二銭銅貨

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イル・カンピエッロ/新国立劇場オペラ研修所公演2018

2018-03-24 | オペラ
イル・カンピエッロ/新国立劇場オペラ研修所公演2018

作曲:フェッラーリ、演出:粟國淳
指揮:柴田真郁、演奏:新国立アカデミーアンサンブル
美術:横田あつみ、衣裳コーディネーター:加藤寿子

出演:
ガスパリーナ:宮地江奈
ファブリーツィオ(ガスパリーナ父):清水那由太
ルシエータ:砂田愛梨
ドナ・カーテ(ルシエータ母):水野優
アンゾレート(ルシエータ婚約者):氷見健一郎
ニェーゼ:吉田美咲子
ドナ・パスクア(ニェーゼ母):濱松孝行
ゾルゼート(ニェーゼ彼氏):荏原孝弥
オルソラ(ゾルゼート母):十合翔子
アストルフィ(旅の騎士):高橋正尚

ガスパリーナのレティタティーボ:
Cara la mia Venezia,
Me dezpiazera certo de lazzarla;
Ma prima de andar via voi zaludarla.

ここから歌が始まる。
Bondi Venezia cara
Bondi Venezia mia,
Venezziani zioria.
ここで若干の合唱。

再びガスパリーナの歌。
Bondi, caro Campielo,
No diro, che ti zii bruto, ne belo.
Ze bruto ti ze zta, mi me dezpiaze:
No ze bel quel, ch'e bel, ma quel che piaze.

ここで合唱、同じ歌詞を繰り返す。
終わりの方でガスパリーナが加わり、最後は
bondi, bondi.
で終わる。

buondiはbuongiornoと同じ意味の挨拶語。bondiは多分そのベネチアなまりかあるいはベネチア語。ここではさよならの意味なんだろう。Venezzianiは複数形への形容詞「ベネチアの」。zioriaは多分signoriaがなまったもの。トスカーナ語とか、ベネチア語とか、なまりも入っているらしく何が何やら分からないけれど...

序曲、2つの間奏曲にはこのbodi venezia caraのメロディが使われていてそれぞれ別々のイメージで変奏される。多分、朝、昼、夜のイメージなんだろう。

なんかこのメロディーの揺れはなんなんだろう。ベネチアの海の揺れなのだろうか?

ベネチアを俯瞰したセピア色の地図を背景にして板と柱づくりの長屋が5件建てられている。そこを舞台にベネチアの人々の人情喜劇が展開される。衣裳はパステルカラーのゆっくりとした印象の色合いで、美しい歌に良く似合っている。アンゾレートとルシエータがやりあう場面では何かプッチーニっぽい音が引用されたように思ったが、何だったかは分からない。2幕目終わりは金銀の紙切れを降らせて豪華に終わる。最後は、ちょっとベネチアになじんでいなかった感じのガスパリーナが、ベネチアへの思いを歌にしたbodi venezia caraを歌う。最後のささやかな逆転劇。ずっと喜劇を見て来て、最後にこの歌を聴くところがいいんだな。

演奏は美しく優しい。強さもあって、そろっていて、うまい。sol, solとかいう舞踏曲の途中で多分ユーフォニアムと木管がずっこけながら演奏するところがあるけれど、それを除けば弦も管も打楽器も上手だ。謎のオーケストラで、この名称のオーケストラを聴くのは2度目。多分、一応、新国立劇場専属楽団なのかな。指揮は柴田真郁。初めてイル・カンピエッロを聞いた2010.11.13のテアトロ・ジーリオ・ショウワでの公演の時も指揮は柴田真郁だった。

出演者が多いので各歌手の特徴がちょっとつかみずらい。砂田はしっかりとした強い声、宮地は端正な感じの声、吉田は高音が綺麗な軽い声。氷見は若者らしい強い調子のはきはきした声、清水と高橋は落ち着いた声。

合唱は、国立、昭和、桐朋、武蔵野各音大学生有志で全部で10名前後。

今は定住する人も少なく観光客だらけのベネチアだけれど、小さなマリブラン劇場の前はカンピエッロのようになっていた。中心街から外れているので人は誰も居なくて、そしてそこでイル・カンピエッロがかかっていたのを思い出す。スケジュールの都合で見られなかったけれど。Bondi, caro Campielo. Bondi Venezia cara.

18.03.11 新国立劇場、中劇場
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