少し前のことだが、マスコミがやたらとキャッシュレス社会の到来を賛美していた。
政府も後押ししているようで、その片棒を担いでいるみたいで、気持ち悪かった覚えがある。ただし仕事上での判断は別で、現金取引しかやっていない顧客で、若い客層が多いところには、私もキャッシュレス対応を奨めていた。
実際、導入したところ、売上が伸びた顧客もあり、悪くない提案だったと思っていた。ただ、少し不安が拭いきれなかったのも事実だ。
私は忘れていない。東関東大震災が発生して、各地で停電が起きたところでは、コンビニのレジスターが使えず混乱したことを。もちろんクレジットカードも使えず、銀行のATMも止まっていた為、生活に困った人たちがいたことを覚えていた。
それは数年前の北海道での大地震も同様で、札幌市内で停電が続いた為、日ごろキャッシュレスで生活していた人たちがたいへんな生活苦に陥ったことも忘れてしなかった。
キャッシュレス機能には電気が絶対に必要となる。停電が続けば、キャッシュレスは無価値なものとなることは自明の理であろう。ただ幸いにして日本は今でも現金使用率が高い。それは通貨への信頼が高いことの顕れでもある。
そして現在、行き過ぎたキャッシュレス社会に困っているのが東アジアの国々である。
どうも報道管制しているようだが、シナでは例年にない大雨で、洪水やら河川の氾濫で電気水道などの社会資本が相当なダメージを受けているようなのだ。そうなると困るのが、キャッシュレスを前提としたレジスター等の決済システムが稼働できないことだ。
実は現金の流通量が以前よりも格段に減っているため、口座に金があっても引き出せず、キャッシュレス決済も出来ない買い物難民が続出している。
では、なぜに現金の流通が減ったのか。
その原因が贋札の横行である。北コリアが贋札造りを国家レベルでやっているのが有名だが、シナでも贋札造りには長い伝統がある。おまけに経済が困窮している北コリアから偽ドルが大量にシナに流れているため、庶民は警戒して現金を使いたがらない。
いつの時代でも贋札造りは横行していたが、現代はカラーコピー機だけでなく、3Dプリンターも広く普及しているため、以前よりも贋札の規模が大きくなっている。
これは世界的な傾向であり、なかでも贋札作りの人気ナンバー1は不動の米ドルである。その一方、日本円は贋札作りが面棟Lい貨幣として悪名高い。なにしろ2~30年おきに通貨デザインを変える上に、繊細で巧妙な工夫をちりばめるので贋札が作りにくい。
おかげで東南アジアの一部の国では日本円が密かな人気である。個人差はあるが、米ドルよりも信頼されているらしい。
かくいう私も現金信仰が強く、手許に必ず一定額の現金を用意している。私のスマホ(一応持ってはいる)には、キャッシュレス機能はついていない。奨められたが、敢えてNOを貫いている頑固者である。
ただしスイカなどの交通系カードは持っているし、けっこう使う。後は良く使うスーパーマーケットのポイントカードぐらいだ。これで十分である。
キャッシュレス決済は確かに便利な機能だと思う。それは認めるが、あまりに便利過ぎると、却って不便になることがあると私は考えています。