二銭銅貨

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椿姫/新国立劇場(日本オペラ振興会)2013

2013-09-16 | オペラ
椿姫/新国立劇場(日本オペラ振興会)2013

作曲:ヴェルディ、演出:岩田達宗
指揮:園田隆一郎、演奏:東京フィル
出演:ヴィオレッタ:佐藤亜希子、アルフレード:西村悟
ジェルモン:須藤慎吾

左右にややくすんだ赤の壁と青の壁。床にこちらに向かってやや斜めになった一段高い白い床。この3つでトリコロール。天井は無いようで、奥で歌うとやや音が小さめになるように感じた。白い床は歌手達の舞台でもあり、ヴィオレッタの寝台でもあり、また白いキャンバスでもある。1幕目と4幕目では赤い花でその上部が飾られる。最後にそこに横たわるヴィオレッタは一枚の絵のようにも見えて、昇天して天使になったヴィオレッタが表現されているようにも感じられる。

美術は簡素で、数本の燭台と鏡を意味する長細い楕円の輪と机や椅子以外何もない。衣裳は豪華でそれを強調する意味ではシンプルな美術が良い背景になっていた。ヴィオレッタの衣裳は豪華で大きな純白のドレスから、紫、赤のドレスと替わり、最後が白の部屋着。コーラスやバレエダンサーの衣裳も美しく豪華で印象的だった。

佐藤亜希子は美しい声のソプラノ。西村は高い音が美しく良く通るベルカントのテノール。芝居も歌も一生懸命でアルフレードの愚かさがうまく表現されていた。須藤は良く声の出るバリトンでどっしりとした感じだった。「プロバンスの海と陸」は真っ直ぐに素直に歌っていた。

演出はオーソドックスだったが、美術がシンプルだったので何かありそうな感じがして興味深かった。演奏は絹ように柔らかで優しく、殺伐として緊張感のある話を優しく包み込んで、頑張って歌っている歌手の皆さんに優しく寄り添っていた。

パーティの場面での踊りは本格的なバレエで、振り付けも良く音楽に合ってキビキビと美しく楽しかった。前半が金の衣裳の4人の女性ダンサー、後半が黄色系統の闘牛士の衣裳の男性と赤と黒のフラメンコ風の衣裳の女性とのパドゥドゥ。皆、楽しそうに正確に踊っていた。スターダンサーズ・バレエ団。

別荘からヴィオレッタが去る時の去り際の音が美しく迫力に満ちて感動的だった。本当にヴィオレッタが可哀相。慟哭がそのままあふれ出てくる。

9月02日ゲネプロ
ヴィオレッタ:マリエッラ・デヴィーア
アルフレード:村上敏明、ジェルモン:堀内康雄

デヴィーアは演劇的な歌唱でテンポと強弱に抑揚のある歌い方で、レチタチーボも含めて全般にゆっくり目で、しっかりとかみしめるように歌っていた。太くて強いソプラノ。芝居にも説得力がある。堀内の「プロバンスの海と陸」もアルフレードを説得するような演劇的な歌い方だった。村上と堀内は安定して迫力があった。

ラ・トラヴィアータにはいい曲が多いとあらためて想った。

13.09.07 新国立劇場
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