置いて見てみると、こういう団体でちゃんと活動が続いているのってすごく珍しいのでは。年4回程度の会報発行、毎年夏のセミナー(最近はずっと高山で行われています)、年2,3回の例会(会員によるコンサート形式)が設立以来続いてますから、なかなかのもんでしょう。

記念コンサートに先立ち、「記念例会」があり、会場の名古屋・伏見電気文化会館「ザ・コンサートホール」を一日借り切って行われました。記念コンサートは5時から始まりました。記念コンサートに出る方たちは、名古屋バロック音楽協会に関わりがある地元の演奏家たちです。この間のリサイタルで共演した、バロック・チェロの高橋君にも出演していただきました。曲目が多いので、5時に始めても8時くらいかかるのでは、と思っていましたが、それは大当たり。実際に8時少し前に終わりました。例会からずっと聞いていた方だと、7時間の長丁場だったんですねぇ。お疲れ様でした。(笑)

私はリュートはソロを20分程度と、通奏低音を3曲受け持たせていただきました。ソロはバロックリュートを使い、フレンチの作品から、ゴーティエ、ドゥ・ビュ、サン・ルクの作品を演奏しました。実はサン・ルクの作品(シャコンヌ)の前にヴァイスの短いプレリュートを演奏しましたが、これはナイショ。サン・ルクのシャコンヌはト長調なので、8コースをファ#にする必要があります。でもサン・ルクのシャコンヌは結構長いので、絶対曲の途中でファ#にした8コースが下がってきます。そこで短い曲をはさんで、軽く調弦しなおして、サン・ルクに臨むことにしたわけです。

通奏低音には、ルクレール、ヴィヴァルディ、テレマンの曲に参加しました。ルクレールの曲はとても長く30分くらいかかります。でもとてもいい曲でした。今回は、オリジナルの楽譜からスコアを自分で作りました。パート譜は頂いたんですが、スコアの方が曲の見通しがいいので、作ってみたわけです。というかトリオくらいだと私はほとんどの場合はスコアで演奏します。ルクレールは長いだけあって何と全部で20ページを超えました。終わりから2曲目のシャコンヌは特に長く(263小節もある!)、ページめくりのポイントを作ってレイアウトするのが大変でした。このシャコンヌの一カ所だけ、ページめくりの関係で2拍分弾けなくなってしまう箇所が出てしまい、その部分はチェロとチェンバロに頑張ってもらうことにしました。あとは、全てきちんとめくれるようにレイアウトしました。こういうところはコンピュータによる楽譜制作ならではです。でもいくらコンピュータを使ってもさすがにこれだけの分量だと、3曲で楽譜制作にあしかけ1週間ほどかかってしまいました。おかげで練習時間がほとんどなくってしまいました。(笑)ま、スコア制作でしっかりと楽譜を読みますので、それ自体が練習になりますけどね。実際、第1回リハーサルの前に1日だけしか楽器で音を出してませんでしたが、それで充分でしたから。

今回のコンサート、自分が担当する分だけで70分を超えました。それだけでもちょっとしたコンサート1回分近くあります。道理で終わった後疲れたわけです。朝も10時からリハーサルでしたし・・・おまけに打ち上げは11時すぎてもやってましたし。(笑)帰りの車の中でつい眠気がさしてきたのもむべなるかな。でも運営スタッフのみなさんはもっと疲れたでしょうね。ご苦労様でした。次は35周年くらいかな?私としては70周年くらいまでは出たいですね。70周年記念コンサートで、よぼよぼのジジイが、ゴーティエのプレリュードなんかをポロンポロンって感じで・・・