二銭銅貨

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イドメネオ/新国立劇場(二期会)2014

2014-10-13 | オペラ
イドメネオ/新国立劇場(二期会)2014

作曲:モーツァルト、指揮:準・メルクル
演出:ダミアーノ・ミキエレット
演奏:東京交響楽団
出演:
イドメネオ:与儀巧、イダマンテ:山下牧子
イリア:新垣有希子、エレットラ:大隅智佳子
アルバーチェ:大川信之

砂浜のように舞台に砂を敷き詰めてそこに大量の長靴を散らばせて、それは惨憺たる戦場跡のよう。長靴は死体なのだろうか?砂は涙なのだろうか?最近の世界的なテロや紛争をモチーフにした演出のように見えた。

合唱隊が椅子を持ち上げて揺らしたり、歌手がトランクを1個1個遠くに投げ飛ばしながら歌ったり、過激な演出が若干あった。演出は殺伐として厳しい感じだったが演奏は美しく優しく、音楽に良くあった演奏だった。イドメネオが亡くなる場面に続く最後の部分はバレエ音楽で、ここは出産場面だった。輪廻転生のような考え方がテーマの1つになっていたようだ。

エレットラがモンロー風のいでたちで買い物袋を沢山抱えて登場し、お出かけの衣裳選びながら歌う場面はコミカルで、大隅の動きが良く、笑いを誘って大受けだった。この場面は現代の格差社会の金持ち側の象徴のように見えて印象的だった。

与儀は、ちょっとイドメネオの貫禄は出ないが、若々しく美しいテノールだった。イダマンテの山下は落ち着いた感じの低い音が美しいズボン役。新垣は美しいソプラノ。大川は迫力があった。大隅は強く美しく安定していて激しく動き回りながらの歌でもくずれが無かった。最後のアリアも泥だらけになって転げ回りながら歌ったがその迫力ある歌は安定していた。その芝居に対してなのか、声に対してなのかは分からなかったが、このアリアの後の拍手は爆発するような音でかなり長く続くものだった。

大隅智佳子がすごい。

14.09.14 新国立劇場/オペラパレス
コメント
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