リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック音楽の旅14事業完全終了

2022年02月28日 12時40分02秒 | 音楽系
バロック音楽の旅14の終了報告書等は先々週にすでに提出しましたが、まだこれで全てが終わった訳ではありませんでした。実はその後クレームがついて来まして書類を訂正して再提出致しました。クレームがついた原因のひとつはエクセルの「バグ」で、罫線の一番左に来る文字がスクリーンではきちんと字が収まっていても印刷すると途切れてしまう、というものです。これは昔からちっとも直っていない「バグ」で、知ってはいたのですがうっかりチェックを忘れていました。

オフィスソフトにはどうも2バイト文字に関する「バグ」残っていてずっと放置されています。ワードで、10ポイントで打っていて、ポイントを12ポイントに変えたら途端に行間が開きすぎてしまうのもそのひとつです。「段落」→「字間」で手作業で調整することができますが、こういうのを自動で処理するというのがワードプロセッサでしょうに。マイクロソフトはこれはそういう「仕様」ですと開き直っているし、ネットではこれの対処法はこうだ!なんて自慢げに書いている人もいますが、何か変ですね。

あと「裏会計」ではありませんが、今まで演奏して頂いたアーチストの方々からご支援頂いている会計(基金)がありまして、予算計上した科目にはないような出費とか経年で使う備品、会計を閉めてからの支出があった場合などはそこからあてています。

その方々に会計報告をする必要があり、今回は実施しなかった昨年度分も含めて会計報告をさせて頂きました。昨年度は延期しましたので出費はないはずですが、延期を決断したことを時点ではすでにはがき連絡等で出費が発生していたのです。メールで連絡とかPDFやHP見て下さいで済む受講生の方はまだ三分の一にも達していませんので致し方ありませんでしたが、通年の会計が認められていないので、基金があると助かります。

一番最後になってしまったのが、先行予約されていた方で体調を気遣って本年度はどうしても参加できなかったという方に来年度のバロック音楽の旅15のチラシを同封して手紙を出しました。この投函をもって本年度の事業は完全終了です。

コロナ禍のせいで事務処理が多くなり完全終了まで少し時間がかかってしまいました。でもこれでも全日程をこなすことができただけでもよしとしなければならないと思います。桑名市教育委員会の主催で行われている同様の講座が私のもの以外にいくつかあるのですが、ほとんどがコロナ禍の影響で中止しなければならなかった回があったり、中には会場が使えなくなり全滅だった講座もあるようです。

来年度もまだコロナ禍は続くと見られますが、無事全6回の講座が開催されるよう祈るしかありません。

みんなのリュート通奏低音(5)

2022年02月27日 14時07分04秒 | 音楽系
前回までの練習で上手く押弦できないところとか和音が上手くつながらないときがあるかも知れません。これは左手の技術が不足しているということです。

通奏低音で和音を弾くときは、ソロよりは沢山音を出すことが多いです。ソロの難しい部類の曲よりは難しくないでしょうが、音をしっかりと出し、スムーズにつなげることができる技術が要求されます。チェンバロで弾くように多くの和音を出す必要はありませんが、必要な最小限の音を効果的に弾くというのがリュートで通奏低音をするときに求められることです。

前回のポイント3では左手がきちんと押さえられていることが前提でした。開放弦ばかりのニ短調の主和音はさておき、左手の押弦がしっかりしていないとそもそもきれいに音が出ません。

左手の技術習得はなかなか時間のかかることです。ソロ曲を段階的に練習し、きちんと仕上げていくことが肝要です。いきなりヴァイスの曲、例えばファンタジーなんかをよたりながら切れ切れの音で弾いていても全く左手の技術は身につきません。自分の手にあった曲から始め地道に積み上げていくことが結局は近道です。またこれと平行してフォームを矯正しながら音階練習を続けるのも大切です。

{ポイント4}
左手の技術をしっかりと身につけましょう。その際自分が出している音をよく聴くことです。

みんなのリュート通奏低音(4)

2022年02月26日 21時09分55秒 | 音楽系
たとえばバロック・リュートの5コース開放を親指、3~1の開放をそれぞれ人差し指、中指、薬指で弾くとニ短調の主和音が鳴ります。レ、ラ、レ、ファですね。

揃えてこれら4つの音を弾く場合、また速いアルペジオで弾く場合、はたまた曲のエンディングのようにゆっくりした速度で弾く場合、ちゃんとニ短調の主和音として響かせることができるでしょうか?

よくあるのはこれらのレ、ラ、レ、ファの音のうちひとつが大きく出すぎたりあるいはかすれたりすることです。またアルペジオの場合は音が出る順がいびつになったり(よたっている)時間の経過に合わせて音量をコントロールできていない場合があります。

こういったことはソロ曲でバスとメロディだけの曲(バロック・リュートの場合は多くはこのパターンです)でも起こります。メロディで下にバスがあるところとそうでないところの音量が変わってしまうので、メロディが上手く聞こえない場合です。

{ポイント3}
ポイント2で和音を弾くとき、和音をきちんと響かせる。まずは全ての音を大体同じ音量で。ある程度できるようになればバスと最上声の音を少し大きめで。全ての音がきちんと鳴るべく音をよく聴くことが最も重要。きちんと鳴っているかどうかがわからない場合は録音して聴いてみる。それでもよく分からない場合は信頼できる人に聴いてもらうこと。

2022年2月22日午後2時

2022年02月25日 12時36分21秒 | 音楽系
この前の火曜日、2022年2月22日に桑名の大山田キリスト教会でビデオの撮影を行いました。2月続くので集合時刻を午後2時にしました。こうして決めておくとうっかり忘れてしまうということがありません。

今回の撮影は昨年ソプラノの増野由香さんと録音コラボしたSally Gardens の音源に映像をつけるためのビデオ撮影です。ビデオ撮影は私も手慣れているわけではなく、まず三脚の扱いがぎくしゃくするというとっても初歩的なことで躓いていました。(笑)

使用するビデオカメラは昨年の11月に入手したSONY の ZV-E10 というVlogcamです。(発注は夏頃でした)この機種、売れすぎか半導体不足のせいか知りませんが、ソニーストアでは販売停止になっています。他のECサイトではプレミアがついた価格になっています。みなさんほしいのに手に入らない状況のようです。このカメラ、ハイエンド機ではないのですがそこそこの性能を持っています。(多分)このカメラの操作方法を日曜日にマニュアルを見てざっとおさらいをしておきました。

始めのうちはカメラの操作もなんとなくぎこちなかったですが、そのうちに慣れてきました。とりあえず20カットくらい撮影しました。あとはこれを編集すれば完成です。(実はこれが結構大変でしょうけど)結構時間がかかりましたので、絵コンテみたいなのを作っておいた方がよかったのかも知れません。

編集のアプリはVegasを使っているのですが、業界というかVtuberというかそっちの方面の達人はこのアプリを使っている人はいないので、乗り換えた方がいいのかしら。でもVegas はDAW感覚で操作できるので私的にはとても使いやすいです。

あと撮影のときいろいろアングルを考えてやったのですが、どうも決めにくい感じがしました。ちょっと望遠気味な感じなのです。使っているレンズが35mm換算で50mmのいわゆる標準レンズなのですが、いろいろ調べてみると広角の方が使いやすいようです。iPhoneのカメラが大体30mm前後らしくとても使いやすいので、そのあたりがよろしいようです。で調べてみますと、むむむ、交換レンズのいいやつはお高いです。どうしましょう・・・


みんなのリュート通奏低音(3)

2022年02月24日 12時57分11秒 | 音楽系
リュートで例えばト長調の曲を練習しているとします。このとき、曲とは別に7コースから順にト長調の音階を弾けますか?ローポジションだけではなく、少しローポジとは異なった弦を使って音階が弾けますか?

ト長調の音階が弾けるようになったら、近い調のハ長調、ニ長調の音階に切り替えができますか?

リュートで扱う調は、シャープ3からフラット3つの長短調が主なものです。でもシャープ2つのロ短調、1つのホ短調はとても苦手です。このことはこれらの調のソロ曲がとても少ないことからも分かります。

バロック音楽の調性としては大半の曲がシャープ、フラット3つの長短調に収まっていますので、それらの調について音階を知っているだけでなく、実際に楽器で弾ける必要があります。リュートの場合はもう少し範囲を狭めて、とりあえずシャープ、フラット2つの長短調で、ホ短調とロ短調を除いた調についてでいいのではないでしょうか。

そして各調の音階だけでなく、それぞれの調の主和音、属和音、下属和音をいろんな位置で弾ける必要があります。三種類も大変だとは思いますので、とりあえずは主和音だけでもいいです。これらは楽譜を見て弾くのではありません。かと言って左手を見るというのもいけません。

{ポイント2}
ハ長調、イ短調、ト長調、ニ長調、ヘ長調、ニ短調、変ロ長調、ト短調の音階を下から7フレットあたりの音までの音階を弾けるようにする。短調は昇りは旋律的短音階、下りは自然的短音階で。そしてそれらの調の主和音をいろんなポジションで弾けるようにすること。また8分音符くらいの速さのアルペジオでも。

みんなのリュート通奏低音(2)

2022年02月23日 16時04分13秒 | 音楽系
以前生徒さんに通奏低音を教えてほしいと言われたので、いきなりはさすがに無理なので曲を弾いてみてどういう和音が使われているかを見ていきましょう、というレッスンを始めました。

和音の一つとして三和音というのがあって、それは三度の音を重ねていく和音である。一つの和音はロクとかシロクと呼ばれる転回形というものがある。・・・なんてこと説明して、実際の曲に当たってみました。

その生徒さんは口でドレミ・・・を唱えながら指を折って度数を数えていました。3回くらいレッスンを終えたところで、私は尋ねてみました。

「ところでこのタブに書かれている曲は何調ですか?」
「えーっと・・・」
「ヒントを出しましょう。レで始まる曲は・・・?」
「レだからニ短調です!」
「この曲は明るい感じですかそれともしっとりとした感じですか」
「あそーか、ニ短調じゃなく、ニ長調です」
「はい、正解です。ではニ長調の曲は五線譜に書くとき、始めにシャープやフラットの記号をいくつどのように書きますか」
「うーむ。・・・」

私はこのくらいはご存じだろうと和音の勉強を教え始めたのですが、認識を改めました。このようなケースでは通奏低音ははるかかなたです。何事も無理をしてはいけません。物事には順序というのがあります。

では、ナントカ長調というのはシャープをいくつ、何線、何間に書くのだというのを覚え、長三和音か短三和音の違いは短三度と長三度の組み合わせ方で決まるということなど、楽典的なことをを覚えれば済むのかというと、覚えただけでは机上の空論で何も役に立ちません。

それは紙の上での話だけで、そこに実際に音が存在していないからです。音楽は音ですから、こういう覚え方では使えません。

{ポイント1}
タブを見て(弾いてもいいですが)瞬時に何調の曲かが分かる必要があります。和音を聴いてこれも瞬時にどういう和音か(短三和音、長三和音、できれば転回形や七度の和音も)が認識できる必要があります。どうすればそういうことができるようになるのか?まずはタブを五線譜になおすところから始めてみましょう。それでも和音が分からないときは信頼できる人に教えてもらうことです。五線譜に直す過程で調性や調号の書き方は丸暗記しましょう。そしてある程度は数をこなす必要があります。

みんなのリュート通奏低音(1)

2022年02月22日 11時26分13秒 | 音楽系
ヨーロッパではバロック音楽のアンサンブルやオーケストラにリュート(アーチ・リュートまたはテオルボ。以下同様です)が通奏低音で入るのは普通で、むしろそうでない場合を探す方が難しいと思います。残念ながら日本ではバロック音楽のアンサンブルやオケがそもそも少ないこともあるのですが、リュートが通奏低音に参加するのはそれほど多くない感じがします。まぁ以前よりは増えてきてはいますが。

プロのリュート奏者であれば通奏低音ができるのは当然でしょうけど(というか通奏低音ができないリュート奏者はプロとは言えません)最近はアマチュアの奏者の中にも通奏低音をする人が出てきています。

ただ私が聴いた範囲では、ほとんどの場合がやってほしくないレベルのものです。そもそもテクニック的にあまりに未熟であり、ハーモニーの知識もほとんどない感じがします。そのレベルで通奏低音を人前で弾くのは言語道断、一万光年早い!というのはちょっと言い過ぎでしょうけど、例え無料のコンサートであっても時間をさき、会場まで交通機関を使って足を運ぶのですから、それ相応のものは出さないといけません。

やってほしくない人がいる反面やってほしい人もいます。「リュート村」みたいに凝り固まってリュートのソロしか弾かないとか、リュート同士のアンサンブルしかやらないみたいな人たちです。こういう人たちは頭でっかちになる傾向もあります。こういう形態は安心感があるのでしょうけど、もちろん全面的に否定するつもりはありませんが、他の楽器と合わせる楽しみもぜひ味わってほしいものです。

あとやりたいのはやまやまなんだけど、どうしたらいいのかさっぱりわからないという人もいます。迷える子羊さんたちです。

そこで、通奏低音をやってほしくない人、やってほしい人、やまやまな人のためにヒントになることを少し書いてみようかと思います。ただ書くべきことはとても多いし、アマチュア向けではない内容に入ってしまう恐れもありますので、だれでも通奏低音ができるようになる完璧メソッド!みたいな大風呂敷を広げるつもりはありません。何かのヒントになるようなポイントを次回から書いていこうと思います。

Amazing Grace

2022年02月21日 08時58分03秒 | 音楽系
実はもう一曲頼まれていまして、それはAmazing Grace、こっちは超有名曲です。昨日紹介いたしました曲とは反対にシンプルなアレンジにしてみました。とはいうものの3コードだけでは芸がないので、「グッと来る」ハーモニーも使っています。

Amazing Grace

とは言うものの曲の構造自体がシンプルなので、この曲に複雑なアレンジは似合わない感じです。(単に面倒くさいからだったかも)

グリサンドをもっと使ってみたかったのですが、ガットフレットのリュートではなかなか効果的に音がでません。実際はやっているのに音があまり出ていないです。

讃美歌のリュート二重奏

2022年02月20日 09時21分32秒 | 音楽系
賛美歌(聖歌第402番)「丘にたてる荒けずりの(The old rugged cross)」のリュート編曲を頼まれ作ってみましたのでご紹介しましょう。依頼は楽譜を作成するのではなく、生リュートで演奏した音源がほしいとのことでした。かつてはロイスナーやファルケンハーゲンも同様の仕事をしていますので、教会とリュートサウンドというのは親和性が高いのかも知れません。

ソロでは多分アレンジ技術の限界あるだろうし、ポジションや押弦に制約の多いルネサンスリュートだととてつもなく難しいアレンジになってしまうでしょうから、二重奏にしました。ひとり二重奏ですね。

The old rugged cross

WAVファイルなので少し読み込みに時間がかかるかも知れません。使用楽器はモーリス・オッティジェー2006年製作の7コースです。

Sibeliusで楽譜を書いて、エアコンを止め、ちょっと電気代がかかるオイルヒータに切り替えてSequoiaで録音です。楽譜だけだと楽なんですけどね。(笑)

私はクリスチャンではないので、この曲がどういう風に教会で使われるのかは知りませんが、すごくいいメロディですね。しっかりしたいいメロディというのは、アレンジの可能性が広がるものです。

このエントリーを書いていましたら、どんなアレンジがあるのか気になってきたのでYouTubeで聞いてみましたが、さすがにリュート版はありませんでした。多くは実用音楽というか教会で使うのが目的みたいな編曲(=シンプルでわかりやすいけど音楽としてはつまらない)でしたね。

今回のアレンジでは沢山の種類の和音を使っていろいろ工夫してみましたので多少は鑑賞に堪えるとは思うのですが・・・

サーキュレーター

2022年02月19日 10時29分41秒 | 日々のこと
エアコンの暖気をかき混ぜて部屋全体をむらなくあたためるべくサーキュレータを購入したのですが、妙なノイズが出てうるさいのでメーカーに修理に出しました。そのD社のサーキュレータが送られてきました。早速開封して回してみたのですが、以前よりはノイズは減ったものの相変わらず振動系のノイズが乗っています。

修理票を見てみると、モーター交換とあります。要するにモーター替えただけで音のチェックは実際にはしていない感じです。

メーカーに電話して、技術担当の方とお話をしてみると、モーターの軸の中心がブレているかも知れないとおっしゃる。要するに製造不良ということでした。もう面倒くさいので返品をお願いすると購入ECでやってほしいとのこと。メーカーでやっていただけるとありがたいのですがね。

アマゾンは返品はきちんとシステム化されていてとても簡単にできます。ユーザは理由の如何を問わず一定期間内の返品の権利が保障されている、ということがきちんとシステム化されていてとても簡単にできます。

でも私が購入したECのHPにはそういう記述はありませんので、いちいち電話して理由を言って、少し疑いの目で質問されて、やっと返品ということになるのだろうと予測していましたら、大体その通りでした。(笑)

いちいち梱包しなおしてまた宅急便屋さんに出かけなければならない上に、販売店とやりとりを行わなければならないというのは面倒このうえありません。ECはお値段が安いというだけではなく、クレーム対応がしっかりとかつ簡便にできるところを選んだ方がいいという教訓でした。