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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を聴く

2007年09月25日 05時57分44秒 | -オーケストラ
チャイコフスキーの交響曲第6番は、実はずっと苦手な曲でした。「悲愴」などという暗~いタイトルも、終楽章の陰々滅々たる終わり方も、やっぱりチャイコフスキーの交響曲は、第4番のほうがいいなぁと思っておりました。特に長い第1楽章をつかまえそこなって、この曲のLPはついに購入しませんでしたし、CDも某中古書店で購入した250円のものや、例のロイヤル・フィル300円シリーズなどを、一応持っているという程度。われながら、いかにも扱いが冷たいです(^_^;)>poripori

ところが!

先ごろ、車の常備CDの入れ替えをしまして、その中に、何気なくチャイコフスキーの交響曲第6番を入れておいたのです。たまたま、通勤の1週間、ずっとこの曲をエンドレスに聴いていたら、特に第1楽章の構造が(素人なりに)次第にわかってくるにつれて、けっこう面白い曲だなぁと思えるようになりました。

第1楽章、アダージョ~アレグロ・ノン・トロッポ~アンダンテ・モデラート・アッサイ~アレグロ・ヴィヴァーチェ~アンダンテ。なんとも長い指示ですが、これがこの楽章を知る手がかりでした。はじめに重苦しい序奏から弦とフルートに。次第にはやくなり、クラリネットとオーボエも。金管が加わりますが、だんだんゆっくりとなって全休止します。このあとのホルンと弦楽による再開は、甘く美しいものです。フルートとファゴットのメロディーがクラリネットとファゴットに移り、再び甘美な旋律を歌います。クラリネットの静かなソロが終わると、間髪を入れず激しく爆発するような暗い情熱の奔流に。速いテンポで緊迫感と迫力があります。ティンパニの連打の後に静かになり全休止。再び甘美な旋律が歌われ、クラリネットソロがまた登場します。弦のピツィカートにのって管が旋律を歌い、静かに終わります。全休止をうまく生かしていますね。
第2楽章、アレグロ・コン・グラツィア。この楽章は昔から好きでした。たいへん優美な音楽です。
第3楽章、アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ。スケルツォ風の行進曲とでも言えばよいのでしょうか。気分が昂揚するときと、場合によってはなんともドンチャカドンチャカと、前後の楽章との対比に違和感を感じるときとがあります。
第4楽章、フィナーレ:アダージョ・ラメントーソ。沈潜するような暗い暗い結末。これが標題の由来でしょうか。

ふだん聴いているのは、ウラジーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団の演奏する、The Best Collection of Classical Music というシリーズ分売もの(V CDMC-1032)と、ユーディ・メニューイン指揮ロイヤル・フィルハーモニックの演奏(FRP-1037)で、メニューイン盤は「スラブ行進曲」Op.31がフィルアップされております。特徴としては、第3楽章のリズムが、フェドセーエフ盤のほうが軽やかというか、シャープです。
演奏データは次のとおり。

■ウラジーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送響
I=19'05" II=7'47" III=8'33" IV=10'54" total=46'19"
■ユーディ・メニューイン指揮ロイヤル・フィルハーモニック
I=18'05" II=7'16" III=8'42" IV=10'59" total=45'02"

実は、メニューイン盤の演奏データは、CDジャケットには IV=9'35" と表記されておりました。が、どう考えてもテンポにそれほどの違いは感じられない。おかしいな、とパソコンのCDプレイヤーで再生してみると、トラックの表記データが明らかに違います。9'35" という時間は、スラブ行進曲とぴったんこ同じです。たぶん、ジャケット作成時の校正ミスでしょう。

こんなことも、遠く離れたプレイヤーのかすかな液晶表示では気づきませんでした。音楽CDのタイム表示でパソコンの画面が頼りとは、全く妙な話です。オーディオ機器のデザインは、昔のほうがくっきりと明るく表示され、遠く離れていても、機器単独でトラック番号やタイム表示を見ることができたものです。いつのまにか、音さえ出ればいい、近付いて見えればいい、という具合になってしまったのでしょうか。昔のパイオニアのステレオ・レシーバ・アンプ、SXシリーズのような派手なデザインが懐かしく感じられます(^o^)/
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