二銭銅貨

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ローエングリン/東京文化会館(二期会)2018

2018-03-11 | オペラ
ローエングリン/東京文化会館(二期会)2018

作曲:ワーグナー、指揮:準・メルクル
演出:深作健太
美術:松井るみ、衣裳:前田文子
演奏:東京都交響楽団
出演:ローエングリン:小原啓楼、エルザ:木下美穂子
   テルラムント:小森輝彦、オルトルート:清水華澄
   ハインリヒ:金子宏、王の伝令:加賀清孝

透明なビニールのような素材で覆われて、鉄パイプらしきもので組まれた大きな壁が2個。これが主要な装置で、これを幕ごとに移動させて雰囲気を変えていた。壁の中に光源があるようで舞台照明に合わせて時々光っていた。上手には小さなノイシュバイシュタイン城の模型。それぞれ舞台終盤に崩れ墜ちる。壁はみずぼらしく、城の模型は矮小である。権力の脆弱さや矮小さを表現していたのだろうか?崩壊前後の落差があまりなくて、崩壊のインパクトは弱かった。

舞台手前の横の位置に複数の点からなる、もしかしたらLEDかも知れない強力な光源があって、それが天井の反響板を照らしていた。これによって客席が間接照明されていて、照明効果が客席にまで及んでいた。

開幕と同時に見えるのは大きな三角形の床で、その中央が外側と同型の三角形にくり抜かれている。表面にパイプのようなものがはりめぐらされていて、ゲームのホライゾン・ゼロドーンの機械炉で見たようなデザイン。SFにありがちな雰囲気のものである。この中央部分に白い服の少年がうずくまっているが、すぐにこの床は釣り上げられて天井に変化する。最後の場面ではこれが降下して来て、下に居た人々を押しつぶすような形になり、その中央に少年が立って、劇が終わる。

権力の繁栄と崩壊、建設と破壊といったような人類史にみられるアニーリング「焼きなまし法」をテーマにしていたように思えた。

小原は朗々として情感豊かな声だった。木下はビブラートのある強く美しい声で、劇場全体に響いていた。清水の声には迫力があり、エルザを篭絡する時の高い声も、普段の低い声も両方しっかりとしていた。芝居と声に悪辣さがあり、隻眼の衣装が良く似合ってカッコ良かった。小森、金子、加賀はぞれぞれ安定した声。全員、声量があって、迫力のあるオーケストラに負けていなかった。

衣裳ではウエディングドレスが豪華絢爛だった。腰のところに黒が入ったデザインで締まって見える。気合いのドレス。

ローエングリンの間奏曲として有名な曲は3幕目への間奏曲で、それに引き続いて、3幕目冒頭で結婚式で良く使われる合唱曲が登場する。

演奏は迫力に満ちた強い演奏だった。

18.02.25 東京文化会館
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