海自の演奏会に行った。
美人の歌姫が、目当てだったのだが、
私の目は、指揮者の背中に、クギ付けになった。
肩幅といい、厚みといい、大人の男の理想の後ろ姿。
前から見ると、スキンヘッドのおじさまなのだが。(笑)
エポレット付の白の制服は、それだけで凛々しい。
それに見合った精神じゃないと、着こなせない。
広い肩から、腰にかけて、シェイプした美しいライン。
カッコいい~。
後ろから見たフォルムを、
計算して、仕立てているんじゃないのか。
今までも、声や鼻の穴の形など、パーツを好む事はあった。
指揮者という、人をリードする存在じたいにも、魅力を感じる。
私はその日、その背中に恋をした。
背中に生き方が出る、と思った。
撮影禁止なので、しっかり目に焼きつけた。
もう、歌姫の美貌など、どうでもよかった。
ああ、何という事だろう。
人嫌いの私が、人の背中にトキめくなんて。
久しぶりの感情に、動揺してしまった。
組織の肩書きに興味は無いが、
自衛隊の階級だけは、カッコいい。
国や人を守らねばならないという、責任とプライドが附随する。
ちなみに、その方は、2等海佐だ。
靖国で、菊の御紋を見て思ったのだが、
良くも悪くも、1つのシンボルの下に、人は集い、結束すると。
制服やロゴマークは、所属欲を満たす。
(私は、丸いデザインのロゴマークが好きで、特にスタバの。)
とにかく、目の前で見た、
海自音楽隊の、演奏会用の白い夏服は、
本当にステキだった。
録画したバラエティで、元女性自衛官の裏話をやっていた。
投擲訓練のさい、教え子が失敗して、落とした手榴弾の上に、
覆い被さり、亡くなった教官がいたと。
思わず息をのみ、感情がブワッとあふれ出した。
有事でなくても、
常に他人を守る事を考え、行動した教官はすごいが、
その学生が、もし生き残っていたとしたら、
教官の事を思うと、生きていけないのではないか。
散らばった肉片を拾い集め、泣き叫んでしまいそうだ。
でも、辞めて逃げたら、教官に申し訳ないし。
その学生は、どうしただろう。
又もや、人の感情を想像して、
自分の中に取り込んでしまい、泣くのに疲れた。
私は、他人に命など懸けられない。
時々、後ろから飛び蹴りしたい衝動にかられる事はあっても。(笑)
芸術は、衣食住に直接関わるものではないが、
音楽は、楽しい時、悲しい時、そして苦しい時に、
いつも、人々のそばにある。
軍歌は、戦争に征く者を、鼓舞するものだった。
とりわけ、パーカッションはドラマティックで、
演奏の楽しさを、再認識した。
こんな私が、今更トキめくなんて、
バカバカしい気もするが、
この胸のリズムが苦しい。