愛妻物語

愛妻物語　　☆☆☆
1951.09.07　大映（京都撮影所）、白黒、普通サイズ
監督・脚本：新藤兼人
出演：乙羽信子、宇野重吉、滝沢修、清水将夫、殿山泰司

新藤兼人が亡くした最初の妻の記憶、
それを映画にしました。私小説です。
戦前の暗い時代が背景。
人も暗い、社会も暗い、映画会社も暗い、何もかにも暗い。

明るく夏に咲くアサガオの花、
アサガオのような彼の妻。
大切にしなきゃ駄目だよ。
でも、シナリオ書きに一生懸命な新藤兼人。

何で新藤兼人がこだわりつつ、永遠と映画を作り続けているのか？
映画の中で彼の妻は言います。
「あなたは、あなた自身がシナリオなんです。
ですから、一生シナリオを書き続けて下さい。」
そんな事言われたら、一生涯書き続けますよね。

映画の中の坂口監督というのが溝口健二で、
太田作之助というのが織田作之助のことでしょう。

素朴で正直な映画です。
06.05.05 ＮＦＣ