The orthodox civilization is the festival politics of Japan

「安藤真の『世界文明の正統は』」の続き、祭政は人間中心を超え物質文明を越える、これを受け継いでいるのが日本の伝統と文化

谷崎と今の友情 中

2015-01-19 04:58:30 | 世界経済
             
 ニセ学生の今東光は、谷崎のもとに通っていた時期がある、ある日、谷崎が執筆している旅館を訪ねると、その旅館に竹久夢二の愛人が宿泊していた、あの絵に登場する嫋々たる美人、今が谷崎の部屋の前に立つと、廊下に点々と赤いもの、若い今東光が飛び上がった、
 「ひゃあー」
 それは、なんと、あれ、あれなのだ、若い女性の・・・当時は、ベンリなものがなかった。

 作家谷崎は執筆中でうんうん唸っている、
 「じゃまをしては いけないかな」
 やがて、タバコをプカリ、
 「かくかくしかじか」
 聞くやいなや、
 「ガバッー」
 1秒の何分の一、脱兎のごとく飛び出した、ところが、廊下にはなにもない、昭和初期の秋の日が静かに照らしている。

 その時、廊下の向こうの部屋のドアが開き、夢二の愛人が、
 「きっー」
 悔しそうに睨んだ、拭いてしまったんだな。

 顔を真っ赤にしたタニザキ君、
 「どーして はやく知らせなかったんだ」
 「おしごとのジャマをしてはと思いまして」

 すると、オトコ・タニザキが、
 「ポカリ」
 今のアタマをたたいた、
 「小説なんかいつだって書ける」
 「・・・」
 「だかな 夢二の愛人のアレは 二度とみられないんだ」
 「ああ 無念だ残念だ 一生の悔いだ 後悔だ」

 今東光、すっかり感心してしまった、さすが大谷崎だ、作家は、こうでなくてはいけない、むっつりスケベの菊池とは違う、谷崎と今との友情は、一生続いたようだ。