
元レーサーの妻である美人女優は、別荘の古城で、
「ここに来るのは、月に1度くらい。」と、セレブぶりを見せつけていたが、
マーブルは、500~600円で、セレブ気分になれる場所を知っている。
岡本太郎美術館。
OPENの記事を読んだ時から、いつか行ってみたいと思っていた。
気持ちのいい木立ちを抜けた奥に、それはあった。
市営なので、連れの2人は、65才以上の証書を見せて無料。
いいなぁ。こんなステキな場所に、タダで入れるなんて。
初めて老人を、羨ましいと思った。(笑)
思っていたよりずっと良い!
広さもちょうど良くて、空間の使い方も、表現も、とても斬新。
ピカソと見分けがつかない絵画の、赤、黄、青が、脳に直接入ってくる。
特に「赤」が綺麗で、みとれてしまった。
タイトルの意味も、何も考えずに、感覚だけで楽しむのがいい。
作品でもあるイスに、座る事もできて楽しい。
等身大パネルが、ところどころにあって、思わず肩を並べたくなる。
一番気に入ったのは、岡本氏自身の墓石にもなっている、「午後の日」と題された陶器。
頬づえをついた本人の顔なんだろうけど、とても可愛らしい。
「芸術は爆発」して、刺激的なのに、なぜか落ち着く場所。
堅苦しくない、遊び心のある、ステキな美術館だ。
真夏でも、中はかなり涼しいので、はおるものが必要。
併設のカフェテリアで、遅めのランチにする。
高くて座りにくい、3人掛けのテーブルに、老いた2人を促して、
ガラス越しに、流れる水とグリーンを眺めた。
平日に1人で来たら、もっとセレブ気分に浸れるかも。
自分の中の汚いものが押し出され、美しいものに入れ替わる、そんな感じ。
お金をかける楽しみ方より、芸術に触れる方が、贅沢だと思う。
カフェテリアの店員がしていた、ソムリエエプロンは、上品な蓮音に似合う気がした。
それを見て、憧れていたギャルソンエプロンを買った。
渋めのパッチワークで、気に入っている。
資生堂「マキアージュ」の、OR257の口紅も欲しいよぉ。
…本当は、こんな優雅な事、言ってられない。
お金が無くて、やっていけない。
でも台風の日、黒いアゲハ蝶が、大雨の中はばたいて川を渡り、
向こう岸の木の葉に隠れるのを見て、
逆らわずに、耐えて生きるしかないんだなぁと思った。
あの日恋したヴァンパイアに、キスしたくなった。