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昨夜雪が降った。初雪である。一面真っ白というほどの積雪ではないが、こんなふうなまだら模様に残る雪はかえって寒さを感じさせる。日が射せば融けてしまうだろうが、灰色の雲の動きは低く激しくて、安定していない。それにまだ雪は完全に止んだわけではないようで、深い霧が雪を交えてまた周囲を見えなくさせてしまった。朝7時の気温はちょうど零度と、それほど低くはないが、これでは今日の撮影打ち合わせは無理だろう。
ぎりぎりまで延ばしてきた第1牧区の電気牧柵の落としを考えなければならないし、水回りの冬対策も始めねばと、気ばかりが急く。固いパンをかじりながら、本格的な冬の到来を感じている。かろうじて残っていた晩秋の気配は、もう終わった。
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驚いたことに、撮影打ち合わせ隊は来ていた。牧場回りに小屋を8時に出て、小高い丘の上から貴婦人の丘の方を見たら、寒空の下2台の車が丘の前に停まっていた。聞けば、早朝5時半ごろ、雪が積もる前に到着したという。こちらとしては撮影場所の提供というつもりだが、先方はいろいろな便宜を求めてきて、山の中だという認識が足りない人もいるようだ。
9月5、6日のブログでも案内しているように、牧場は今月の19日に一切の業務を終え、閉鎖される。しかし、雪山を体験したい人、冬の星空を眺めてみたい人などなどの要望もあるため、それにはできるだけ応じたいと考えている。
伊那側からは、1月の半ばごろまでは車でかなり近くまで登ってこれるが、その時期を過ぎると歩きしかない。富士見のゴンドラを使う場合は、ゴンドラ終点駅からはここまでは1時間もあれば着く。伊那側の法華道を登ると、雪の状態にもよるが芝平より4時間はみておいたほうがよい。冬こんな山道を歩く者といったら牧場へ様子見がてらに上がる管理人だけだが、それでもそんな雪の古道を歩いてみたいという希望者がいれば、案内してみたい。
山椒小屋があったというあの静まり返った森まで来れば、あとは牧場を目指して好きなペースで歩くだけだ。天気が良ければ牧場の三角点辺りから、中央アルプス、北アルプスの広大な山並みが青い空に浮かぶように見え、右手には美ヶ原や霧ヶ峰が控えるというまさに圧巻というしかない一大景観を前にして、声を呑むことだろう。
雪は降ったり止んだりを繰り返しているが、そろそろ山を下ろう。冬の山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5、6日のブログをご覧ください。Ume氏の入笠シリーズはまだまだ続きます。