二銭銅貨

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血は渇いてる

2010-11-05 | 邦画
血は渇いてる ☆☆
1960.10.09 松竹、白黒、横長サイズ
監督・脚本:吉田喜重
出演:佐田啓二、三上真一郎、芳村真理、岩崎加根子、織田政雄

弱気、おひとよし、消極、なのに、
何かとんでもない事をしでかして、
そして、何故か広告業界、
ジャーナーリズムの寵児となって、
空想の正義に凝り固まって、ついには
何が何だか分からなくなり、
まるで人間でないような感覚、
無機質な塊になって、
水分も無くなり、潤いも無くなる。
自分と弾丸との物質的な違いも無くなる。
前はどんだけ弱気だったとしても水分だけは十分だったのに、
もう今は乾き切っている。

その無機質な人物が佐田啓二でうまい。これが正義と言う名の悪魔にそそのかされて目がまわってしまったドンキホーテの役。サンチョパンサ役が織田政雄。こちらも弱気な中年のおじさんで、うまい。この2人の芝居が良かった。

三上真一郎、芳村真理は広告業界とジャーナーリズムのハイエナ役。佐田啓二を喰いものにする。

広告業界やジャーナーリズム、いわいるマスコミの邪悪さ、危険さを画面いっぱに声高く主張した映画。血が渇ききっているのはマスコミのことだ。

当時に良くこれだけのものが描けたと思う。当時よりも現代の方が、はるかにマスコミの邪悪危険度は高いし、またそのモラルも、モラールもずっと落ち込んでいることを考えると、当時よりも今日の方がこの映画の価値は高いんじゃないかと思う。

10.10.24 NFC

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