日中はまだ残暑が残るものの、朝晩はずいぶん涼しくなり、半袖スタイルから長袖スタイルに移行する準備をしなければ、と考える頃になりました。老父母は、昨日から草津温泉に出かけています。2人あわせて160歳を超え、フルムーンなどというレベルではありません。元気なものです。二人の直腸ガンや胃ガンを早期に発見し執刀していただいた先生方に感謝です。
静かな夜、自宅でモーツァルトのピアノ協奏曲を聴きました。1785年に作曲された、第20番ニ短調、K.466 です。ゲーザ・アンダのピアノと指揮、ウィーン交響楽団の演奏。DENON の My Classic Gallery Collection シリーズから、GES-9232 です。
第1楽章、アレグロ。冒頭は、まるで「ドン・ジョヴァンニ」のような暗鬱で衝撃的な始まりです。独奏ピアノが登場するときも、暗い情熱を秘めた美しさ、とでも言えばよいでしょうか。陽光が射したり翳ったりするかのように、時おり明るさを見せることもありますが。ゲーザ・アンダのピアノは、音もニュアンスも素晴らしいです。ウィーン交響楽団のバックも、ティンパニの音も、迫力があります。
第2楽章、ロマンス。とてもチャーミングでロマンティックです。前の楽章との対比が印象的な、夢見るような音楽なのに、突然入って来る、心をえぐるような旋律。私には、作曲家が、個人的な激情と音楽の形式美とを両立させようと試みた作品のように思われます。
第3楽章、ロンド:アレグロ・アッサイ。追いたてられるような焦燥感を感じさせるロンドです。それなのに、音楽は限りなく美しい。ウィーンにヴォルフガングを訪ねた父レオポルトが、「あの見事な新作の協奏曲」と評した作品だけあります。
1785年というと、コンスタンツェと結婚して数年が経過し、愛児を失い、弦楽四重奏曲のハイドンセットを完成してハイドンの称賛を受け、父レオポルトがウィーンに訪ねて来る、その時期です。もうすぐ歌劇「フィガロの結婚」に取り掛かろうとする頃にあたり、映画「アマデウス」ならば上り調子で来た運命が、そろそろ暗転しそうなきっかけを示す音楽と言えましょう。
この曲は、残念ながらカサドシュとセル+クリーヴランド管とのCDには見当たらず、ふだんはゲーザ・アンダ盤とナクソスのイェネ・ヤンドー盤を聴いていますが、今日はアンダ盤を取り出した次第。なに、この曲ならば、実はだれの演奏でも充分に満足感を味わうことができます。演奏の多少の相違を超えて、この曲の素晴らしさのほうを強く感じてしまうからです。
■ゲーザ・アンダ(指揮・Pf)、ウィーン交響楽団
I=13'47" II=9'28" III=6'27" total=29'42"
■イェネ・ヤンドー(Pf)、アンドラーシュ・リゲティ指揮コンツェントゥス・ハンガリクス
I=14'04" II=9'01" III=7'35" total=30'40"
静かな夜、自宅でモーツァルトのピアノ協奏曲を聴きました。1785年に作曲された、第20番ニ短調、K.466 です。ゲーザ・アンダのピアノと指揮、ウィーン交響楽団の演奏。DENON の My Classic Gallery Collection シリーズから、GES-9232 です。
第1楽章、アレグロ。冒頭は、まるで「ドン・ジョヴァンニ」のような暗鬱で衝撃的な始まりです。独奏ピアノが登場するときも、暗い情熱を秘めた美しさ、とでも言えばよいでしょうか。陽光が射したり翳ったりするかのように、時おり明るさを見せることもありますが。ゲーザ・アンダのピアノは、音もニュアンスも素晴らしいです。ウィーン交響楽団のバックも、ティンパニの音も、迫力があります。
第2楽章、ロマンス。とてもチャーミングでロマンティックです。前の楽章との対比が印象的な、夢見るような音楽なのに、突然入って来る、心をえぐるような旋律。私には、作曲家が、個人的な激情と音楽の形式美とを両立させようと試みた作品のように思われます。
第3楽章、ロンド:アレグロ・アッサイ。追いたてられるような焦燥感を感じさせるロンドです。それなのに、音楽は限りなく美しい。ウィーンにヴォルフガングを訪ねた父レオポルトが、「あの見事な新作の協奏曲」と評した作品だけあります。
1785年というと、コンスタンツェと結婚して数年が経過し、愛児を失い、弦楽四重奏曲のハイドンセットを完成してハイドンの称賛を受け、父レオポルトがウィーンに訪ねて来る、その時期です。もうすぐ歌劇「フィガロの結婚」に取り掛かろうとする頃にあたり、映画「アマデウス」ならば上り調子で来た運命が、そろそろ暗転しそうなきっかけを示す音楽と言えましょう。
この曲は、残念ながらカサドシュとセル+クリーヴランド管とのCDには見当たらず、ふだんはゲーザ・アンダ盤とナクソスのイェネ・ヤンドー盤を聴いていますが、今日はアンダ盤を取り出した次第。なに、この曲ならば、実はだれの演奏でも充分に満足感を味わうことができます。演奏の多少の相違を超えて、この曲の素晴らしさのほうを強く感じてしまうからです。
■ゲーザ・アンダ(指揮・Pf)、ウィーン交響楽団
I=13'47" II=9'28" III=6'27" total=29'42"
■イェネ・ヤンドー(Pf)、アンドラーシュ・リゲティ指揮コンツェントゥス・ハンガリクス
I=14'04" II=9'01" III=7'35" total=30'40"