雪が交差しながら降っている。時々みぞれになりながらもひっきりなしに、東京中の列車を止めながら降り続いていた。雪が降ると朝、私はベランダに出て写真を撮る。見比べると一月に撮った景色とあまり変わらない景色だった。目の前をボタン雪が音もたてずにベランダの手すりに積もった雪へ落ちた。
傘をささずに歩く人もいる。帽子かフードを目深にかぶり、足早にどこかへ歩いてゆく。人通りはないに等しい。あとひと月遅かったらかえって繁盛していただろうに、と、幼児を済ませて帰りを急ぎながら思った。いつも冬至をずっと過ぎてから予告して訪れる雪の不意打ちを食らった十一月の終わり、テレビは交通機関と雪の降り具合を放送している。
外へ出てここ一週間の冷気で色づいたいちょうとけやきの並木が雪の間にいた。足を止めて携帯電話で写真を撮る人もいる。葉の一枚にふっさりと被さる雪があるだけで、色がより晴れやかに葉を光らせるようだった。『クレヨン王国のパトロール隊長』で大切な役目を務めるのもこんな雪だったのだろう。
主人公の少年はある願いをかなえてもらうために美食家の神様をもてなさなければならなくなった。貧しい少年は大人の味覚を知らない。彼は一計を弄し、神様を秋の山へ案内した。紅葉で埋まる山道にくたびれた神様に少年は頂上でおにぎりを振舞う。その時、見計らったかのように空から雪が舞い降りる。その光景と疲れた体にしみるおにぎりの味に神様は満足を覚え、少年の願いをかなえた。
今、窓から見える外には常緑樹ばかりで『クレヨン王国のパトロール隊長』の赤と白のハッとする瞬間が贅沢にも思える。雪はあるところでは雨に変わりあるところでは雪のまま空から落ち、窓辺に寄りかかる体には窓枠から手足を伝って冷えがやってくる。私は窓から体を離して暖かい部屋へ戻った。
傘をささずに歩く人もいる。帽子かフードを目深にかぶり、足早にどこかへ歩いてゆく。人通りはないに等しい。あとひと月遅かったらかえって繁盛していただろうに、と、幼児を済ませて帰りを急ぎながら思った。いつも冬至をずっと過ぎてから予告して訪れる雪の不意打ちを食らった十一月の終わり、テレビは交通機関と雪の降り具合を放送している。
外へ出てここ一週間の冷気で色づいたいちょうとけやきの並木が雪の間にいた。足を止めて携帯電話で写真を撮る人もいる。葉の一枚にふっさりと被さる雪があるだけで、色がより晴れやかに葉を光らせるようだった。『クレヨン王国のパトロール隊長』で大切な役目を務めるのもこんな雪だったのだろう。
主人公の少年はある願いをかなえてもらうために美食家の神様をもてなさなければならなくなった。貧しい少年は大人の味覚を知らない。彼は一計を弄し、神様を秋の山へ案内した。紅葉で埋まる山道にくたびれた神様に少年は頂上でおにぎりを振舞う。その時、見計らったかのように空から雪が舞い降りる。その光景と疲れた体にしみるおにぎりの味に神様は満足を覚え、少年の願いをかなえた。
今、窓から見える外には常緑樹ばかりで『クレヨン王国のパトロール隊長』の赤と白のハッとする瞬間が贅沢にも思える。雪はあるところでは雨に変わりあるところでは雪のまま空から落ち、窓辺に寄りかかる体には窓枠から手足を伝って冷えがやってくる。私は窓から体を離して暖かい部屋へ戻った。