(1)組合離れが近代日本の流れ、特徴になっている。ベルリンの壁崩壊によるソ連邦の解体、ペレストロイカ(改革)に中国が市場経済主義を導入してGDP2位の経済大国に成長するなど、共産主義体制の思想原理主義が後退して現実主義に変化している流れと無縁ではないだろう。
(2)日本でも若者中心に組合離れが顕著になり、組織率が低下している。組合が生活を向上しない若者中心に働き方改革が進行して、必要な時に必要なだけ働き自由な時間を自分のために使いたいというライフスタイル、個人主義が定着して、経済感覚、金銭感覚には敏感で若いうちにカネを蓄えて仕事を辞めて残りの人生を自由自在に自分のために使おうという社会思想、考え方が注目を集めている。
(3)時代、社会が情報化、IT革命したことと関連性があり、どこにいてもPC、IT機器で仕事ができていつも世界と結び、つながっている社会、労働環境が大きな推進力(dynamism)だ。少子化世代といわれる彼らが社会、老後をどう変えていくのか、現在の高令化社会は年金、医療、介護の社会保障の財源不足が政治的課題になっており、労働者の賃金は上昇しても物価高に追いつけずに、高令者の年金も実質目減りで老後への不安は大きい。
(4)労働者団体、組合離れが問題の「連合」は近年政府、自民党との関係を強めて、賃上げへの政府の企業への働きかけ、動きに期待する現実主義がみえる。政府、自民党も野党分断を狙って連合との距離を縮めており、かって連合が政府、自民党と対立、対決した面影はみられない。
(5)総与党時代というのは世界的な保守主義、右派勢力の台頭と関連していて、政治から思想主義が後退して経済、相互利益主義が前面に出ている。4月に統一地方選を控えて内閣支持率が低迷している岸田首相(総裁)も自民党大会で統一地方選に団結して臨む決意をみせているが、岐阜県では県自治労や連合を脱退した県職員組合がこれまでの旧民主党系議員の推せんから統一地方選で自民党候補者を推せんする方針を示している。
(6)こうした動きは他の市職員組合にも広がっており、統一地方選の選挙構図を変える動きにもなっている。総与党時代で革新系労働組織の自民党候補推せんの動きは岸田内閣支持率低迷の国民意識とはかけ離れたものであり、時代思想に迎合したポピュリズム(populism)として理解しにくいものだ、
(7)「健全」な野党、「健全」な革新労働組織があってこその政治の公平中立性の「健全」性だ。