リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック音楽の旅はなぜ続く?(1)

2025年02月20日 13時58分37秒 | 音楽系

バロック音楽の旅という講座を桑名市内で始めてはや18年が経ちました。

今回のシリーズの終了報告書類をまとめていましたら、2007年に始めた際のDMが目につきましたので中身を開いてみました。

こんな感じでした。

『リュートの中川です。2月のリサイタルの際はご支援いただきありがとうございました。お陰様で、朝日新聞の演奏会評に取り上げられ、大変好評を博しました。今後も精進を続けて参りますので、皆様のお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。さて、今回のご案内は、12月から始める「バロック音楽の旅」講座です。これは「くわな市民大学市民学科認定講座(桑名市教育委員会主催講座)」として開催されるもので、来年の3月までに5回の講座を下記のように実施する予定です。講座は、わかりやすいバロック音楽の歴史をプレゼン付きトークと生演奏でたどっていくというもので、桑名市外在住の方も受講できます。生演奏で使用する楽器等は、リュート、チェンバロ、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ソプラノを予定しております』

2007年のリサイタルは、チェロの髙橋弘治さんとヴァイオリンの戸田薫に手伝ってもらってハイドンのカッサシオンを演奏したリサイタルです。そのあと名古屋市のミッドランドスクエアのこけら落としのイベントで演奏して、桑名でも小さな演奏会を近くのカトリック教会で開催しました。そのときにお越し頂いた方に宛てたDMの文面が上記の文章です。

 


東海道線はなぜあっちへ

2025年02月19日 16時55分06秒 | 音楽系

昨今の寒波で関ヶ原を走る東海道新幹線が運休になったりしています。今朝は当地方は雪が数センチほど積もりましたが新幹線は平常通りのようです。

そもそも新幹線があのように雪の多いところを通って名古屋から京都に向かうのが問題なんで、どうして国道一号線のように江戸時代の東海道のルートを通らなかったのかが不思議です。

在来線の東海道線も新幹線も名古屋からは昔の東海道とは全く別のルートで岐阜県に向かっています。そっちに向かえば当然雪の多い関ヶ原を通らなければならなくなるわけです。

東海道の名は冠されていませんが、日本で初めて出来きた高速道路である名神高速道路もやはり同様のルートを通っていますが、今では新名神が開通し伊勢湾岸道路を経由していくことで、結局関西から関東に行くには昔の東海道のルートを走る車が多くなっています。

江戸時代の人は基本徒歩ですから、そんな雪深い所を通過するよりも多少なりともマシで近いところにルートを定めたんでしょうけど、このことは後世に鉄道や高速道路を作る際に行かすべきだったでしょうね。

でも時代を経て結局、高速道路は江戸時代と同じ新名神→湾岸道経由で東名のルートが定番になり、リニア新幹線も名古屋からは三重県側を通るという、地政学的には当然のルートに帰納しています。新幹線も、初めての高速道路も当地を通っていればかなり街は変わっていたかも知れません。ただリニア新幹線は三重県で潤いそうなのは停車駅がある亀山だけみたいですから、結局桑名は以前と何も変わらないんでしょう。


バロック音楽の旅17事業報告

2025年02月17日 14時28分02秒 | 音楽系

先週の今日バロック音楽の旅17の事業は終了いたしましたが、事業終了報告を市に提出しなければなりません。この事業は正式には『くわな市民大学「市民企画講座」』といい、認定をうけて市からホール使用料などを補助していただいています。

ということで報告書もなかなか細かいことを書かなくてはいけません。開催時の写真もそのひとつ。

全6回の講座写真(証拠写真?)を上のような感じで書類に印刷します。第1回、2回は座学でパワポによるプレゼン。第1回は「バロック音楽基礎講座」第2回は「秀吉が聴いたヨーロッパ音楽」というテーマでプレゼンを行いました。

第3回は私のバロック・リュートソロコンサート。当講座でのソロコンサートは8年ぶりになるので少し気合いを入れた曲目(BWV1006aのプレリュードなど)でプログラムを組んでみました。第4回は髙橋弘治さんによる「バッハ無伴奏チェロ組曲連続演奏会その3」で、3年がかりで続いた無伴奏チェロのコンサート最終回でした。

第4回は太田光子さん、桐畑奈央さん、杉浦道子さんによるコンサートでイタリアにゆかりのある作品を演奏して頂きました。第5回は鈴木崇洋さん、山下 瞬さんと私によるトリオのコンサートで、ドイツ、イギリス、イタリアの作品を演奏致しました。

今年はここコロナ禍の影響があったここ2,3年と較べ参加者が大幅に増えました。昨年は平均で40人前後の参加者でしたが、今年は毎回80人近い参加者がありました。ただ第6回は大雪のために来られない方がいて少し少なかったですが。(それでも65名でした)なお応募総数は94名でした。

あと領収書がまだ届いていないところがいくつかあるので事業報告書作成は完了していませんが、多分今週の終わり頃には提出できるものと思います。

 


Making of Star Wars Arrangement

2025年02月16日 13時07分31秒 | 音楽系

Duel of the Fates (運命の闘い)のチェロアンサンブル編曲はいろいろ条件がありました。依頼者のジム先生から言われているのは、まず難しくなりすぎないこと、次にパートは4ないし5パート、それから長さも3分くらい。

もともとフルオーケストラに合唱が入った大編成の作品をたった4ないし5パートに落とし込むのは至難の業みたいですが、そこは割り切ることにしましょう。

オリジナル曲全体をそのままアレンジすると5分は超えると思いますが、それを3分にするためにどこをどうカットしてつないで行くのもなかなか工夫が要ります。

今は便利な世の中で You Tube でオリジナルのサントラやピアノ編曲を聞くことができます。今回はピアノ版を聞きながら編曲していくことにしました。いくつかの短い単位のフレーズを聴いてそれを4つのチェロパートに落とし込んで記譜していくというのを繰り返していきます。もちろん単にフレーズを書いて行くだけではだめで、全体のバランスやチェロの音域を考慮しながら書いていくのは言うまでもありません。同時に全体を聴いて削除する分の目安をつけておきます。

使ったコンピュータはOneMix4Sという10インチのいわゆるUMPC。小さいのでとても作業効率は悪いですが、ストックホルムのホテルの一室で作業をするということで致し方ありません。

難しくなりすぎない編曲をするに当たってはまず何調にするかがとても重要です。オリジナルはホ短調ですが、チェロの場合は割と都合のいい調ですので原調と同じホ短調で行くことにしました。

この曲のハーモニーは実はとてもシンプルで繰り返しのパターンが多いので、Sibeliusで記譜していくときにコピペを多用することができて作業がはかどりました。

オリジナルでは何度も転調していますが、3分にまとめるためと難易度を下げるために転調は1回だけにしました。転調して盛り上がったところから原調に戻って同じパターンで盛り上がってそこに短いコーダをつけたらちょうど3分に収まりましたのでこれで完成としました。

できあがったアレンジは以下のリンクでお聴き下さい。

Duel of the Fates(チェロ五重奏版)


スターウォーズ Duel of the Fates のアレンジ

2025年02月15日 15時01分10秒 | 音楽系

娘の孫達が通っているチェロ教室発表会のためにDuel of the Fates というスターウォーズの曲のアレンジを去年の秋頃から頼まれていました。

原曲がオーケストラの曲をチェロ四重奏か五重奏にリダクションするのは結構工夫がいる感じがしていましたが、ストックホルムにいる間に時間が余りまくっていましたので、チェロ四重奏でアレンジを書いてみました。原曲どおりだと長すぎるので半分くらいの時間になるよう適当にまとめてほしい、とのことでしたので助かりました。(ストックホルム行きは本当は楽器を頂いたらすぐに帰国したかったんですが、そういう弾丸パターンではチケットが取れないと旅行社から言われて5日間滞在したので時間が有り余っていたのでした)

1月の後半頃から教室の生徒達に指導を始めたようですが、担当のジム先生から聞きたいことがあるというので、Facetime でお話を聞きました。

要点は次の点で、まず先生でも難しい音程の飛躍があるのでオクターブ下げて欲しい、次に一番下のパートは初心者が担当するので弓の速い往復運動を伴う音型は避けること。それと更に超初心者が弾けるようなパートを作って欲しいとのことでした。ジム先生が実際に楽器を弾いてくれてこういう風だと難しくなるということを示してくれたのは助かりました。

ということで早速楽譜の書き換え作業に。オクターブ下げたり速い音符のある音型にするのは一瞬(本当はもちょっとかかっていますが)で完了。5つ目のパートを加えるのはちょっと時間がかかり、1時間ほど要しました。

一番上の孫は上達してきましたので多分どのパートでも弾けますが、1年くらい前からチェロを始めた一番下の孫はまだそれほど実力がないので、彼女でも弾けるということを念頭において5つ目のパートを書いてみました。

発表は5月頃と聞いていますので楽しみにしています。


通奏低音って実際はどうやって弾かれている?(2)

2025年02月11日 15時10分20秒 | 音楽系

前回のふたつ目の譜例における赤い音符について、弾かなくてもいいかも知れない、と書きました。でも弾いてもいいのです。

はっきりして欲しいと思われるかも知れませんが、弾いても弾かなくても、もっと別の和音の形をつかったりしても構いません。もちろんバスに合っていない和音を弾いてはいけませんが。

要するにそのときどきで適宜選んで弾けることが重要で、弾く和音を書き込んだり覚え込んで固定してしまってはいけない、ということです。

あるいは次の譜例みたいに旋律的な動きを加えるのもひとつの方法です。

もちろん上の譜例からもっと音数を減らしてもいいでしょう。

実際の演奏では特にリュートの場合は楽器のポジションの関係である程度パターンは決まってしまうこともあるでしょうし、和音を弾くのがポジション的に少し困難を伴う場合は固定した弾き方になってしまうこともあるでしょう。でも演奏の流れで音を選び弾いていくというのが本来の姿ですし、それこそが「即興的に」和音を入れていくという当時のスタイルに沿った弾き方です。沢山ある音の選択からその都度選んで弾いていきますので、次に全く同じように弾けと言われてもはっきりとは憶えていないのが普通です。

前回の2番目の譜例のような楽譜を用意して、それを見ながら「通奏低音」を演奏するのは通奏低音を弾いたことにはなりません。単に書かれた伴奏譜を弾いたに過ぎません。


通奏低音って実際はどうやって弾かれている?(1)

2025年02月10日 12時32分14秒 | 音楽系

リュートで通奏低音を弾くのは多分鍵盤楽器の場合より楽器の相対的な技術水準は高いと思います。もう少しわかりやすく言うと、鍵盤楽器だとそう技術的な問題がない部分でもリュートではヘタすると「超難曲」みたいになってしまうことが結構出て来るということです。

これは無理をした場合ですからもちろんそういう事態を避けるようにリアライズ(低音を見て実際の和音の流れを弾く)しなければなりません。和音をきちんと押さえられるとかレガートに和音進行できるかとか(左手)、きちんとバランスの取れた和音を弾けるか(右手)といったことができないうちは通奏低音はなかなか難しいでしょう。

実際の例を見てみましょう。

テレマンのトリオです。オリジナルの楽譜はダルムシュタットの図書館にあり、オリジナルもスコアで書かれています。ダルムシュタットはフランクフルトのすぐ南に位置する中都市で、人口は桑名市(14万人くらい)より少し多い16万人くらいの街です。

譜例

上の楽譜はオリジナルから私がSibeliusで清書したものですが、オリジナルに書かれている内容はこれだけです。通奏低音のパートは一番下の楽譜ですが、これをどう弾いていくかはいろんな可能性があります。

チェロで弾く場合であればこの書かれている音だけを弾くことになりますが、音楽的にはそれで必要充分という感じにもなります。リュートで弾く場合だと音が持続しないので適宜和音を補充して弾くことが多くなります。

たとえばこんな風に。

下から2段目の楽譜も併せて弾きます。赤い音符は弾かなくてもいいかも知れません。そもそも全てバスの上に和音が乗っていればいいというものでもありません。

 


バロック音楽の旅17第6回コンサート

2025年02月09日 20時35分59秒 | 音楽系

今日はバロック音楽の旅17講座の第6回(最終回)のコンサートでした。昨日は、当地方では近年にない積雪にみまわれましたが、幸いにも今日は朝からいい天気で雪もほとんどとけていました。ただ四日市とかいなべ市あたりは桑名の倍くらい積雪があったらしく、まだ沢山雪が残っていて参加するのが難しい方もいらっしゃいました。

今回は「トリオによるコンサート」と題してヴァイオリンの鈴木崇洋さん、ヴィオラ・ダ・ガンバの山下 瞬さん、そして私のアーチ・リュートでドイツ、イタリア、イギリスの作品を演奏しました。

私が今回使用したアーチ・リュート(リウト・アッティオルバート)はまだ弾き込み始めて一ヶ月あまりしか経っていない楽器ですが、その割には音がとても前によく出ていました。これからが楽しみです。

プログラムは次の通りです。

ジョン・プレイフォード編ディヴィジョン・ヴァイオリンより (1685、作者不詳)、イタリアン・グラウンド

ゲオルク・フィリップ・テレマン (1681-1767)、ダルムシュタット写本より

トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音のためのソナタヘ長調、ドルチェ、アレグロ、ラルゴ、(アレグロ)

マラン・マレ (1656-1728) ガンバ曲集第4巻(1717)第2組曲ニ長調よりプレリュード、アルマンド‘親しみ‘、ガヴォット’お気に入り‘、ロンド’優美‘

------------------------------ 休憩 ---------------------------------

ヴェラチーニ (ca.1682-1762)、ドレスデン写本より、ソナタニ短調、アンダンテ、アレグロ、アダージョ、アレグロ

ゲオルク・フィリップ・テレマン (1681-1767)、ダルムシュタット写本より

ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ・チェンバロのためのソナタ、カンタービレ、ヴィヴァーチェ、ドルチェ、アレグロ

ジョン・プレイフォード編ディヴィジョン・ヴァイオリンより (1705、作者不詳)、ラ・フォリア

 

昨年の9月に開始しました今年のシリーズは今回で終わりです。来年もまた次のバロック音楽の旅18を開講する予定です。

 


サブスク値上げに根上げ

2025年02月06日 15時31分31秒 | 音楽系

ホームページで使用しているドメイン、shojinakagawa.comの登録費用値上げ案内のメールが届きました。2年間の登録費用が6270円から何と9350円に値上げするとありました。

ええ!1.5倍ですよ、これって。なんかすごくないですか。値上げするにしてもここまでの値上げはなかなかないですが、HPを継続できなくなるので飲まざるを得ません。

Microsoft 365 のサブスクも去年から値上げが始まって、それまでずっと12984円だったのが去年が14900円で今年2月に引き落とされる分については21300円です。

月1000円ちょっとでまぁまぁ安いかなと思ってサブスクにしていたのですが、1700円超で約1.7倍です。こちらの方がすごいですね。

仕事に欠かせないのが楽譜制作アプリSibelius、こちらも気になったので調べてみましたが、自分のアカウントに入ってみてもいくら支払っているのか出ていません。確か以前は出ていたように記憶していますが、毎年11月に自動更新するというのは覚えています。でも多分値上げしているんでしょう。あとでまたしっかりと調べることとします。

サブスクはうっかりしていると大層な金額が値上がりしてしてしまっていることになりかねません。といってサブスクを切れないものも多く悩みどころです。

 


リハーサル

2025年01月30日 09時31分07秒 | 音楽系

2月9日のコンサートのリハーサルです。

今回の共演は、ヴァイオリンの鈴木崇洋さんとヴィオラ・ダ・ガンバの山下瞬さんです。鈴木さんはリサイタルを始め今まで何度もご一緒させて頂いてます。山下さんは昨年末八百津町のカフェ・ビスでご一緒させて頂いたばかりです。

12月のコンサートではフレンチ・テオルボで通奏低音とソロを演奏したのですが、今回は初めてラース・ジェンソンに新しく作ってもらったアーチ・リュート(リウトアッティオルバート)を使います。

この楽器はまだ音を出し始めて一ヶ月程度なのですが、現段階でもとても音が前に出て良好です。中音域も高音域もとても音が良くのびます。バス弦がアキラのローデド・ナイルガット(CD弦)で、シングルかつテオルボより30センチも弦長が短いのでバスの音量がどのくらい聞こえるのか少し心配でした。ソロでは特に問題ないのですが。でも実際は全く杞憂でした。

実際にアンサンブルで合わせてみて、バスの音は、最初のアタック(0.5秒くらい)にどれだけ音のエネルギーが出ることがいかに重要かよくわかりました。金属巻線は音の持続時間がCD弦やガット弦に較べてはるかに長いし音もメタリックなので大きな音に聞こえますが、実際の初期アタックの音エネルギーはあまり変わらないようです。長く金属的なギーンより短く丸いボンのほうがいいということです。昔はそういう音でアンサンブルをしていたわけだし。

さて今回のプログラムはテレマン、ヴェラチー二、マレ、デルブロアなどの作品を演奏予定です。コンサートは2月9日(日)15時開演、会場はくわなメディアライヴ内のときのホールです。バロック音楽の旅シリーズの最終回ですが、飛び込み参加もかのうです。