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魔笛/新国立劇場オペラ研修所試演会2013

2013-08-17 | オペラ
魔笛/新国立劇場オペラ研修所試演会2013

作曲:モーツァルト、演出:カロリーネ・グルーバー
指揮:天沼裕子、演奏:原田園美、星和代(ピアノ)
出演:タミーノ:岸浪愛学、パミーナ:原璃菜子
夜の女王:清野友香莉、ザラストロ:清水那由太
弁者:小林啓倫、侍女:林よう子、飯塚茉莉子、藤井麻美
パパゲーノ:村松恒矢、パパゲーナ:種谷典子
モノスタトス:菅野敦、武士:伊藤達人、松中哲平 

小さな舞台の中央にベッドが1台。芝居が始まるとベッドの下から蛇の青緑に輝くタイトな衣裳の女性がぬめっと出て来てベッドに寝ている男ににじり寄る。這い寄って来て、やがて覆いかぶさって、喰い付きそうになると漸くタミーノも気がついて、冒頭タミーノの歌を歌いだす。

2組の若い男女の恋愛や人生にスポットを当てて、障害や困難を乗り越え成長して行く姿にフォーカスした内容に短く絞り込んだ短縮版。女王の第2のアリアやパパゲーノの最初のアリアはカット。その代わりにパパゲーノが修行の場面でちょっとだけ即興でその2曲を歌った。童子もなしで自殺を試みる場面もなし。一方、3人の侍女はタミーノを妖艶に誘惑しまくる役柄。タミーノとパパゲーノはやや草食系でおとなしく、パミーナ、パパゲーナの2人のほうが積極的で肉食系。オペラの最後で、パミーナの衣裳が蛇色に変わり、実はパミーナがこの蛇女だったと分かるようになっている。劇中ではおとなしめだったパミーナもじつは積極的だったというのだ。弁者は杖をついて丸いサングラスをした盲目の役柄で印象的だった。

物語の最後で女王組とザラストロ組の両方が全滅する。若者2組が生き残るという設定で、人類社会における世代交代の波を表現する構成になっていた。若者が頑張り、それをベテランが支援するというか、若者に試練を与えて鍛える意味で、ベテランが若者にとっての障害だったり壁だったりもするということか。やがて若者が巣立つ時にはベテランもそのミッションを終えてこの世を去る、というようなメッセージかと思えた。

タミーノの岸浪はまじめな感じのテノール。パミーナの原は素直な感じの強いソプラノ。女王の清野は第1のアリアが安定して落ち着いた感じだった。ザラストロの清水、弁者の小林、侍女の藤井の3人の低音組の声が良く通って迫力があった。清水は堂々としたバス。小林は重い金属的なバリトン。藤井は安定したメゾで芝居も流暢な感じだった。

13.07.28 新国立劇場、小劇場

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