ヌマンタの書斎

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キャッシュレス決済

2025-01-31 09:12:52 | 経済・金融・税制

やはり安易に勧めなくて良かったと思うのがキャッシュレス決済だ。

今や完全に普及したと言えるペイペイや楽天ペイなどのキャッシュレス決済は、街の小さな店舗でも使えることが珍しくない。私は幾つもの店舗の税務顧問を務めているが、基本的に現場の判断には口を挟まない。

ただキャッシュレス決済に関しては顧客の方から尋ねられることが多かった。話を聞いてみると皆、手数料のことを心配していた。当時はペイペイをはじめ多くのキャッシュレス決済会社が、手数料無料どころかキャッシュバックまで打ち出していた。

しかし長年店舗を経営してきた事業者は、そんな異常な状態が続く訳がないと考えていた。でも同業者が次々と導入していることに不安を感じていたようで、それ故に私に相談を持ち掛けたのだろう。

私も手数料無料とかキャッシュバックなどは導入促進の一時的な営業策だと考えていたが、反面時代の流れとしてキャッシュレス決済は導入が増えるであろうとも思っていた。ただ当時十数社あったキャッシュレス決済会社は3社から5社程度に淘汰されるだろうとも考えていた。

そのようなことを踏まえて各店舗の決算書から、粗利(売上総利益率)が50%以上ならば導入しても大丈夫だと説明し、それに満たないならば手数料が利益を大きく減じさせるから導入は見送った方が良いのではと提案した。

小規模な店舗だと利益率が低いことが多く、その場合は自転車操業になり勝ちだ。仮に将来の手数料が5%だとすると、資金繰りに支障をきたす可能性が高いからだ。例外もあるが、小規模な店舗は利益率をギリギリに設けていることが多く、それゆえに現金商売をせざる得ない。キャッシュレス決済もそうだが、そもそもクレジット決済さえ導入していないことが多い。

酒を出すお店ならば大丈夫だと思うが、安くて美味しい定食などを出す店にとって手数料は5%でも高すぎる。大概の経営者はそれで納得してくれたが、若い客が多い店は、手数料分は値上げで乗り切ると考えて導入している。

どうなることかと思ったが、幸か不幸かコロナ禍で閉店する店舗が多く、キャッシュレス決済の有無は有無止むになってしまった。ただし、これはしっかりと云いたいが、キャッシュレス決済を導入して売り上げを伸ばした店舗もあります。これは間違いない。

でも無理して導入したところは、値上げのタイミングを測るのが難しく、キャッシュレス決済を中断した店もあるのも事実です。白状すると、私の助言は適切であったのか、今も確信が持てません。なにせ原材料の値上げというもっと大きな問題があるので、数値的な経営判断が難しいのです。

なお、値上げ傾向は当分続くと予測しています。なぜなら食料を始め多くの原材料を海外から輸入しているのに、円安を放置している日本政府、未だ終わりの見えないウクライナ戦争など不安定洋装が多すぎる。

まったく悩みは尽きないものです。

コメント (4)
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