「いつまで親の脛齧ってんや」
「脳に問題あるんちゃうか」
村のおっさん達からは、散々な言われようをしてるカラスの兄弟。
最近の彼らの定位置は、火の見櫓の上。
午前中、それぞれ別の方向向いて、しばらくの間じーっとしてる。
なかなか、かっこええやん。
消防団の兄ちゃんらの代わりに、村見張ってくれてるんやんか、なあ。
ほんまもんの風見鶏やでえ。いや、風見ガラスやでえ。男前やでえ。
けど、この風見ガラス、やっぱちょっと抜けてる。
ほら、上の子ぉが止まってる矢ぁ。
あれ、たまあにやけど、ほんまにたまあにやけど、ギギッとかゆうて回ることある。
カラスさん、びっくりして飛んで行く。
二羽して、バタバタ、バタバタ。
男前、台無しや。
私は、なーんも見いひんかったことにしとくけどね。