二銭銅貨

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炎上

2007-05-24 | 邦画
炎上  ☆☆
1958.08.19 大映、白黒、横長サイズ
監督:市川崑、脚本:和田夏十、長谷部慶治、
原作:三島由紀夫 「金閣寺」
出演:市川雷蔵、仲代達矢、中村鴈治郎

トゲが突き刺さるような物語の主人公は吃音症の青年。
世の中の圧力にさらされて、
身動きもならず、
破壊されて、
心さだまらぬ、
眼差し。

善人だか悪人だか、良く分からない住職の鴈治郎。
微妙な雰囲気。
主人公の雷蔵に目をかけている。

足の悪い青年の仲代達矢。
ひねくれすぎて、
悪魔のようでもあり、
天使のようでもあり、
ピエロのようでもある。
冷徹に、この世の中の邪悪を凝視しているかのごとし。

美しい寺の塔の燃え上がる炎、
この世の邪悪を焼き尽くしたのだろうか?
ただ、青年と無理心中しただけなのか?
あるいは、世の中の不浄を怒っているだけなのか?
07.04.29 新文芸座
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07国立劇場5月/絵本太功記/文楽

2007-05-23 | 歌舞伎・文楽
07国立劇場5月/絵本太功記/文楽

第1部
発端   安土城中の段
六月朔日 二条城配膳の段
     千本通光秀館の段
六月二日 本能寺の段
六月五日 局注進の段
     長左衛門切腹の段
六月六日 妙心寺の段

第2部
六月七日 杉の森の段
六月九日 瓜献上の段
六月十日 夕顔棚の段
     尼ヶ崎の段
大詰   大徳寺焼香の段

 切腹やら何やらで、皆死んでしまう。可愛そうな物語。戦国の世の渦巻きの、激しい濁流に飲み込まれて行く人々の、欲望と自己犠牲。
 吉田蓑助が操る、光秀の妻の操は、動いていない時は呼吸をしているようで、動いている時は滑らかで、人の動きにそっくり。端整な妻の操を、煩悩に苦しむ光秀の好対照として、薄紫の衣装とともに、その落ち着いた色合いを表現している。

 歌舞伎では人形をまねる歌舞伎俳優。
 文楽では歌舞伎俳優を真似る人形。
 おもしろいです。
07.05.12 国立劇場
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07歌舞伎座5月/泥棒と若殿、勧進帳、与話情浮名横櫛、女伊達/歌舞伎

2007-05-22 | 歌舞伎・文楽
07歌舞伎座5月/泥棒と若殿、勧進帳、与話情浮名横櫛、女伊達/歌舞伎

女暫(おんなしばらく)
出演:萬次郎、松緑、菊之助、海老蔵
 劇の最後で、萬次郎が市村羽左衛門の追善公演の挨拶。菊之助の若菜の衣装はツヤのあるオレンジに黒、二色の衣装できっぱりとした姿、全体にギャグ満載のナンセンス劇にあって紅一点。萬次郎の良く通る声、「ああ恥ずかし」のセリフは劇に柔らかさを与え、無用に長大な刀で切り払われる雑兵の首8つはこの世の不浄を表しているように思われる。終わった後で、三津五郎が萬次郎に引っ込みのやり方を教える。口でツケの音を出しながら、動きにあわせた掛け声を交えて説明。役者は、あんな風にして練習しているのかと思った。

雨の五郎(あめのごろう)
出演:松緑
 夏の初めの宵の口、小雨模様の柳の木の下で、白に青い筋の浴衣姿に素足をにゅっと出した気風のいいおにいさん2人と、しぶきを飛ばす勢いで、争いながらバシッ、バシッと踊りを踊る。松緑の清々しい姿。

三ツ面子守(みつめんこもり)
出演:三津五郎
 おかめ、ひょっとこ、恵比寿さま。次々をお面を変えて1人3役は楽しい踊り。人生を楽しみ、踊りを楽しむ。

神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
出演:菊五郎、團十郎、海老蔵、松緑、梅玉
 江戸時代の鳶の気風の良さと、まったりと人の良さそうなお相撲さんの喧嘩は半端ではありません。命を賭けています。覚悟しています。鳶の大集団の駆け抜けて行く様子、次々と屋根に登って行く様子、江戸っ子のこころいき。 

07.05.13 歌舞伎座(3F)
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07歌舞伎座5月/女暫、雨の五郎、三ツ面子守、神明恵和合取組/歌舞伎

2007-05-08 | 歌舞伎・文楽
07歌舞伎座5月/女暫、雨の五郎、三ツ面子守、神明恵和合取組/歌舞伎

泥棒と若殿(どろぼうとわかとの)
出演:三津五郎、松緑
 松緑は軽快な江戸っ子、苦労のあげくの泥棒、能天気、お人好し。三津五郎は、おぼっちゃまな若殿だけど、真っ直ぐで純情。仲良くなってしまう2人ですが、それぞれに進む道が違うから、ずっと一緒というわけには行きません。梅の咲いている頃に始まる物語は、桜散る頃に終わります。無常に吹く風は、地面に散り落ちた桜をフーッと吹き散らします。
 最後の花道では、こころなしか、三津五郎と家来の亀蔵がウルウルしているような気がした。気のせいかもしれないが。

勧進帳(かんじんちょう)
出演:團十郎、菊五郎、梅玉
 重厚で滑らかな團十郎の弁慶。最後、幕が閉じ、花道の弁慶は、義経一行の無事を確認し、ゆっくりと幕の向こうの富樫に礼、それから客席に向かって礼。無事、安宅の関を越えたのが余程うれしかったのか、重々しく荒々しい見得の後は、スキップを踏むかのような軽々しい六法で花道を駆け抜けていきます。

与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
出演:海老蔵、菊之助
 「ご新造さんへ、おかみさんへ、お富さんへ、いやさ、お富、久しぶりだなあ」、「しがねえ恋の情けが仇」のセリフが有名な狂言。木更津海岸見染の場で、海老蔵と権十郎が一緒に冗談を言いながら場内を一周、会場を沸かせます。すっと真っ直ぐに筋の通った海老蔵、輪郭がくっきりとした菊之助。眼と眼を見交わします。
 坂東三津之助が名題昇進で、落語家の役で出演。菊之助とやり取りをして、あげくに化粧をしてもらったりします。

女伊達(おんなだて)
出演:芝翫、門之助、翫雀
 昼の部のフィナーレ。芝翫はていねいに。若手は元気良く、踊る。

07.05.03 歌舞伎座
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