(1)米国が本当に民主主義、自由主義国なのかと疑うことがある(パラドックスとしてそれも自由主義とは言えるかもしれないが)。米国大統領は大統領令に署名すれば議会を通さなくても命令できる、政策を実行できる。トランプ第1次政権で次々と大統領令に署名するトランプ大統領をみせつけられた。
(2)民主主義国は独裁制を排除するため議会で政府予算、政策、法案などを審議するチェック機能を有して政治の公正性、共有性をより高く維持するものだが、米国では大統領令で独自の命令、政策を実行できる権限を与えている。
米国の歴史的経緯、使命、背景はあるのだろうが、大統領令は専制国家主義者の独裁権限行為と同じであり世界の民主主義、自由主義を標榜、自認するリーダー国の米国としては似つかわしくない権限だ。
(3)日本でも予算の予備費は国会の審議、承認を得ることなく政府は自由に執行できるが、予備費枠は予算案の国会審議で決定されるからまったく自由に使えるものではない。バイデン大統領は来年1月に任期を終えトランプ次期大統領に政権を渡すが、押し詰まった時も時に脱税など2件で有罪判決を受けた次男にこれまで恩赦を与えないとくり返してきたが大統領専用機でアンゴラに向かう直前に次男に恩赦を与えてそのまま出発(報道)した。
(4)日本も米国をただ民主主義、自由主義国として考えていると見誤ることになる。トランプ次期大統領は米国の意向に従わない、そぐわない国に対して本来の主旨と異なって制裁として60%から100%と言うものまである脅しの高関税を課すとしてけん制している。
日本企業に対しては、経営が苦しく鉄鋼製造が落ち込むかっての米国を代表する世界的企業のUSスチール買収計画を進める日鉄にトランプ次期大統領は「大統領としてこの取引が実現しないよう阻止するつもりだ」(報道)として「バイヤー(買い手ー日鉄)は警戒せよ」と制裁警告をしている。
(5)企業同士の双方にメリットのある了解(全米労組は反対表明)のもとに進められる買収行為に対しても大統領が強引、強圧的に阻止表明を示す独断性だ。民主主義、自由主義国家としてはかけ離れた米国のもうひとつの国家像(alternative america)だ。
これから押し寄せるトランプ現象に日本も米国の「もうひとつ」の姿、国家像をよく見て、考えて対策、対応が必要になってくるだろう。
(6)韓国では尹大統領が突然「非常戒厳令」を宣布した。北朝鮮との争いではなく、国内国会で過半数を占める最大野党が政府の予算案の一部を削除して可決し、政府幹部らの弾劾を試みる行為を「内乱を企てる明白な反国家行為」(報道)と決めつけての非常戒厳令だ。
日本とは首脳同士の交互の訪問外交を確認したばかりだ。
(7)韓国も北朝鮮と境界線を面して対峙する軍事国家であることを強く印象づけた。日本も石破政権は少数与党で通常国会がどう進むのか、国家、国民、社会にとって予断を許さないのは同じだ。