二銭銅貨

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夜の流れ

2008-12-14 | 成瀬映画
夜の流れ  ☆☆
1960.07.12 東宝、カラー、横長サイズ
監督:川島雄三、成瀬巳喜男、脚本:井手俊郎、松山善三
出演:山田五十鈴、司葉子、三橋達也、宝田明、草笛光子、北村和夫
   三益愛子、白川由美、水谷良重、市原悦子

山田五十鈴の落ち着いた表情と大人の目線、
身のこなし。
ずーっと抑えた芝居。
それが突然、
三橋達也の前で、
燃え上がるような情念の炎が
瞳の中に現われ、
みずみずしい若い気持ちが、
表情からしたたり落ちる。
変化する。
恋が、
いきなり燃焼するのだ。

いつまでも若い力を維持していることは凄いことだと思う。

草笛光子にからむ元夫の北村和夫、
ねちねちしてすきま風が吹く。
哀れな侘しさ、淋しさ。
タバコを切らせて、もらいタバコをする。
そのタバコが涙に濡れている。
遠くに東京タワーがぼやけて見える。
東京の何も無い埋立地の殺伐。
北村和夫のそんな気持ち。
草笛光子演ずる芸者に対する、
切っても切っても切れないその気持ち。

物語は、花柳界の様々な女性が男で苦労するエピソードを重ね合わせたもの。演出は川島雄三と成瀬巳喜男の2人。それぞれの組が担当のシーンを決めて撮影したようで、おもに山田五十鈴が出るシーンは成瀬組、若者たちのシーンは川島組が撮影したようだ。三益愛子のところは成瀬組で、北村和夫のところは川島組だろうか?

まるでテンポや雰囲気の違う演出の組み合わせだが、あまり違和感はなくて、むしろ良いアンサンブルのようにも思えた。1つの物語でなく複数のエピソードのまぜ合わせなので、意識して見なければ良くも悪くもその事に気がつかないかも知れない。

08.12.06 神保町シアター

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